表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/22

龍の血……格好いいな

 男は遺跡の秘密通路を走っていた。


「ハァハァハァ、あれさえあれば!俺は!」


 人一人分しかない通路を無理やり走っていくと、目の前には木の扉があった。


 古びた木の扉は持ち手がなく、男は拳でこじ開ける。


 そこは古い書や実験道具、ポーションなどが散らかった部屋だった。男はその中から机に置かれた、比較的新しく、オークの木箱に綺麗な金の装飾がされた箱を開ける。


 中には、豆粒程度の禍々しいほどのエネルギーが入った紫の結晶。


 男はそれを壊さないように丁寧に持ち上げ、口に放り込む。


 ――パリン。


「アアアァァァァァァア!!」


 体から紫の魔力が稲妻のように溢れでている。男はみるみる体が大きくなり魔力量も以前とは桁違いになった。


「ハッハッハッ、これが龍の血の力!想像以上だ!」


 男は笑った。


 が、扉の向こうから足音が近づく。


「……来たか」


 そこには黒いスーツを着た、奴が立っている。


「ハッハッハッ、今の俺は最強だ!おまえごときが敵うと思うなよ」


 僕は表情を一切変えず、ただ男を見つめたまま歩み寄る。


「この俺を前に喋ることすら出来ないか。ならこちらから行くぞぉ!」


 男が踏み込むと、後ろの壁が吹き飛び、窪みを作る。暴力的までの速度。しかし、僕はその一振りを、いとも簡単に片手で握った剣で止めた。その瞬間、衝撃波が部屋全体を崩落させる。


「これでも耐えるか。認めようお前は確かに強い!だがこれならどうだ!」


 男は剣を捨て、指を一つひとつ丁寧に折り畳み拳を作る。そこに膨大な魔力を込めると紫の稲妻が走り、大気を震わせた。

 

 その拳を体全体を使い重心移動で家が簡単に吹き飛ぶほどの威力の拳を叩き込んだ。


 僕はそれを剣で防御するが、通路を破壊しながら部屋まで飛ばされる。


 すかさず男も後を追い目の前に現れた。同時に、腕の魔力が爆発する。それはまるで隕石の如き圧倒的な重さだった。


 僕は地面に叩きつけられ、大きくヒビが入った。


「なんだ?これで終わりか?」


 男が言った。


「これからだよ」


 僕はゆっくりと立ち上がり、黒いスーツについた砂をはらう。


「ッ!これでも無傷か」


「気にするな」


 僕は手をパンッ!と叩く。


 ――次の瞬間。男は宙を逆さまに浮いていた。


 は?何が起きた?今の一瞬で、俺はどうなったんだ?


 男の頭の中は疑問で埋め尽くされた。


 これは魔術でもない。ただ男の足を蹴り上げただけ。手を叩いたのはリズムを掴むためだ。


 リズムは闘いにおいてとても重要。攻撃のスピードと繰り出す技の速さ、足の運び。その全てに影響してくる。


 ――そして僕は逆さになった男の背中を蹴った。


「グァッ!」


 男は壁にぶつかり砂埃をかぶる。


 一歩、二歩。そして三歩目。


 ――その瞬間。


「ガバッ!」


 男の胸には剣が刺さっていた。自然すぎたためか、男は刺されたことに気づかなかった。


「なんッ、なんだ……お前、は」


「言っただろう、通りすがりの魔術師だと」


「ハッ、そんな嘘俺に通じるとでも思ったか?」


「嘘と思うならそれでいい」


 男はだんだんと意識が遠のいていく。体はボロボロで動かせもしない。


「あぁぁ……リリア……」


 ごめんな。リリア、父さんもうお前には会えない。


 俺が……俺がこんなことを起こさなければ。


 愛する娘よ。どうか悲しまないでくれ。俺はずっとお前、の……。


 ――さて、終わったな。色々破壊しまくったけど、まぁ大丈夫だろう。


 今回はあえて、攻撃を受けてみたがすごくいい演出ができた。が、100点満点中60点だ。まだまだだ。


 そういえば、情報を名前しか聞き出せてないな。しくじった。


 でもあの男龍の血とか言ってたよな。龍の血か、果たして……。


 そして帰ろうと思っていたら檻の中に何かあることに気づいた。


 気になったので、檻を力技で曲げて人1人入れる程度の隙間を作る。


 近づいて見てみると。


 そこには何かの上にシートが被せられていた。


 めくってみるとそこには、クリーム色の髪を伸ばした少女が横たわっていた。


「誘拐でもされたのかな」


 まぁ流石に自分からって事はないだろうし、潜んでたとしてもおかしいしな。


 見捨ててもいいけど、うーん。


 僕のイベント直感が。


 頭がッ。頭が疼くッ――。


 と、手ではなく頭を疼かせた僕はその直感に従い、助けてあげることにした。


「まぁどうにかなるでしょ」


 少女を抱えて、とりあえずその遺跡を出る。


 ちなみにその少女はなんとエルフ!異世界っぽくていいね。エルフだし誘拐されるのも納得だ。


 と、さらにエルフに他の何かが混ざっている気もするがまぁ対して変わりはないからいいだろう。


 ただエルフっていいよな。見た目も大体顔立ち良くて、魔力も多くて、器用だし。まぁ偏見かもだけど。


 その時僕は思いついた。このエルフの子、僕の配下にしたらいいんじゃねと。


 よく前世のアニメやラノベやらで救った子は、仲間になるのが定番!


 つまり配下になるのはお決まりなのだ。


 だとしたら組織とかも熱いよな。名前なんてつけちゃったりして。


 まぁじゃなくても全然1人でもいいんだけどね。


 格好いいなら良し。ただそれだけだ。


 そして僕はとりあえず誰もいない廃村に来ていた。


 ここも一応親の統治する土地の範囲だし、その息子の僕が使っても問題ないよね。


 僕の住む屋敷から何キロか離れた廃村は、思ったよりも状態は良く、なんで廃村になったのかが不思議なくらいだ。


 その村の1番高い建物の上に降りる。僕は建物の縁に立ち、森を眺めた。


「綺麗だな」


 見える景色は絶景。


 本当にもう日本ではないんだなと思い知らされる。


 結構好きだったんだけどな。日本。


 でもまぁこの高低差も激しい、まさに異世界と言う神秘的で壮大な眺めも悪くない。


 そんな中、少女はまだ眠っていた。


 起こそうかな。待つのも流石に退屈になってきた。いやダメだな。なんかダメだ。こういうのは無理に起こしてはいけない。


 まだ起きなさそうだし寝かせたいんだけど……。


 屋敷に連れていくわけにもいかないし、どこかに寝泊まりできるところを確保しないとなんだけど……。


 僕は周りを見渡し、1番綺麗な家を探す。


「お、発見。あそこにするか」


 一軒。他の家よりも状態が良く、安心して寝かせられそうな家があった。


 家の内装もかなり良く、雰囲気もいい感じだ。暗く雨が似合うような雰囲気。


 その中の寝室を見つけ、少し綺麗にしてから寝かせる。


 早く起きればいいんだけど。

 

 

 第5話の最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。もしよろしければ、作品の応援をお願いします!


画面下部にある 【ブックマーク追加】【★★★★★】を押していただくと執筆の励みになりまくります。


 第6話は夕方に投稿するのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ