第三話『主人公、テイミング/主人公、クエスト連続クリアそして特殊クエストへ』
護衛クエストを見事クリアしたMikoto。この後も残っているクエストを消化していくが………
( ´ ▽`)ノ
(作者)「沖縄の海を見ながらの投稿です」
“メタルキャンサー”
それが俺が戦った蟹の名前だ。本来の大きさは俺より小さいというが相手にしたメタルキャンサーは俺の二倍以上はあった、言うならばメガメタルキャンサー
「ブルーコング以上の大きさを持つその身体は鋼鉄以上の硬度を誇る、だが最も恐ろしいのはその素早さである。その巨体からは想像も出来ないほどの速さで近づきその硬度による重い一撃は全てを吹き飛ばす」
らしいです。らしいと言うのは村人NPCが言っていたからだ
倒そうと思ったけど使うかもと持ってきていたテイム用アイテム『テイムリング』の出番だろうと思いテイムすることにした
使い方、リングを対象モンスターに投げる
以上である。下の方に弱らせれば成功率が上がると書いてある
もう何十分と攻撃し続けたんだ、体力は減っている筈。今回は面倒なので『ハイテイムリング』を使おう
それじゃ、使いま~す
「食らえェ!」
目の前に出現した手のひらサイズのリング、それを右手に持ち攻撃スキル投擲を発動し高速で投げる。小さいリングは蟹の腹にブチ当たり光の粒子となり消えた
失敗か? 成功か?
10秒ほど動きを止める一人と一匹、先に動いたのは蟹だった
ゆっくりとした動きで俺の前にやってくる、敵意とかそういう感情を感じないので俺はハンマーを下ろし装備欄に仕舞いこむ
『グガガ………』
これからよろしくお願いします、頭を垂らす蟹からそんな声が聞こえた気がした
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そんな訳で初めてのテイムは無事に成功。その後に出てきたモンスター達は命月(読みはみょうげつ、俺が命名した)と一緒に倒した、今まで以上にあっさりと片付き楽だ、思わぬ収穫である
村を出て夜道を進みながら闇に紛れて襲ってくるモンスターを狩る。夜ということもあり出てくるモンスターは昼以上に俊敏で力が強い。だがその攻撃も命月の前ではあって無いようなもの
不用意に近づいた結果巨大な鋏で叩き潰されたり真っ二つにされたりタックルを食らい吹き飛ばされたりと、無双っぷりを発揮していた
「命月が強すぎて俺の出番がない、でも経験値が少しだけ入ってくるのは嬉しい………でも出番がなぁ」
俺も倒しているのは倒しているのだが命月の方が動きが速いし攻撃力が高いのでどんどん倒していっている状況である。経験値は命月が倒しても俺に僅かに入るからいいけどなんだかなぁ
幾ら攻撃を食らおうとも怯まないその姿、正に鉄壁
「お、三日月草ゲット」
『三日月草を手に入れた』
クエスト限定アイテムである三日月草も手に入った、護衛の時やこの森に来るまでに討伐クエストの方も狩らなければいけない数は狩り終わっている、後残すのは特殊クエストの『暗闇に紛れた眼光』だけである
暗闇に紛れた眼光。ランク6の上級クエスト、正体不明のモンスターを見てくるまたは討伐。討伐で追加報酬も手に入る様なので倒そうかな、でも強いと死ぬからなぁ
命月との出会いでダンジョンの外にも強いモンスターがいるのが分かった、多分この正体不明の奴も強モンスターなのだろう。命月との戦闘で回復アイテムをかなり使ったから避けたいんだよなぁ
「今日は戦闘は控えよう」
そんな訳で俺は目撃情報があった場所である森の端、が見える草むらの陰に隠れている。え? 命月? 命月は地面に穴を掘って入り土を被せて目だけ出している、デカすぎて草むらからはみ出すのは拙いからだ
日が落ち黄金の月が空に昇りもう何時間経ったのだろうか、寒さで手が悴み歯がガチガチと鳴る
そして、草木も眠る丑三つ時、そいつは現れた
まず最初に反応したのは命月だった。地面がグラリと揺れた、命月が出てこようとした様だ。出てくるのを抑えたが命月の鋏の先端が地面から突き出してしまった
そんな反応を示した命月の目が向く方を見れば木々の間から様子を伺うように街を見つめる者が一人
闇の中に紛れる漆黒の人間がいた
とんがり帽子、肩の部分と袖の部分が膨らんだ黒のYシャツの上に黒のベストコルセット、黒のプリーツスカート。真っ黒なマントを羽織り膝まである黒のブーツを履いている
腰まであるストレートの髪は眩い黄金色、誰もを魅了する程美しく妖艶さを醸し出す整った顔
お伽噺に出てくる魔女がそこにいた
『グルルルルル………』
『? ……………』
小さくだが確かに聞こえてきたのは獣の唸り声、それに答えるように後ろを振り向く魔女。いつの間にか魔女の後ろの何もなかった暗闇にナニカがいた
黒光りする鱗、開いた口から見える牙と滴り落ちる唾液
木を超えるんじゃないかと思うほどのその頭は、首の付け根の部分から先が見えないのは何もない空間に穴が開いておりそこから首だけ出しているからだろう
そこにいたのはゲームで馴染み深いモンスターであるドラゴンだ
全く気付かなかった。何故気づかなかった? 分からない、気配を消していたのか? 俺のマントと同じスキルを持っているのか?
頭の中に疑問が溢れている。考えても無駄か、と思い返し再度魔女の方を向く。ドラゴンと何か会話でもしているのだろうか? 遠すぎて聞こえないが何か喋っているのは分かる
『グルル………』
『………、…………』
いったい何を話しているのか
『………』
「?」
会話が止んだ、どうした
『』
ニヤリ
「!?」
振り返り笑みを浮かべ俺を見る魔女、遠いというのに見事にかち合う視線
「(何で、どうして。俺は確かに気配遮断のスキルが効いているのにッ)」
では何故か、命月か? いや地面に潜った命月も俺と同じ気配遮断状態になる
「(!? ドラゴンの嗅覚か!)」
モンスターは嗅覚が強く遠くてもプレイヤーを探し出す奴がいると取説にあったのを思い出す。魔女は兎も角あのドラゴンが俺か命月の臭いを嗅ぎつけたのか
気配は消せても臭いは残る、そういうことですか
さて、ここで選択肢は三つ
・逃げる
・戦う
・話す
まず戦う、強モンスターはやっと勝てるレベルなので二体同時は無理だ。命月の頑張りで何とかなるかもしれないがそれは難しいだろう
三つ目の話す、何故こんな選択肢が出てきたし。魔女の方は話せるだろうが流石に出来る気がしない
残った二番目、逃げる。これが一番良いだろう
決まれば即刻実行
ゆっくりと近づいてくる魔女、森の中で待つドラゴン。二体のモンスターから溢れ出る何とも言えない雰囲気が嫌だ、空気が体中にグッと重く圧し掛かっている様に感じる
ヤバい強い、そう俺の本能が告げている気がする
「命月、俺が合図したら砂を巻き上げろ、良いな」
『グググ………』
小さな声で命月に命令する、必殺砂煙で目暗まし
じっと動かず草むらに隠れる俺、一直線に向かってくる魔女。その距離が20メートルに差し掛かった瞬間
「やれ! 命月!!」
『グゴゴゴゴゴ!!』
『『!?』』
地面を吹き飛ばしながら命月が現れる、その拍子に辺り一面を覆う土煙。作戦第一段階成功
「命月、俺を乗せて街に逃げ込め!!」
『ゴゴ』
命月の背中にしがみ付く、命月はそれを確認したのか物凄い速さで走り出し。|横歩きでなく真っ直ぐに(・・・・・・・・・・・)
実はこの蟹、横歩きだけではなく真っ直ぐにも走れるのである。中にはそういう蟹もいるがな
煙の中を突き進み煙の外に出てしまうが街までの距離ざっと800mくらいだ
「やったか────ッ!?」
フラグを自分で建ててしまったと思う暇もなく視界の端に何か映り振り向く、あれは魔女!? さっきまで煙の中にいた筈なのに煙の外にいた
俺たちと30mの距離を開け並走する様に飛んでいる魔女
『……フレイムショット』
魔女が何かを呟く、こちらに向けられた杖の先端から炎の矢が飛んでくる
「命月! 左に振り回せ!」
何度目になるかも分からない命令。命月も危機を察知したのだろう、俺が言ったのと同時に鋏を振るう。その鋏と炎の矢がぶつかり爆発した
『!?』
衝撃で命月の足が若干遅くなるが直ぐに立て直し一気に加速する、魔女の方は自分の攻撃が効かずに動きを止める。その隙を突きゴーゴー
魔女が我に返り追いかけてくる、だが距離が開いた。逃げれる!
飛んでくるカラフルな魔法矢を避け続け何とか街の入り口に着く。勝った! と思い後ろを向けば離れた場所からこちらを見ている魔女
「なんだ?」
『……………、……………………』
何かを呟き飛んでいく魔女、何を言っていたのかは聞こえなかったが何を言っていたのかは分かった
『貴方は獲物、また会いましょう』
数日間外に出ている時警戒し過ぎてブッ倒れたのは内緒だ。俺が目覚めるまで守ってくれていた命月には感謝しても感謝しきれない思いです
ここで出てきた新たなキャラクター三人(?)
メタルキャンサー、魔女、ドラゴン
主人公はヘタレです




