第23話 破滅の破裂
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クラーケンの肴が消え、無数の手こぎボートは全滅し、雑兵蟻達は針船長がいる空中帆船を集中攻撃している。
「このままじゃまずい!!」
雑兵蟻達の攻撃で帆船はボロボロになっており、飛び続けることができず傾いたので針船長は動揺した。
「館に突っ込んで着陸だ!!」
このままでは落ちてしまうので針船長は捨て身の着陸をすることにした。
「「「アイアイキャプテン!!」」」
生き残っている子分達は命令に従い、帆船を動かし、甘瓜家の洋館に突っ込むように降下する。
雑兵蟻達は追いかけて攻撃し、子分達はやられていき、帆船は一気に落ちた。
館までいくことができず帆船は地面に落ちて削れている。
「うわあ!!」
針船長達は落ちないようにつかまっており、はなしてしまって死んだ子分達もいた。帆船は壊れながら凄まじい勢いで進み、地上にいる雑兵蟻達をつぶしていく。
勢いがなくなって帆船は止まり、館の近くまできた。
「この船はもうダメだ!! 洋館へいって豊希を人質にして逃げるぞ!!」
剣と小さい大砲で武装している針船長は急いで帆船から降りた。
「「「アイアイキャプテン!!」」」
生き残っている子分達も降り、追ってきた雑兵蟻達の攻撃で帆船は跡形もなく消滅した。
船を失った針船長達は豊希を人質にして逃げるしかないので甘瓜家の洋館へ向かう。
船で地上の雑兵蟻達の陣形は崩れており、戦闘をすることなく館に近づいている。しかし突然、針船長が消えた。
「船長が消えた!!」
針船長が消えたので子分達は驚き、勢いがなくなって止まってしまった。
「わああああああ!!」
地上と空中の雑兵蟻達の攻撃をくらい、子分達はやられていった。クラーケンの肴と海賊は全滅し、甘瓜家は無事だった。
◇
消えた針船長はバッカスルメ達と同じように転送された。
「ここはどこだ!?」
いきなり場所が変わったので針船長は動揺しており、周りを見た。なにもない場所だが、とんでもない人物がいたので固まってしまった。
「康!?」
ゴスロリ男の娘を見て、状況を理解した。ここは康が布陣している場所だった。
「お前が甘瓜家を攻めようとした針船長か」
康は怒っており、笑みが怖い。彼のそばには黒のジョーカーと赤のジョーカー、虎夏がおり、ここには彼の戦力しかいない。
(これはまずい!!)
勝ち目がなく逃げることもできない針船長は武器を置いて平伏した。
「降伏しますので命だけは助けてください!!」
敵に降伏し、命乞いをした。しょせん海賊で忠義などなく、自分の命を守るために波武を裏切る。
波武の役に立っていた自分は価値があり、助かると思っていた。
「豊希を捕えて私とセットで売るとか話していたそうだな」
虎夏から波武と針船長の話を聞いており、ゴスロリ男の娘は許す気などない。
「なぜそのことを!?」
顔をあげて驚いた。
「甘瓜家を攻めようとしたお前達は殺すと決めている」
彼をここに転送したのは殺すためなので助からない。
「私に奴隷船の海賊など必要ない」
「くっ!」
格上でも屈辱で怒り、針船長は剣と小さい大砲を持って立ちあがった。
「それならお前を倒して逃げるだけだ!!」
ヤケになってゴスロリ男の娘を狙い、大砲からトゲつきの鉄球を発射した。
「康様に攻撃なんて許さないよ!!」
虎夏が康を守るように前に立ち、鉄球を殴って砕いた。彼女の拳は無傷だった。
「おのれ!!」
針船長は無数のトゲのようなヒゲを飛ばした。
「こんなもの!!」
両手を素早く動かして無数のヒゲをとって投げ返している。
「ああああああ!!」
全身にヒゲが刺さり、飛ばすのをやめて苦しみ、剣と大砲を落とした。
「虎夏。針船長を気絶させろ」
「はい!!」
主の命令に従い、針船長に近づく。
「くるなあ!!」
痛みと恐怖で錯乱しており、なにもできない。そんな情けない男の腹部に拳をたたきこんだ。
「ごおっ!!」
吐きそうになり、針船長は気絶し、うつ伏せに倒れた。手加減したので死んでいない。
「よくやった、虎夏」
康が褒めると少女は喜んだ。
「こいつにふさわしい仕事を与えて殺してやる」
ただ殺すだけではないのでゴスロリ男の娘は悪い笑みを浮かべた。
◇
次の日の朝。康の陣営から出て貴族連合の陣営に向かっている者がいるので団員達は警戒している。
「止まれ!! 近づくと攻撃するぞ!!」
団員達はマシンガンなどを向け、いつでも攻撃できるようにした。貴族連合の陣営に向かっている者はマシンガンを恐れていないが、止まって動かなくなった。
「あいつは針船長だ」
波武に従っている海賊の船長と分かり、敵の陣営からきたので動揺している。
「針船長!! 波武様を裏切って康についたのか!?」
団員達には裏切り者に見えていて怒っている。
「なんとかいえ!!」
康の能力で全身は治っており、話せないので助けを求めることや弁明ができない。
「針船長は裏切った!! 攻撃!!」
なにもいわないので裏切り者と判断し、攻撃する。
(やめろ!! 攻撃するな!!)
意識はちゃんとあり、動くこともできず、攻撃が当たりそうになっている。
「ぶごお!!」
「な、なんだ!?」
突然、針船長の体が膨らみ、団員達は驚いて攻撃をやめた。
「ごおっ!! ぶおお!! んごお!!」
苦しみながら膨らんでおり、重さに耐えられなくなって両脚はつぶれた。
(なぜ、こんな目に!!)
康の能力で膨らんでおり、後悔しながら苦しみ、目玉が飛びでて、口から内臓が出ている。
「攻撃しろ!!」
よく分からないので団員達はとにかく攻撃した。膨らんでいる体は丈夫でまったくきいていない。
「ぶもう!!」
頭部がなくなって球体になり、針船長は限界まで膨らみ、破裂して死んだ。飛び散った肉片は無数のトゲになって飛んだ。
「ぎいああああああ!!」
トゲが全身に刺さり、敵の団員達は激痛でおかしくなった。耐えられなくて死ぬ者達もおり、陣形は崩れて波武に敗北を伝えていない。
クラーケンの肴と海賊は全滅し、鮟鱇田の貴族連合は戦力を失った。
針船長の名前はハリセンボンです。
「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。




