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『忘却の都市』 対峙の刻
ここは、立ち入りが厳しく制限された建物——。
夏希は建物の入り口付近には来た事があったが、中に入るのは初めてだった。
通路を走る。
長く伸びる廊下。その所々に、激しい戦闘の痕跡が刻まれていた。
壁のひび割れ。焦げた床。転がった警備用機器。
そして、その先——。
奥へと続く扉の手前で、2名の隊員が倒れていた。
夏希は息を止める。
急ぎ足で近づき、様子を確認した。
命はある。だが、動ける状態ではない。
夏希は一瞬、迷う。
——二人を外へ運ぶべきか。
だが、迷いは一瞬だった。
侵入者を追う。
それが、最優先。
夏希は扉へと手を伸ばし、開く。
そして——その部屋の奥に立っていたのは、見覚えのある仮面の人物だった。
夏希は、瞬時に理解する。
やはり、この仮面の人物は——ただの人間ではない。
ベテラン2名の隊員を圧倒した存在——。
夏希は迷いなく動いた。
強化デバイスを作動。
腰の警棒を抜く。
——最初から、全力で行く。




