前編
【選定会のお知らせ】
・未婚であること
・16歳以上であること
・貴族であること
ある日王宮からお触れが出た。第三王子のラインハルト様の婚約者選定会を行うと。何人集める気だ。めっちゃ該当者いるだろ。
「行かないとダメなのかな。」
「リディア!絶対参加しなさい!王宮からのお触れだぞ!!参加することに意味があるのだ。」
お父様に怒られた。正直面倒くさい。行ったからって選ばれるわけがない。絶対きらびやかな高位貴族の令嬢が選ばれるに決まっている。
うちの両親と他の兄妹達は美形なのに、私だけ昔から養子かと聞かれるくらい系統が違う。色合いが違うだけでめっちゃ平凡なのだ。家族を見て寄ってきた人がいつも期待外れだという空気で去っていく。
家族は可愛いと言ってくれるが、そんな訳ない。身内の欲目だ。
そんな私が選ばれるわけがない。行く位なら魔術の研究をしていたい。絶対家で引きこもって研究ばかりしている娘を外に出したいだけだ。
絶対行くものかと思っていたら王宮の帰りに本屋で魔術書を買っていいという。その言葉に飛びつき、本のためなら仕方ないと承諾した。家族はあきれ返っていたが気にしない。本が最優先だ。
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・選定会を早急に終わらす
・本屋に行く←これ絶対
・時間があれば魔法道具店に行く
3項目を目標に掲げ王宮へと向かった。圧倒的女子力の高い方々が集まっていて完全に場違いだ。和やかな会話をしながら牽制し合っている。
拳を握る。よし!これはすぐ早く終われるぞ!どんな選定会か分からないが、すぐ落とされるだろうと楽観視していた。
余裕を持って会場入りしたので暇になり、始まる前におトイレに行こうと思い部屋を出る。案内してもらいスッキリした気分で戻ろうとした時、不穏な魔法の気配を感じた。キョロキョロと周辺を確認する。
危ない!と咄嗟に間に入る。歩いていた人に向かって背後から魔法が飛んでいたのだ。防御が展開出来ず魔法が直撃し飛ばされる。共に壁際まで飛ばされる。庇った人も巻き込んでしまった。
ごめんなさい!と思わず謝る。もっと早く気付けば防御できた。
狙われたの私なので巻き込んでしまいすいません。怪我してないですか?ありがとうございます。と頭を下げられる。良い人でよかったと思い立ち上がろうとしたら手を離してくれない。嫌、離れない。
「…私と一緒にきてください。」
手が離れない為有無を言わさず連れて行かれる。何処かに指示を出しながらスタスタと王宮の奥へと向かって行くのだ。
「奥に入れないと思うのですが…」
「入れるから大丈夫。」
聞いてくれない。あまりにも早く歩かれるので、もう疲れてきた。
「いい加減にしてください!早すぎて死ぬ!」
苛立った私は、手を引っ張り無理矢理止まる。ゴホゴホッと咳いてしまう。やっと止まれた。普段出歩かない引きこもりを舐めないでほしい。
ゴメンと謝ってくれた。息が戻らずしばらくゴホゴホッとしていると、空いてる方の手で背中を撫でてくれた。
落ち着いてきて見ると金髪碧眼の男前がいた…あれ?この人王族じゃない?サラリとした前髪にスラッとした体格、白に金刺繍の王族特有な服装。
怪我させた上、手が離れないとか私不敬罪で死刑になる?あぁ本屋に行けない。
「本当ごめんね。急いだあまり気が利かなくて…あと少しだから。」
死刑にはならないみたいだ。一緒に歩き出す。先程よりゆっくり歩いてくれた。
ここ。と言って案内された先は豪華な部屋だった。入ると、そこに座ってと促されて座る。もうすぐ来ると思うから待ってね。と言いながら彼は隣に座ってきた。距離が近い。手が繋がっているから離れられない。
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「あちゃー呪われてるね。解読しますね。」
しばらくしてやってきたのは魔術師様だった。楽しそうに私達の手を見ている。
「すまないが頼む。彼は魔術師団の中でも指折りの魔術師だからもう大丈夫だよ。」
微笑みながら言ってくれる。解読方法に興味があり食い入るように見ていると、魔法に興味があるの?と手を繋いでる人に聞かれる。私は勢いよくはい!大好きなんです!と返事をする。
んーちょっと時間かかりそう。と思案顔で言う魔術師様。
「そっか。時間大丈夫?何かの用事で来てたの?使い出そうか?」
「あ!選定会!時間何時ですか?!」
「あぁ選定会に来てたのか。あれ延期になるから大丈夫。」
よくわからないが延期なの?え?帰れるってこと?じゃ本屋に早く行けるじゃない!勢いよく立ったが手が離れない事を失念していた。悲しくなりもう一度座り直す。私の奇怪な行動に隣の人が驚いていた。
すいませんと謝る。選定会が無いなら本屋へ行けると思っただけなんです。と恥ずかしながら説明した。
クスッと笑いながら選定会より本屋なの?と聞かれたので、本に釣られたと1から説明した。
選定会意味ないしね。延期じゃなくて中止でいいのにね。って笑いながら言っている。昔から忘れらない人がいて探してるんだよ。焦れた人達が勝手に開いたみたいだよ。
やっぱり無駄だったじゃないか!不参加でも問題無かった!お父様に腹立たしく思った。
解読出来た!と魔術師様が言う。
「あんた長年呪われてるな。それが絡み合って解読に時間がかかったよ。」
「私呪われてるんですか?!!」
「一緒に解けそうだから大丈夫だ。」
魔術師様からとんでもない事を言われた。私呪われてたんだ。
「大丈夫?長年呪われていただなんて不安だよね。」
離れない手がそっと強く握られた。自分も今呪われているのに、もう解いてもらえるからねって。優しい人だな。
ラインハルト様ー、解読の術かけますよー?と魔術師様が声をかける。
え?ラインハルト様?
「…第三王子様ですか?」
「あ、名乗ってなかったね。ラインハルト=アベルです。一応第三王子です。」
「選定会の?」
「はい。本人が行けないので延期です。」
にこやかに話している。じゃ昔から忘れられない人がいるって話は自分の事か…。
「なるほど。忘れられない方が早く見つかるといいですね。こんな呪い受けてる場合じゃないですよ!早く解いてもらいましょう!」
ありがとうと微笑んでくれる。優しくて良い人だから少し残念に思う。優しい人だから想い人が早く見つかるといいな。幸せになって欲しい。やっぱり私は選ばれない。
「じゃ。解きまーす。」
呪文を唱えた瞬間、ピカッと眩しい光につつまれた。
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