外用消炎鎮痛剤は森の中? パート7
クスノキを水蒸気で蒸す間、基となる軟膏を作成する。
と言っても、ワセリンとハッカ油を混ぜ合わせた物になユーカリ油を加える。
「お姉ちゃん!私混ぜてみたい!」
ぴょこんとソファーから私の足元に駆け寄る。
「うーん ただ混ぜるだけじゃないからなー」
「むずかしいの?」
ちょっと困った顔のルーア。
「ちょっとコツがあるの。 そしたらルーアにはあれを作ろうかなー」
「あれ?」
「フローラルウォーターだよ」
私は基剤を調合始める。
軟膏の材料もクスノキの抽出だけになり、物置から小さい鉄製の装置を持ち出す。
鍋とコップに鉄の管が通っている。小さな水蒸気蒸留機だ。
「去年のだけどラベンダーがあるから、蓋のついた方にラベンダーをぎっしり詰め込んで」
「はーい!」
身長的に作業が難しくなるので、昔私が使っていた踏み台を持ち出した。
「ちょっと手がいい匂いになる!」
少ない体重でラベンダーを詰め込んでいるルーア。
クスノキを気にしつつルーアの作業を眺める。
「ふっふーんふーん」
くんくんと匂いを嗅ぐ仕草は小さなワンコのようだ。
「そろそろ良いかな。 そうしたら蓋をして火にかけるよー」
「はーい!」
料理用のかまどに装置をセットする。
ちょこちょこっと私の横でセットの様子を観察しているようだ。
「後は火にかけるだけだよ。 これは危ないから私がやるね」
「はーい」
マッチを擦り、火をつける。
燃え始めの臭い匂いが一瞬だけ広がり、不安定に火が燃え始める。
少しずつ薪をくべ、おきを作る。
「水瓶からボールに一杯水を持ってきてー」
ルーアには少し大きいぼーるを抱え持ち、水瓶から水を汲み上げる。
「重い………」
溢れるか溢れないかのバランスで私の元に水を持ってくる。
「ありがとう。 この水をコップ型の容器に入れて水蒸気を冷却するとフローラルウォーターの出来上がりだよ」
一滴一滴少しずつ落てくるラベンダー抽出物を眺めながら出来上がりを待つ私達。
軟膏をもう少しで出来上がりだ。
水蒸気蒸留では水と油と物によっては結晶が生成されますが、
小説の都合と時間の都合上簡略しましたw
めんどくさいとかそういうわけではないからね!!
ほんとだよ?
次回は多分最終回です(仮)