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ジキ
庭に置かれた小さな椅子
背もたれのついたその椅子に
僕はいつも座っていた
僕の多くの友人たちは
既に歩みを始めていたから
僕が庭で座っていると
呆れたように笑って行った
まだそんなところにいるのかと
踏みだすことが怖いのかと
笑って彼らは先へ進んだ
季節は一周二周と巡り
ある日椅子が壊れてしまう
その椅子を庭に埋めてやり
僕は庭の出口へ向かった
踏みだすことに恐れはない
僕はただ 待っていただけ
僕が行くべき最高の時が
必ず来ると知っていたから