七つの海を支配した国
なし
中心市街を抜けた所に突如ガラス張りの近代的建物が、それが、バスセンターだ。
さすがに歴史ある街並みの中心街。しかしながら、周辺区域はすこしずつ近代化。
さてそのバスセンター。英国では長距離バスのことをコーチと呼ぶ。
鉄道より時間はかかるが料金はとても安い。ロンドンまで20£程度か。日本の高速バス並だ。
鉄道は倍。50£近くする。ちなみにロンドン、グラスゴー間は8時間弱。
鉄道は5時間。飛行機は1時間半。時間はお金に換算される。貧乏人は時間で稼げか。
いよいよ、近代的な建物が大きく見えてきた。ついに、坂を登りきった。
バスステーション前の通りはウエスタンロード。宿舎へのバス通りだ。というか
グラスゴーの街を南北に走るメイン道路。中心市街を抜け、ずっとまっすぐクライド川と並行して走る。
北へ行けば、そのまま港へ、空港へ。高速道路に連結している。そして海。大西洋へ。
反対も同じく高速につながりエジンバラへ。
途中右折し、丘陵地帯に入る。ベアーズデン。熊の巣とは、おもしろいネーミング。人口100万人の街で熊の巣とは。
今、私が立つバスセンターは立地条件的には、私にすごく有利な氣がする。
「地勢を取るものが戦を制する」勝てる。そんな氣があふれてくる。
バスステーション前の道路沿いはパキスタンニィーことパキスタン人の雑貨店が軒を連ねている。
ロンドンから北上し、ここバスターミナル周辺で街を形成したか。
途中路地の建物のすき間に段ボールをみつけ、それを引き裂く。バスセンター前の古びた雑貨店。
店に思いきって入った。ヒッチハイクの目的地を書くためだ。
人のよさそうな店主にペンを借り、外で目的地の大学名を書く。これで私が留学生で困っていることがわかるかもしれない。
そう思った。パキスタン人店長がのぞきにくる。店の奥には子どもをだいた若奥さんが心配そうに見つめている。
英国もアメリカとならび多様な民族国家。清掃、土木従事者などの日雇い労働者にはアフリカ系などの移民も多い。
かつて、世界の七つの海を支配した大英帝国のなごり。
しかしながら、かつての栄光が、移民受け入れによる本国の職不足。はたまた、失業率となって
今、かえってくるのは皮肉としかいえない。そういう状況がヒースローの冷酷な留学生拒否に
つながっているのではないか。そう思う。
自分の世界観では、今までアメリカこそ移民の国というイメージが強かったが、
なんのことはない。アメリカに移民したのもここ英国から。
さらにスコットランドから海をはさんでアイルランド。
特にアイルランド。ここからアメリカを目指した人々が多い。ちなみに
ニューヨークでは、毎年、聖パトリック祭が開かれると聞く。
寮にもアイルランド、そして、スコットランド北部のハイランドの人たちが多いと
田村氏いんちきバンド演奏の飲み会で聞いた。
大都会、東京へ。どこの国も若者は夢を持ち上京する。自分もその一人か。
バスステーション前が功を奏したか。開始40分後。一台の車が止まった。
40歳代男性、髪がブラウン。小学生の息子が助手席に。その人は、「やあ、こんにちは」
窓から日本語で言ったような氣がした。それにめんくらっていると突然。後部座席が開けられ
2人の人間が乗り込む。何も言わずに急発進。走り去る車の窓から「ばああああーい」
聞き覚えのある声が。やっぱり田村氏。あのしてやったりの顔が憎らしい。
きっとどこかの建物の陰からこちらを伺い、止まったところで先を越す。
なんともずるがしこいハイエナ商法。
きっと今頃「助かった。友人は街に住んでる。僕らのかわりにヒッチハイクをしてくれた」
などとうそぶいていることだろう。
悔しくて、本当に悔しくて涙がでてきた。こんなことで負けるのか純。
なし




