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『忘却の都市』 疑惑
「約1ヶ月程前、警備隊にある通報が入ったの。」
夏希がゆっくりと口を開いた。
俺は無言で聞き入る。
「都市に不満を持ち、不穏な集会や行動をしている集団がいる、という通報だった。」
その言葉の重さを感じながら、小さく頷く。
「しばらく様子を見ていたんだけど、ここ最近になって報告が急増しててね。そして、例のカフェ——そこで最近彼らが集まっているって情報が入った。昨日カフェに入ったのは彼らを直接確認・抑止する為だったの。」
夏希は端末を操作しながら続ける。
「まあ、昨日は姿を見せなかったけどね。もし居合わせてくれれば、警備隊の存在に気づいて“監視されてる”って思ってくれたかもしれない。そうすれば、馬鹿な真似も控えるだろうって。」
俺は一瞬、眉をひそめる。
「そんな意図があったのか。てっきり、いつものサボリ……」
そう言いかけた瞬間——。
夏希の視線がすっとこちらに向けられる。
微笑。
しかし、目は全く笑っていない。
——「黙れ」と言わんばかりに。
軽く息をのみ、すぐに言い直した。
「さすが、夏希先輩……です。」
城戸はそのやり取りを見ながら、ふっと笑う。
「いいコンビじゃないか。」
柔らかい声。
張り詰めていた空気が、ほんの少しだけ和らいだ。




