表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/302

ぼんやり令嬢、意外な人物らと再会する

あれよあれよという間に、可愛らしい、ミントグリーンを基調としたコーディネイトが、出来上がり、いくら私といえど、心はまだ乙女なのでその美しさに見惚れていると、ニーチェさんが頭を撫でてきた。


「気に入ったか?」


「はい、すごい綺麗です。」


 そう答えると、ミドガルド様も満足そうに頷かれた。


「それは良かった」


「ミドガルド様、本当にありがとうございます。」


「あぁ、いいんだ本当に小遣いみたいなものだから。」


 いつもありがとうな、と鮮やかに微笑まれ、なんかこう、心臓がぎゅっと捕まれたような感覚…もしやこれが恋?なんて思っていると、王妃が少し不機嫌そうに、ミドガルドさまを可愛らしくにらんだ。


「ちょっと、ミド、うちの娘の友達とらないでくれる?」


「なんでお礼をいっただけでそうなるんだ……」


「ミドはもっと、自分のその呪いみたいなカリスマと、自分の魅力のコントロールできてなさを、どうにか自覚しなさい。」


「呪いって…」


 肩を落とすミドガルドさまをみて、あ、 本当に無自覚にあんな魅力を振り撒いてたの?意図的にやったら、ちょっとした国ができてしまうんじゃない?と少し驚いたものの、その様子は可愛らしく見えた。

 

 そうしてアイン様のとこに戻るも


「ん?フルルちゃんも帰っていいよ?いつもニィリエが送ってってるんでしょう?もしかしてもうお迎え頼んである?」


「あ…忘れてました。」


「逆にそれで良かったよ。お疲れ様、いつもありがとうね」


 ……と和やかに送り出され、いつもながら長い廊下を歩いていると、遠くによく見知った姿が見えた。

 

「お爺様」


「おぉ、フルストゥル。久しいな」


 私と同じ髪の色とお父様と同じ深い藍色の瞳をした、一見厳格を擬人化したようなこの方は、ジルベール・ベルバニア。

 前ベルバニア家当主で、今は隠居しているが、様々な政策のおかげで、より住みやすくなったことから、ベルバニア領の領民から、神のごとく尊敬されている、私のお爺様がそこにはいた。


「はじめまして、ジルベール様」


「話には聞いている、ニィリエ・ハイルガーデン殿だろう?いつも、孫を守ってくれてると聞いているよ」

 

 さて、とお爺様は呟いた後にベルバニア家の馬車を指し示した。


「乗っていきなさい、いろいろ積もる話もあるだろう」


「えっと……。ニーチェさんは大丈夫です?」


「ん?大丈夫だよ、それに、こんな機会なかなかないからな」


 そうしていつものように、気にするな、と優しくいってくれた。


 なんか毎回、こういったことに付き合わせて申し訳ない、と思いつつ、ふと御者をみると見たことのある人物だった。

 

「あれ?ラスターさん」


 思わず名前を呼ぶと、少し気弱そうな声で彼は答えた。


「ベルバニア伯爵令嬢……お久し振りです。」


「知り合いか?」


「えぇ、ブランデンブルグ侯爵家の使用人の方です。」

 

 そういうと、ニーチェさんは少しだけ目をつり上げ、なんで侯爵家の者がいるんだと、警戒心を露にしていたが、それをみてお爺様は臆することなく答えた。

 

「あぁ、ブランデンブルグのぼっちゃんの癇癪のせいで、クビにされたみたいでな、私が引き取ったんだよ」


「そうだったんですか」


「もしかして、ブランデンブルグの者の顔をみるのも嫌だったか?」


 きょとんとしている私の表情を、どう解釈したのか、お爺様は物凄く、普段厳しそうな顔を心配そうに歪めたが、それは私にとって杞憂だった。

 

 本当に、使用人の方々にはよくして頂いていたし、特に家令のジョエルさんは、レヴィエ様のあまりの行動に心を痛めていられた。

 ラスターさんも、ブランデンブルクの車に、正式な婚約者である私より、他の令嬢をのせて運転することに、強い違和感と嫌悪感を持っていたらしく、私にうっかり失言した運転手を、強く非難するほどの正義感がある方で、恨みなんてこれっぽっちもない。

 

「いや、別に ……それより癇癪って?」


 先ほど軽く流してしまったが、気になってラスターさんに聞くと、ラスターさんは深く肩を落とした。


 「それはこの先で話そう、ラスター頼むな」


 「はい、かしこまりました。」


 「……今から、ベルバニアに行くわけではないですよね?」


 「流石にここからは遠いからな」


 おじいさまはそう笑うも、あえてなのか行先は告げないまま、馬車はどんどん走っていった。

そうして着いたのは、首都郊外の落ち着いた空気のなかに立つ、小さなお屋敷だった。


 「おじい様、首都に家を買っていたんですか?」


 「それもいいけどな、ここはロクサリーヌの住んでいる館だよ」


 「ロクス叔母様の?」


 「あぁ…ちょっと頼んで、離れを借りることになってる」


 「そうだったんですか……」

 

 なるほど、と納得していると、お爺様は優しく頭を撫でながら続ける。


「今度、会ってやってくれ ロクサリーヌもお前に会いたがっていたよ」


「はい」

 

 そうしてロクス叔母様の離れ、離れといっても、十分立派な住居に入ると、こじんまりとしているが上品な雰囲気に安心しつつも、これからの話も気になったが、またまた知ってる人物が目に入った。


「ソーニャさん」


「お久し振りです、ベルバニア伯爵令嬢」


 そう答えたのは、ソーニャ・メイヤー。

 ブランデンブルグ侯爵家のメイドで、主にレヴィエ様の側仕えとしていたせいか、その淡い紫の髪も、理性的な紫紺の瞳も見覚えがあった。


「ソーニャさんも理不尽解雇を…?」


「いえ、私は自分からですので、ご心配なく」


 ソーニャさんは凛とした表情で答えるが、それを聞いてなるほどねー安心、とはいかずただ、ただ戸惑うばかりだった。

 

「さて、ラスターの話も踏まえて話そうか、ソーニャ紅茶を頼めるか?」


「はい……話も長くなりそうですし、なにか、つまめるものも用意しますね。」


 そうして、ソーニャさんが、お茶の準備をしてるのをソファでまちながら、視線で、お爺様に促されたラスターさんが、ぽつぽつと、まるで罪人が罪を告白するように話し始めた。


「レヴィエ様は、元々気性は荒い方ですがそれでも、強い言葉を使われることはあっても、我々使用人に暴力を振るったり、クビにしたりするような方ではありませんでした。……ですが、ベルバニア伯爵令嬢との婚約が破談になってから、様子がおかしくなられて」

 

 そこまでいうと、配膳しながらソーニャさんは、ラスターさんを冷ややかににらんだ。


「……ラスター、それじゃあベルバニア伯爵令嬢のせいみたいじゃない」


「違います、断じて、フルストゥルお嬢様はなんにも悪く有りません、すみません」


 まるで、私が物凄く怒ってるかのように、過剰に首を横に振る彼が憐れに思い、こちらも急いでそれを手で制した。


「いえ、気にしないでください。それにしても、どうしてでしょう?」


 私が首を横にかしげると、ラスターさんは心底見当がつかないといった表情で、こちらを見上げてきた。

 

「どうして、とは?」


「だってレヴィエ様、私のこと会うたびに罵倒するくらいには、嫌いじゃないですか、そんな私と、代償を払ったとはいえ婚約がなくなったんだから、好きに遊べばいいのに」


 

 そこまで一息で言うと、だんだんだんだん、呆れや失望が怒りへと変貌してきたが、感情的になってはいけない、と深呼吸し、ラスターさんに告げた。

 

「……どうして、放っといてくれないんでしょう。」


 そう心からの願望を吐露するように呟くと、なにかを感じ取ったのか、私より泣きそうな顔でラスターさんは深く頭を下げ、それにソーニャさんも続いた。

 

「………っ、申し訳ありません、ベルバニア嬢」


「私からも、謝罪させてください。」


「……いや、別に」

 

 大丈夫、と呟こうとするも、それはニーチェさんによって阻まれた。


「……そうだな、主人が間違えたら、正すのも従者としての役割だもんな、君らが全く悪くないとは、同じ従者として仕えている俺にとっては、そうは思えない」

 

そこまでいうと、いつもの優しい雰囲気で、気さくにラスターさんに問いかけた。


「まぁとりあえずあのバカの今の様子を教えてくれるか?フルル……。聞きたくなかったら無理しなくていいけどどうする?」


 こんなときまで私のことを常に気遣ってくれて、逃げてもいいなんていってくれる人、この世にいるんだろうか、なんて感心しつつも、私はゆっくりと首を横に振った。

 

「……いえ聞きます、私のことなので」


 ニーチェさんは、一瞬驚いたものの、すぐに柔らかく微笑みあたまを撫でてくれた。


「そうか 逃げないで偉いな」


「ニーチェさん」


「ん?」


「心配してくれてありがとうございます。」


「あぁ」

 

 その様子をお爺様は、とても安心したような、穏やかな表情で眺め、それをみてラスターさんも、意を決して口を開いた。


そのとき私は、意外な事実に驚かされることになるとは露とも思っていなかった。

いつも読んでくれてる皆様、初見の方閲覧ありがとうございます。

いいね、評価してくれる方本当にありがとうございますとてもモチベーション向上につながっております。


お暇なとき気軽な気持ちで評価、ブクマ等していただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ