シークレットサービス
なし
私が親切に起こしてあげたのに、さっさと学長に会いに行ったこと
数学の授業で、いたいけな女子を手込めにしたこと
ロックフェスタで、勝手に滝先輩の名を語り、滝先輩を殺したこと
極めつけは、ヒッチハイク競争を持ちかけ、私を騙して
ろいさんも騙して、不正な手段で勝ったこと
まだ酔っぱらっているちどり足の後ろ姿
こんなヤツ、こんな奴のために
俺は、おれは、おれの人生は・・負けるのか
ふつふつと怒りがわいてきた
かあっとなって思わず
「近道を通って何が悪い」
その後ろ姿にどなった。
一瞬何のことか、私が言ったのかわからないでいた田村氏、
だが、その殺意を感じ
ものの数秒で「なにい」
「てめえな、もういっぺん言ってみろよ」
私に挑発するように言う。
今までの無様な姿から完全に見くびっている
それに負けじと私
「何回でもいうが、あんたに言われる筋合いはない」
きっぱりと言い切って
捨てぜりふで、こちらが帰ろうとしたその時
「おいてめえ、ふざけんなよ」すごい形相で睨まれ
今度は首を捕まれそうな勢い
ここで負けたら終わりだ、
このまま奴隷だ、負け犬だと思い
「なぐんならなぐれよ」と逆に挑発してみせた
はったりをかまして勝ったと思ったら
「てめえ」という声とともにパンチが飛んできた。
まさか、よもや殴られるとは思わなかったが
パンチが飛んできた。
よけようとしてかがもうとしたが
顔面をわずかにさけてこめかみの脇に
パンチが当たった
私は思わず石畳に尻餅をついてしまった。
唖然としている私に、
「運が良かったな、この次は顔にパンチが命中だぞ
あははははあは」
高笑いしながらこちらに振り向きもせず去っていく田村氏
悔しいけれど、追ってタックルしてたたきのめす。
そんな事はできなかった。
尻餅を着いた時点で私の負けであった。
情けない。負け犬。
全てに負けるのか。本命の留学先、ストラス大学にも行けないのか。
そして、まったく動けない私。
自分に無性に腹が立った、そして、目から何かが流れてきた。
雨が降っているかのようだった。
あらら派手にやっちゃいましたね。
まさにそんな顔でくま五郎氏よってくる。
戦いの翌朝。人の出入りの激しい朝の売店。
開口一番「医務室は向こうにありますよ、案内しましょうか」
すすめているのかジョークなのかよくわからないので
愛想笑いをする。
くま五郎氏顔をしかめて氣味悪がられた。
昨夜は、胸くそ悪かったので、そのままシャワーも浴びずに寝た。
そして今朝、部屋の鏡を見て驚いた。
さすがにお岩さんにはなってなかったが
ほほの上が少し青くなっていた。
たいしたことないと、鏡を見た時は思ったが、
くま五郎氏のリアクションを見て
そうとう青くなっていることがわかった
恥ずかしくもありながらも、
田村氏にこの姿をみせてやろうかと思って辺りを見回すが
あのうるさい小学生どもが無言で避けていく以外
食堂の遙か遠くに学生がいるだけで
やつの姿はない
いつもどおりたんたんと列に並んで、壁の華でおそい朝食を食べる。
食堂のおばちゃんもこちらの異様な氣配に全く声をかけず
誰にも声をかけられないまま、壁の定位置でよかったと再認識。
帰り際、やっとこ落ち着いた人の流れの売店で
くま五郎氏から「学長室に10時」と伝言をうける。
早耳だ。シックレットサービスか。
そして、
さっそくケンカの仲裁か、はたまた退学か、強制送還か。
まだ何も勉強していないんですけどね。
ややびびりながらも、まあどうでもいいかと思いつつ
10時、5分前に学長室に向かう。
なし




