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『忘却の都市』 施設の影
エレベーターの中、怜奈は自分の体がまだ微かに震えていることに気づいた。
安全で平和な都市——そう信じていた。
なのに、これは……?
その考えが頭を巡る中、後ろで工藤先輩と田中先輩が会話を交わしていた。
「……何が起きてるか分かる?」
工藤が尋ねると、田中は静かに答えた。
「建物の入り口で爆破が起きた。それに乗じて——1名、侵入者が入ってきた。」
その言葉に、怜奈は思わず息を詰めた。
「大丈夫なの?」
工藤の問いに、田中は少し考える。
「恐らく問題ない……としか言えない。」
「……。」
「ただ、侵入者は1名のみだ。セキュリティは正常に作動していて、警備隊も対応している。対処できるだろう。」
その言葉に、怜奈はわずかに安心する。
少なくとも、状況は把握できた——。
しばらくして、エレベーターが目的の階へと到着し、扉が開く。
そして、目の前に広がっていたのは—— 先程まで自分たちがいた場所と同じような施設だった。
怜奈は思わず言葉を失う。
まるで、都市の奥深くに隠されたもうひとつの層——。
彼女の知らなかった場所が、そこにあった。




