sideB7)博多にわか 怪談編(福岡特有の妖怪しばりで)
ふてぇがってぇどうじゃろかい。
○馬の足
男「いやぁ、助かった。アンタが出て来てくれたけん、チンピラどもは泡喰って逃げて行ったバイ。」
馬の足「そりゃあ、アタシもオバケじゃもん。ちっとはエズかろう。ばってん、幽霊ほどはエズなかろうが。霊(礼)には及ばん。」
エズか:怖い
馬の足:福岡県の妖怪。大木の枝から馬の脚だけがぶら下がってくるという、いわゆる「下がりモノ」系の意味不明怪異。
○紫女
男1「紫ん着物着たえろう美しかオナゴん子と、逢引の約束ばしたとじゃが、ちぃとも姿ば見せよらん。どげしたとじゃろうか?」
男2「紫の着物着たオナゴて、そりゃ紫女いうて狐の化身たい。狐だけに、今日もコンコン(来ん来ん)、明日もコン(来ん)。」
えろう:たいそう
オナゴん子:娘さん
どげしたとじゃろうか:どうしたのだろう
来ん:来ない
紫女:井原西鶴の『西鶴諸国ばなし』巻三「紫女 筑前博多の国にありし事」に出てくる妖怪。紫色の着物を着た美女で、男の精力を吸い衰弱死させるという。刀で切られても死なず、国中の修行者を集めてようやく追い払った。紫女は、本文中では一言も狐や狐の化身であるとは書かれていないのだが、何故か狐であるとされている。