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丘陵のさき 世界の先  作者: 玲於奈
12/57

総選挙

なし

さきほど、だましうちをした田村先輩も神妙に聞いている。

なぜ先に行ったのか、まったくわけがわからない。

先に行くなら行くと、真向かいの部屋なんだから教えてくれればいいのに

そんなことを考えていると、学長と目があった

学長、タイミングとばかりに言う

「実は、あなたがたはストラス大学を志望していますが

 残念ながら2人は入学できません。」

表情はにこやかなままだ

「純は姉妹校からの推薦として、涼はロンドン大キングスカレッジの教授推薦を得て

 ここにおられますが私どもは試験をしたいと考えています」


何をいっているんだ、入学できないですと総選挙!!!片方が脱落か

なんちゅうこっちゃ、ここまできて試されるとは

大学を出るとき、英国文学

「姉妹校留学だけども、国費留学で申請したから手続きしろよ」

こともなげにひょうひょうと言う

ああ、骨を折ってくれた英国文学はなんて言うか

思わずため息がでてしまった、特にがっくりうなだれた私をみて

「氣にしないで試験といっても、あなたがたのお国のように

 ペーパー試験ではありません。」

「ここは、ストラス大本学とは別の場所にある教育学部です。

 そして、教育学部専門の校舎です。ここで講義をうけてもらい1週間様子をみさせてください」

ああ無情。とはこのような時に言うのだろう。

その後、無機質な教員棟を歩く。次に向かったのは、副学長の部屋。

なんと副学長は女性、眼鏡がきまっているエリートビジネスウーマン風

女性の社会進出が機会均等なのか。

入るや否や、こちらも丁重なお出迎え、やはり握手をもとめられる

ちょっと恐い感じだったが、さっと眼鏡をとると、近所のおばちゃんを

おしとやかにした風情

アイリーンと名乗る、なぜかやさしさに包まれた

そういや壮行会で英国文学がメールでやりとりしていると言っていた

切れ者もアイリーン。もしかして同一人物!!

数年前、我が母校も世界的な発展をとユニバース48という国際的な研究ネットワークに大学が加入。

本学の推進部長として英国文学。そして、姉妹校では、アイリーンがその旗振り役という責務を担ったとか。

メールだけのやりとりだがすごく有能な女性秘書といった感じだったそうだ。

英語もきっちりクイーンズイングリッシュ。とてもスコットランドからという雰囲氣はなかったそうだ。

先ほどの学長も留学生担当の副学長は、よくホームパーティを開いて

留学生を自宅に招待する非常にめんどうみのよい人だよと感心していた。

その言葉に社交辞令や嘘はなさそうだ。どうやら学長も副学長も人格者で

よい学校運営がされているようだそう思った。


なし

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