第三話:遭遇
西暦3596年、18となったメイはイニチアで果物店を営む霧島藍の家で一緒に暮らしていた。
幼かったメイには近くに親戚は居らず、あの時看病卯してくれた藍の家で暮らしてきた。
藍は朝から昼過ぎくらいまでお店を開き、夜はメイと一緒に家に居る。藍はメイを自分の子供のように育ててくれた。
「おはよう、藍さん」
「あら、おはようメイ」
「今日はずいぶん早いのね」
「うん、今日は父さんと母さんの命日だからね」
メイは少し悲しげな表情で笑った。藍は「そうだったね」と背中叩き見送った。申し訳ないといった顔を浮かべた。
メイは町から少し離れた丘へ向かった。そこは昔家族三人で暮らしていた場所だ。
家は壊されたまま放置してあり、その真ん中には若い木が二本生えていた。
「父さん、母さん。俺は元気にやってるよ…」
メイは木の根元に花を添えて手を合した。
「おれ、都市に行って魔導士になってくるよ」
そうつぶやくと、肩に暖かくて優しい感覚感じた。
「ありがとう……、おれ頑張ってくるよ」
そう言って町の方へと戻っていくのだった。
「フィィーー」
「オッと、ベルか」
「フィィー」
肩にとまったベルは“あの日”に助けた雛である。意識を取り戻した次の日、崩れた家の中で泣いていたのを町の大人が見つけてきた。それからはメイと一緒に藍のお世話になっていた。
今では、結構な大きさまでに成長していた。
「今日は都市に行く日だ、キャラバンではおとなしくしていろよ」
「……」
ベルはメイの方をチラッと見て町の方へと飛んで行った。
メイはゆっくりと街へと戻った。
町に着くと買い物をしていた藍と出くわした。まだお店が終わるには早い時間なのに。
「やぁ、藍さん。お店はどうしたの?」
「メイ!もうお参りは済んだのね」
「今日は早仕舞いだよ、なんせメイの門出の日だからね」
藍はメイと一緒に買い物の続きをした。家へ帰ると屋根にはベルがいた。今夜は早めの夕食になったいつもより品数も多く豪華になった。ベルには大きめな生肉が用意してあった。藍との最後の夕食は楽しかった。藍は「昔のメイは…」と思い出を話していた。
「…体には気を付けるんだよ」
不意に藍がつぶやいた。
「うん、ありがとう」
夕食はいつもより長かったのに、あっという間にキャラバンに乗るを出る時間になってしまった。
「それじゃあ、行ってくるよ」
「いってらっしゃい。しっかりやるのよ」
藍は笑顔で手を振って見送ってくれた。
キャラバンが遠くに行につれと藍の目に涙が溢れてきた。拭いても絶えず溢れてくる。
それでも藍は「頑張るのよ」と姿が見えなくなるまで見送った。
メイが住んでいたイニチアから目的地の貿易都市ロマーネまではキャラバンで3日ほどの距離。
何事もなく3日が過ぎもう少しでロマーネが見えてくるところで森の奥から魔物の声が響き渡る。
「フィーー、フィーー」
ベルが森の方に泣き始めると、
「ワオォォー…」
「グァァォォ」
そう森から響き渡ると街道左手から何かが飛んできた。それを追うようにさらに2種の獣が出てきた。
(ブラックベアー)と(ブルーファング)であった。
魔物たちは街道を挟むように睨み合い唸る。
どうやら、縄張り争いに巻き込まれてしまったようだ。
すぐさま護衛の冒険者が前に出て戦闘が始まる。冒険者の一人が驚き暴れる馬をなだめる御者に
「そのまま待機して、巻き込まれないように」
そう言って魔物たちへと突っ込んでいった。
メイはキャラバンから冒険者たちの戦いを眺めていた。
彼らは連携をとりながら戦ってはいるが苦戦気味であった。(ブルーファング)は何とか追い払えたが(ブラックベアー)はそうはいかなかった。攻めあぐね睨み合いになった時、光の針のようなものが(ブラックベアー)の目を射抜く。
(ブラックベアー)は悶えその隙で冒険者がとどめを刺した。冒険者は軽い負傷はで済んだ。
「さっきの攻撃はいったい…」
冒険者が攻撃のあった方には、キャラバンのほか誰もいなかった…。
倒した(ブラックベアー)をキャラバンに積み目的地へと進みだす。
そうしてようやく貿易都市ロマーネに着いた。
街に入ってすぐでキャラバンから降り街の風景が目に入る。出店が多く並んでいて多くの人で活気だっている。
メイはまず宿屋を探すことにした。
周りを見回して歩いていると勢いよく誰かがぶつかって来た。
「うわぁ」
「ふぎゃぁ」
ぶつかって来た少女は勢いよく倒れた。
「大丈夫か?」
「いてて…、うん大丈夫。ありがとう、あとごめんなさい」
そう言って少女は走り去っていった。




