『忘却の都市』 真実の輪郭
「……まずは、この都市の成り立ちを話そう。」
映像は、淡々と続いていく。
「今から三十年ほど前、この都市は誕生した。当初は建物も住民も少なかったが、徐々に発展を遂げ、やがて“理想の都市”として認知されるようになった。」
その言葉に、霧崎はわずかに眉をひそめた。
夏希は、じっと映像を見つめ続けている。
「創立当初から、都市警備隊という制度は存在していた。 メンバーは——城戸、林、そして私の三名。この都市の安全を守る役目を担っていた。」
小林は、わずかに自嘲気味な笑みを浮かべた。
「若かったんだろうな。都市を守ることに誇りを感じていた。我々こそが、この都市を導いていくんだと——そう信じて疑わなかった。」
しかし——。
「ある日、偶然、本部の人間と接触する機会があった。そのとき、信じられない言葉を聞かされた。」
小林の目が、映像の中で少しだけ細まる。
「この都市に住む者は、ほぼ全員——犯罪者たちだ。 ……いや、“元”と言うべきかもしれないな。」
「彼らは、過去の記憶を持たない。だが、いつ暴動を起こすか分からん。 都市の秩序と安全は、君たち都市警備隊にかかっている。——頑張ってくれたまえよ。」
本部の人間は確かにそう言った。
沈黙。
映像の中の小林は、一瞬だけ目を伏せた。
「その場では、“了解しました”と答えた。 だが——“犯罪者”? “記憶がない”? 聞き捨てならない言葉が、頭の中で何度もこだました。」
自ら調査を開始した結果——。
「本部の人間の言葉は、嘘ではなかった。……住民のほぼ全員が、何かしらの罪を犯した者たちだった。」




