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灼熱の銀の球体  作者: 佐屋 有斐
第一部第五巻「天秤の剣」
81/179

一章


「百年に一度、十三の軌道から外れた世界で目覚める神秘の剣。名を天秤の剣といい。磨かれた美しい千の刃は裁くため、光の天秤は計るために存在しているという。摩訶不思議な剣は世の理を覆す力をもち、剣がひとたび変えた理は永久の理となる。

 叶い難き願いを望みし者たちは、天秤の剣の主に誘われ、我が望みを叶えんと剣に乞う。

 天秤の剣は適う者あらば与え、適わぬ者あらば篩から叩き落とす。人の才覚では推し量れず、天秤の剣は万有のなかで何ものかを選ぶ」



マーシア




 第一章 贈り物





 深紅のカーテンが開かれた暖かな庭に通じる大きな窓は、この屋敷の主人のお気に入りだった。重厚な書斎机に座れば、仕事の合間に白い乳母車を覗き込む美しい妻の姿を見ることができるからだ。 

 彼の妻は若い侍女二人に付き添われ、黄色い花が咲く花壇の傍の木製ベンチに座っていた。長い金髪を後ろで低く結い、毛先を右肩に流し。ピンク色の寝間着の上に同色のカーディガンを纏っていた。胸元には煌らめく小さなダイヤのペンダントを飾っていた。愛する夫からの贈り物だ。乳母車を軽く押し引きしながら、金色と橙色の左右異なる目が微笑んでいた。

 幸せそうな妻サンジェルの姿を窓越しに見て、夫であるロルコ・ザベル卿は安堵していた。

 ザベル卿は五十代後半、上品で知的、温厚で頼もしい人物だった。

 黒い髪に合わせて洗練された黒いビロードのローブを着て、肉厚な指には金色の太い指輪を四つ嵌めていた。どれも宝石のついた指輪で。赤や青、黄色、深い紫の石が鮮やかに輝いていた。

 書斎机の本立ての右隣に置かれた丸く黒いボードには、撥弦楽器ネーチェルを演奏する赤いドレスの女性が小さな立体映像として映し出されていた。女性の奏でる不思議な旋律は明るく陽気なもので、心を癒した。そうして楽しい演奏を聞き入りながらぼんやりとザベル卿が窓の外を眺めていると、書斎に小柄な白髪の執事がやってきた。

 高齢故に瞼がさがり半分しか目が開いていないだけなのだが、とても厳格そうな雰囲気が漂っていた。代々、ザベル家に仕える執事のリスター・ジェンだ。リスターはぴんと背筋の伸びた小柄な身体に黒いスーツを纏い、細枝のような両手の指先をそっと合わせ、主人にお辞儀した。

「旦那様、アデュトル様がお見えになりました」

 口髭を蓄え、丸い眼鏡をかけたザベル卿は太い指先を振った。

「書斎に通してくれ」

「かしこまりました」

 リスターはお辞儀して、書斎を出て行った。

 ザベル卿は書斎机に置いていた仕事の書類を左隅に置いていた黄色い封筒の中に入れた。表に自身の名前を書き込んで、封筒の頭に糊付けするかのようにすっと人差し指を横に引いて、魔力で封をした。これで封筒を破らない限り、ザベル卿以外は開封できないようになった。厳重に封をしたのだ。

 封をし終わると、ザベル卿は本立ての前に置かれた黒いインク瓶の蓋を押した。書斎机の上に小さな時術式が現れた。二つの時術式の間に現れた光の柱の中にザベル卿が封筒を置くと、封筒はどこかへ空間移動して行った。時術式が消えると、書斎机には何も残らなかった。ザベル卿が次に書斎机の引き出しから、白い小さな封筒を取り出してローブの内ポケットに入れると。都合よく、リスターが客を連れて再び書斎に戻ってきた。

 ザベル卿のものとまったく同じ黒いローブを着た、灰色の目を持つ金髪のアデュトルという年若い魔術師が書斎に入ってくると、ザベル卿は挨拶のために席を立った。

 アデュトルは言った。

「娘さんの誕生おめでとう。二月に生まれたと手紙を貰った時は私のことのように嬉しかった。お披露目パーティーに行けずにすまなかった。どうしても外せない用だったんだ。お詫びのつもりで贈り物を沢山持ってきたんだ。受け取ってほしい」

 アドュトルの後ろから丁寧に包装された黄色やピンク色で包装された大きな箱を持った侍女たちが五人歩いてきた。

 ザベル卿はほがらかに微笑んだ。

「すべて私の娘に?心遣い、ありがとう」

 書斎の入り口を振り返り、ザベル卿は五人の侍女たちに贈物を娘の部屋に運ぶように言いつけた。そして、アデュトルに書斎机の正面にあるベージュ色の布地のソファに座るように勧めて、ザベル卿は言った。

「後で庭にいる妻と話してもらえないか。アデュトルが来ないと知って彼女は落ち込んでいた。結婚前から懇意にしていたから、娘の披露パーティーでは乾杯の音頭を取ってもらうつもりだったようだ」

 ソファに腰かけたアデュトルは半ば驚いた顔を見せて言った。

「そんな大役を任せてくれるつもりだったとは、嬉しいな。彼女にもなにか贈り物を持ってくればよかったな」

 ザベル卿はソファに座った。

「サンジェルには贈り物よりも、話し相手を連れてきてくれる方が嬉しい。身近に誰か良いご夫人はいないだろうか。品行方正で慎ましいご夫人であれば、貴族でなくともかまわない」

「ご夫人?舞踏会や晩餐会で会っているだろう」

「結婚してからもサンジェルは出生を気にして、貴族のご夫人方の交流を避けている。買い物をしに時々はデムと第九世界へ出かけていたようだが、妊娠してからはずっと屋敷に籠っている。

 この屋敷での相手は私とリスターとデムだけだが。三人とも仕事で屋敷を留守にしていることが多い。生まれたばかりの娘はまだ口もきかない。この広い屋敷で一人は寂しいだろうと思う。私は彼女をあまり孤独にはさせたくはない。またよからぬことを考えるかもしれない」

 ザベル卿は片手をあげて執事のリスターに紅茶を持ってくるように言いつけた。リスターは頭をさげ、素早く書斎を出て行った。

 アデュトルは窓の外を見ながら言った。

「サンジェルの友人の件は、一通りあたってみよう。すぐにみつかるかもしれない。それはそうと、近頃、仕事の方はどうだ?」

「……仕事の方も順調ではないな。大事に巻き込まれた」

「私の耳にはなにも届いていないが、第五世界で何か起こったのか?」

「まだ公にはされていないが、再来月から裁判がはじまることになっている。全魔術師研究員兼、歴代魔術師任命委員長のブロドリュー・E・ダルフォット氏がサデク・ティヤム卿を訴えた」

「貴族が裁判沙汰とは、穏やかではないな」

ザベル卿はため息をついた。

「ティヤム卿が魔術師の任命式も行っていない未成年の少年たちを三十人も無断で雇い入れ、安い賃金で長時間労働させていた。魔術研究員たちが少年たちの解雇と、ティヤム卿の研究所運営への介入禁止を求めた署名入りの要望書をダルフォット氏に送りつけた。正義感に溢れたダルフォット氏なら相手が貴族だろうと、七老者だろうと徹底的に追及する。今回の件においては彼のほどの適任者はいないだろう。ティヤム卿に不利な決定的な証拠もあるという話だ。裁判前から敗訴するのは確実だ」

「ティヤム卿の不幸は彼自身が招いたことだ。責めは甘んじて負うべきだと思うが。君が巻き込まれる理由は?」

「魔術科学研究所の所長はモザラ=ラベだ」

 アデュトルは三度頷いた。

「所長が変わったとは知らなかったよ。トーレイ氏とティヤム卿は友人同士だったな。そして、トーレイ氏は君とも交流がある」

「六年前に就任した。モザラ=ラベは派手なものを嫌う男だ。就任式も簡素なものだった。モザラ=ラベが所長だと知らない者も未だに多い。……モザラ=ラベからティヤム卿を擁護する証人になってもらいたいと頼まれた」

「なんと返事を?」

 扉をノックしてリスターが銀色のカートを押して書斎に入ってきた。青の上等な陶器のカップと紅茶の入ったポット、クリーム色の質素なホールケーキがのっていた。リスターはカートをソファの傍に置いて、カップに紅茶を注ぎ入れはじめた。ザベル卿はその様子を見ながら言った。

「私は難しい立場にいる。ティヤム卿側の証人になるのは相応しくないと手紙を送った。モザラ=ラベは私に対して随分と失望したと言っていたが、最後には私の立場を理解してくれた。時を同じくして、ダルフォット氏からも証人になってもらいたいと申し出がきた。私の人柄を見込んでとのことだが、事情を説明すると、ダルフォット氏も辞退することをすんなり了承してくれた。後日、二人に詫びの品を送ったんだが、無駄になった」

「詫びの品を送り返されたのか?」

 アデュトルの問いに、ザベル卿は深くため息をついた。

「彼らは好意的な手紙を寄こしてくれたよ。裁判所から裁判の立ち合い依頼がきたんだ。貴族を裁判にかけるときは、他の貴族を立ち会わせる決まりだという。第五世界の貴族はティヤム卿の他には私しかいない。裁判所依頼を断ったとしても、また別の人物に頼まれていただろう。立会人を受けることにした。

正式に裁判の立会人として裁判に参加することが決まると、ティヤム卿から手紙が頻繁に送られてくるようになった。不利な証拠をもみ消せという。私の手まで汚させようとする魂胆には呆れ果てる」

「心労が絶えないな。七老者からはなにも?」

「第五世界で行われる小さな裁判だ。噂で耳に入っても、聞き流しているだろう。ティヤム卿に関しては、特に放任の姿勢だ。七老者が今日まで貴族として据え置いているのは、貴族の金庫番を担っているチェロック卿の面目を立てているからだ。チェロック家とティヤム家の関りはとても深い」 

 執事のリスターがテーブルの上に紅茶の入ったカップを丁寧に並べた。アデュトルはリスターに軽く礼を言い、カップを右手で持ちあげた。カップの中には土色にくすんだ砂金が舞っていた。

 アデュトルは口元を綻ばし、言った。

「チェロック卿に相談してみてはどうだ?チェロック卿ならば、ティヤム卿を黙らせるのも容易いだろう」

ザベル卿は首を傾げ、肘掛けに凭れかかった。

「名案だが、チェロック卿と話す機会がない。我がザベル家とチェロック家との関係は大昔から希薄だ。キエヌ家が絶家していなければ、仲介してくれていただろうが……」

「残念だな。チェロック卿と交友のある者は、ティヤム卿の他にいないのか?」

「チェロック卿の友人にグルート卿の三男がいるが、私は面識がない。今まで散々出費してきたが、社交界の付き合いも肝心な時には頼りにならない」


 紅茶を飲んだアデュトルは、ザベル卿の傍らに立っていたリスターに言った。

「熟成したユクスの紅茶だ。昨今はこれを作るものも少ない。どこで手に入れた?」

「隣のお屋敷からの頂き物でございます。旦那様がお気に召したので、近頃はこちらのユクスの紅茶をお出ししております」

 アデュトルはカップを受け皿に置いて静かに言った。

「隣にも屋敷があるのか。第八世界に貴族はロルコしかいないはずだ。誰が住んでいる?」

「レガートという、農夫の一家でございます」

「農夫?屋敷を持つほどなら、ただの農夫ではあるまい」

「レガート家はシスケイル家で執事をしていた者の末裔でございます。主人無き今も屋敷をしたたかに守り、執事がいかなるものかを心得ております。僭越ながら、私と通じるものがございます」 

「素晴らしい。この世には律儀な者がまだ存在したのだな。茶葉がまだ残っているなら、少し私にもわけてほしい。知人に持っていきたい」

「かしこまりました。後日、ご自宅にお送りします」

「よろしく頼む」

 リスターは頷き、誰にもわからないほどほんの少しだけ目を開いて、「旦那様」と言った。

 ザベル卿は言った。

「リスター、どうした?」

「差し出がましいのですが。チェロック様について、良い考えがございます。お話してもよろしいでしょうか」

「かまわない。言ってみなさい」

「はい、旦那様。今年は『天秤の剣』の年でございます。旦那様が催しにご出資される際に、貴賓席をチェロック様のお隣にしていただけるようにマーシア様に頼まれてはいかがでしょうか」

「チェロック卿の隣の席に?」

「お隣のレガート家は昔からの執事同士の繋がりを大切にしております。年に数回ほど執事だけの粗末な茶会を開くのですが。つい先日、縁あって私はチェロック様に仕える執事とお話したことがございました。チェロック様は百年に一度しか現れない『天秤の剣』を楽しみにしていると仰っていました。チェロック様は必ず、会場に足を運ばれることでしょう」 

 ザベル卿は紅茶を飲んで言った。

「席を変えるだけで、チェロック卿と話す機会が得られるのか。簡単すぎる気がするが。良い考えだ。リスター、褒めて遣わす」

リスターは「ありがとうございます」と、両手を揃えてお辞儀してから言った。

「マーシアと連絡を取る前に会計士と出資額について相談しなければならないな。出資の受付け期限は六月だっただろう。六月までの私の予定はどうなっている?」

「明日、五月から六月までの朝晩のご予定はすべて詰まっております。会計士とご相談できるお時間は今晩しかございません」

 ザベル卿はアデュトルの方を向いた。ザベル卿が口を開く前に、アデュトルが言った。

「私はこの後、サンジェルと話したら、すぐに帰らせてもらうつもりだ。仕事が残っている」

「わかった。リスター、会計士に会うのは今晩にする。会計士と相談後、マーシアに連絡をとる。すぐに手筈を整えてくれ」

「かしこまりました。失礼いたします」

 リスターは再度お辞儀してから書斎を出て行った。

 書斎の扉が閉まる音を聞きながら、ザベル卿は温い紅茶を飲みつづけた。二人はしばらく言葉を交わすことはなく、部屋にはネーチェルの美しい演奏が強く響き渡った。

 ふとアデュトルは思い立ち、ソファから立ちあがり窓際まで歩いた。

 窓の外に見える屋敷の庭でサンジェルが白い乳母車を押し、ゆったりと歩いていた。笑い声が遠くに聞こえそうなほど微笑ましい母親の姿が目に映るが、アデュトルの脳裏にはもう一つのサンジェルの姿が浮かんでいた。ボロボロの衣服とも思えない薄汚れた布きれを着て、見世物小屋の地べたに這いつくばり苦痛に喘ぐ少女。多くの目に晒される終わりのない拷問の中、少女の目には恐怖の色ではなく深い憎しみが籠っていた。

 アデュトルは言った。

「時はすべてを変える。心さえも……。ロルコ、バルローがイモアを街で見かけたと言っていた。第五世界の屋敷に軟禁していたイモアを自由の身にしたのか?」

「娘が誕生する前に解放した」

「三年前、君が留守の間に、代々受け継いできた歴史ある屋敷を穢し。サンジェルと、監視役として傍に置かせたデムを手玉に取ったことのすべてを水に流したのか?寛大だな」

 ザベル卿は微笑み、カップを置いてから右腕のローブの袖をたくしあげた。ザベル卿の右腕には真っ黒な魔術式が三つ縦に浮かんでいた。真ん中の魔術式はとても小さく、大きな魔術式が両端ではさむように並んでいた。

「わずかな自由を与えただけだ。イモアの身体に死の印を刻ませた。遠く離れていても、私の意に沿わない行いをすれば、この三つの魔術式を通して死の印が発動する」

「クラマリーの『死の印』か。魔術師が決闘に負けた相手に刻ませる、二度と歯向かわせないための強力な死の魔術式。発動すれば、身体に戻ってくる魔力を遮断できなくなり、膨大な己の魔力に襲われる。刻ませた魔術師以外は、死の印は解けない」

 たくしあげた袖を元に戻し、ザベル卿は頷いた。

「イモアが土産を持って帰ってきたら、死の印を消すと約束した。今頃、必死に奔走しているだろう」

「土産?」

「ミドールの詩はまだ実現途中だ。遠来者の謎を解き明かせば、すべてを水に流す」

 後ろを向いたまま、アデュトルは言った。

「“楽園の使者が舞い降りて、死者の屍の上を歩く。この世の果てで眠りつく青き花々は、時の輪のなかに蘇り。使者は光の人になぞらえて、金色のもとに没する”」

 ザベル卿が言った。

「“満ちる世界を統べる力の輪、対なす輪の交わりとともに、金色の永久の紡ぎを得る”。――難題は詩の後半だ。ミドール亡き今、詩の解読は困難を極める。が、十年かかろうか、二十年かかろうが、私はのんびり娘の成長を見守りながら、イモアの帰りを待つ」

 背中で手を組んだアデュトルは振り返った。

「そろそろ、庭にいる君の娘さんの顔を拝見して、サンジェルと話してから帰ろうかと思う。見送りはここで結構、君も仕事があるだろう」

「良い日を過ごしてくれ」

「君もね。久々の熟成したユクスの茶葉は美味しかったとリスターに伝えてくれ」

 軽くお辞儀したアデュトルはソファの背後を通り過ぎようとした。ザベル卿は立ちあがり言った。

「あぁ、アデュトル。ちょっと待ってくれ。渡さなければならないものがあった」

 ザベル卿はローブの内ポケットから白い小さな封筒を取り出し、アデュトルに手渡して言った。

「お披露目パーティーの時に渡そうと思っていたが、来られなかっただろう。テファンからアデュトルに宛てたものだ。中身は見なくてもわかると思うが、確かめてくれないか」

「コーベンから?」

 小さな封筒を受け取ったアデュトルは、封筒を開けた。中には白い名刺サイズの小さなカードが入っていた。

 カードを封筒から取り出し、白紙の表を傾けて裏返した。カードの裏側には、黒く淵にとられた黄色い円の中心に黒い大きな点がある。まるで、黄金の瞳のような気味の悪い印が描かれていた。

             挿絵(By みてみん) 

 アデュトルはカードをローブの内ポケットにしまい、言った。

「確かに。預かっていてくれて、ありがとう。それじゃあ」

 ザベル卿は「気を付けて」と言い、片手をあげてからソファに戻った。アデュトルがそのまま書斎から出ようとしたところ、なにか言い忘れていたのか、一度立ちどまってから振り返った。

「……ロルコ、『天秤の剣』の催しで席を取るなら、私の分も余分に取っておいてくれないか。私の仲間が催しに出場する」

「席は取っておこう。ただし、私と同じ席ではないかもしれないぞ」

「どの席でもいい。三つ席を取っておいてほしい。バルローとキートリーも招待する」

「三席でいいのか。仲間にもう一人、時術師の男もいなかったか?」

「もうずっと音信不通だ。とりあえずは三席で頼む。サンジェルと話をしてから帰るよ」

「また会おう」とザベル卿が言うと、アデュトルは頷き、「また近いうちに」と言い、書斎を出て庭へ向かった。










< 登場人物 >



ザーク・シュミレット …… 三大賢者の一人 魔術師

ルーネベリ・ルーザン・パブロ …… 賢者の助手 学者



ジプト・マーシア …… 第六「剛」世界管理者 

ラカン・ルジュー …… 第六「剛」世界副管理者

カンブレアス …… マーシアの息子 次期管理者

ユー・ヴィア …… マーシアの娘 天秤の剣を持つ者

バッナスホート …… 武道の覇者 武道家

リカ・ネディ …… バッナスホートの弟分

グヒム・ルジュー …… ルジューの息子


アラ・グレイン …… 女武道家

オルシエ …… 武道家

シャウ・ボロー …… 武道家

パシャル …… 用心棒 カーンの相棒

カーン …… 用心棒 パシャルの相棒



ロルコ・ザベル …… 貴族 魔術師

リスター・ジェン …… ザベル家に仕える執事

クワン   …… バルロー一派 信者

アデュトル …… バルロー一派


キャビック …… ルーネベリの飲み仲間

アーティー …… 代行社の少年


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



挿絵(By みてみん) 


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



更新が大変遅くなりましたが、第五巻「天秤の剣」を2016年2月13日より開始いたします。


余談から始まっていますが、物語の舞台は第六「剛」の世界。前作とは異なり、大長編となります。


更新ペースは通常通りに戻りますので、遅くなってしまいますが。

第五巻もこれまでのように最後まで書き進めていきたいと思っております。

よろしくお願いいたします。

 

                         佐屋 有斐



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