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丘陵のさき 世界の先  作者: 玲於奈
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53/57

サイケ

なし

教授棟1階大学のどんづまり。

私は、どこかでパソコンを、いやパソコンに集うおたくをばかにしていたのかもしれない。

しかし、異国の地にいるいま、ここしか頼れるところはない。

深谷との電話を切ってから、宿舎からここまで全力でかけてきた。

下り坂だったので足はますます速まり息があがる。相当の運動不足。この緊急時にそんなこと。

おたく、中の面々はどうだろうか。今はこれしか頼るものがないのにそんな考え。自分にあきれてしまった。

しかしながら今はまさに勝負。助けてもらえるか。もらえないか。信用されたか、そうでないか。

思い切ってその重い扉を開ける。

拍子抜けした。真っ赤なハイビスカス。誰がハワイに行ったのか。

「通販だよ」私を見るなりにこりともせずに、ジョンが言う。

もう何度もこの視線に立ち向かったのだろう。趣味を変えるのはやはり勇氣がいることなのだ。

「どうした息があがっているな。

 俺が使ってる通販ダイエットグッズ紹介しようか」

新手の勧誘かと身構えたが、なんのことはないつかみのジョーク。

笑うかわりに、こちらは必死に今を訴える

「ジョン・マグドナルドティーチャー助けてください、友だちが死にそうなんです」

ばか笑いを期待したジョンの顔が真顔になる。とっておきの鉄板ギャグだったのだろう。

その重い答えに、私は迷える子羊に見えたことだろう。

「くわしく話せ、じゅん」

名前を覚えてくれていたことに感動しながらも、経緯について話す。

5分後、しどろもどろであったが伝わったようだ。

「プリーズ、ジャパンエアライン、マネー、アポイント」

私は、最後にここまで言えた。伝わったかはわからない。

しかし、その3秒後

「わかった。まっていろ」

確かな言葉。その言葉を最後にジョン氏、すぐ後ろの学生にモニターの場所を移動させ

パソコンに向かったジョン氏。一瞬祈る仕草の後

すごい勢いでキーボードをたたく、数多くのページがたちあがる。

それが消えたり、現れたりを繰り返し、

そして10分後、

プリンターがぶおーんと動きだし、紙をはきだしはじめた。

決着がついたのか。

なし

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