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死の森。アイス対空ミサイル

 直径5センチ、全長30センチの円筒形にアイスニードルを成型、後部には羽根を付けておく。

 もう、全然「ニードル」じゃないけど。ま、気にしない。

「発射!」

 ズヒューゥーン、と効果音付きで飛んで行ったよ。


 ナタリーが呆れた顔でこちらを見ていた。

 うん?なんかおかしい?


 アイスニードルミサイル・・・長いな、アイスミサイルでいいかな。

 アイスミサイルは、後部から白煙を噴きながら加速しつつワイバーンに向かった。

 マウリツィオ師匠は、魔法にはイメージが大切、というんだけど、完全にミサイルを思い浮かべて成型したら、どうやらロケット推進もどきも再現してしまったようだ。

 ただ、速度は思ったほどではない。せいぜい時速数十キロ程度・・・加速中だけど、あの調子ではワイバーンの飛行速度と同じくらいまで加速できるかどうか。

 さすがに大き過ぎたか・・・。


 白煙を噴きながら上昇してくるミサイルにワイバーンが気付いた。

 急降下中のワイバーンが急速離脱を試みる。速度が出ていたワイバーンは体をひねるようにして進路を変える。ちょうどその時、ファイヤーボールも連打されていた。

 ワイバーンはターンするように上昇へ転じた。

 アイスミサイルはワイバーンよりさらに大きな軌道を描いてワイバーンを追撃する。


 あ、うん。ホーミング機能付き。


 慌てたワイバーンが急上昇しながらジグザグ飛行をする。

ミサイルの軌道も揺れるけれど追尾し続ける。


あとちょっと・・・。


と思ったら、ミサイルの噴煙が止まった。


あ。燃料切れ?


推進力を失ったアイスミサイルは放物線を描きながら落下していった。


「うーん。届かなかったー」

「都代、魔法の域を超えてますね」

「そう?でも最初に考えたのマウリツィオ師匠だよ?」


 ワイバーンは飛び去って行く。

「追い払えたかな?」

「都代ちゃん、油断してはいけません。私も直接見るのは初めてでしたが、昔、文献で読んだところによれば、ワイバーンは執拗な性格だった、と書かれていました。あの程度であきらめるとは思えませんな」

「そっか。とりあえず村の中を目指そう。何処か隠れて攻撃できる場所探そ?」


 バリケードは外部からの侵入除け。通り抜けられるような構造にはなっていない。

 村の入り口は・・・あ、あそこか。30メートルくらい先に門がある。そっちへ向かって移動する。


 急げ、急げ。

 隠れる場所が全くないよ、ここ。


「ギシャーッツ」

 ワイバーンの鳴き声がする!

 見上げると、何かを足で掴んだワイバーンがこちらへ向かって飛んでいた。

「うぁわー!」

 大声をあげてしまった。あれ、岩だ。岩を落とす気だ。

「都代ちゃん、さっきのやつ!」

「あ、え、うん。アイススフィア!」

 氷の塊を生成。

「アイスニードル!ミサイル!」

 再び全長30センチのミサイルを作成。

「発射!ホーミング!」

 ズヒュールゥー・・・白煙を噴きながらワイバーンへと向かうミサイル。ワイバーンは上昇し始め、まっすぐにこちらへ向かってくる。

 ミサイルはもう勝手にホーミングするから、門へ一生懸命走る。わき腹痛いけど、走る。

 走りながらもう一度見上げた。

「都代!岩、投げた!」

 ワイバーンが掴んでいた岩を上空で放り出したよ。

 それはまっすぐにこちら目掛けて飛んでくる。


 コントロールいいな!


 いや、感心している場合じゃない。

「アイスニードル!バースト!バースト!」

ズバババン、ズバババン、と撃ち出す。

 アイスミサイルを作った残りで撃てたのは、その二回、6発だけだ。

「都代ちゃん、アイスニードルでは届きません。岩をひきつけて、ブラストで吹き飛ばしてください!」

「うん、わかった。ブラスト!」

 ブラストの発動準備をする。

 よし来い、いつでも撃てる!


 岩はグングン近づいてくる。

 射程距離、入った。

「ブラスト!フルパワー!」

 ドン!という衝撃とともに上空に向かってブラストで発生した空気の塊が撃ち出されていく。

 ブラストの速度は遅い。グワーッと上空に向かって移動していく。

 そこへ岩が落ちてくる。


 上空でブラストが岩へぶつかった。

 ズガッシャーン!!岩は粉々に割れて・・・


 バラバラッと音を立てて粉砕、上空で爆散した。

「わあぁ・・・」

 ブラストの衝撃で粉々に割れて破片が撒き散らされた。多くは方向を変え広がるように落下していく。一部の石が、こちらへ・・・

 思わず頭の上に腕を出して構えた。


 バラバラバラ!


 石が降り注いできた。

 痛い!痛い!小石程度の大きさしかなかったけれど、落下の速度がついて、かなり痛い。痛いというか、血が出てる。

 ナタリー、ナタリーは大丈夫?

 ナタリーは地面に伏せて頭を守っていた。そこに容赦なく小石が降ったようだ。背中や頭に石がついていた。

「ナタリー!」

「大丈夫です、都代」

 ゆっくりと立ち上がった。

 砂埃で薄汚れた髪を払いながら起き上がった。

「都代、血が出てますよ!」

「あ、うん。ちょっと石で切ったみたい」

 そう言いながら顔を上げる。ワイバーンは上昇中。ミサイルがそれを追尾していた。

「逃げ切られますね」

 ミサイルの上空到達距離が短く、ワイバーンの速度に追いつけずに燃料切れを起こす。速度も射程距離も足りていない。


 けど、とりあえず、ワイバーンは再び上空から離脱していく。


 今度こそ門へ急ぐ。

 レナータと合流して作戦を考えよう。

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