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魔物の森(2)

 ドロップ品の石ころを拾った。

「なんだろ、これ」

「おそらく原石でしょう。ダイヤ原石だと思いますよ」

「え!マジ?中にダイヤモンド入ってる?」

「ええ。けれど、日本に持って帰っても大した価値は無いと思いますよ。宝石として使えそうな品質の原石ではありません」

「そうなの?ま、いいや。とりあえずキープしとこ」

 マウリツィオ師匠が言うには、ダイヤ原石の中でも品質の悪いものらしい。石の中に嵌っている小さな透明の部分がダイヤで、それも黒っぽいものが入っているしヒビもありそうだということらしい。

 ふーん。屑ダイヤってやつか!

「というより、工業用ダイヤモンドですね。天然ダイヤの8割は宝石に向かないそうですよ」


 師匠と話しながら獣道を進んでいく。


時々振り返って目印の木を撮影した。帰り道がわからなくなったら大変だからね。


しばらくいくと、小川に出た。


「うわあ、水綺麗!」

 流れがある川だ。ということは傾斜がある。しばらく前から気付いていたけれど、目印の木からずっと下りだった。緩やかな斜面のようだ。小川はさらさらと流れている。

「近くで湧き出ているのでしょうな。川沿いを進みましょう」

 師匠に従うよ。獣道との分岐に目印のピンクのリボンを縛っておいた。それとスマホで写真。


 川沿いは石ころだらけで歩きにくいけど、さっきまでの獣道よりも視界は広がる。けれど、周りの土地よりも少し低く、見渡すことは出来ないんだけど。


 15分くらい歩いたかな?


 橋が見えてきた。


「師匠!橋だよ、木の橋が見える!」

 丸太を束ねただけみたいな橋だったけれど、橋には違いない。

「人工物ですな。道があるということでしょう」

「やった!道だよ、道」


 小川から橋によじ登った。師匠は先に橋の上に押し上げて、後から私がよじ登る。

 橋の高さは1メートルくらい、川の水面からだと2メートルくらい。橋の長さは5メートルくらいってところ。

 道の幅は2~3メートルかな。馬車がなんとか通れるくらい。

「轍もありますな。街が近いかもしれません」

「本当?どっちに行けばいいかな」

 どっち、と言っても誰もわからない。平原の森地帯って感じだし、ノーヒントだね。道路は南北に続いている。

 じゃあ、南にしておこう。

「あっさりですな。何か理由でも?」

「南の方が街がありそうでしょ?」

「え?」

 実はなんの根拠もないけど。


 道を歩き出した。

 道とはいっても、森の中に開かれた木の無い空間、という感じだ。馬車が通るのか、道の真ん中に草が生えている畝みたいになっていて、左右に1本づつ土が剥き出しになった轍が続く。

 田んぼの畦道レベル。

 けれど、さっきまでの藪漕ぎみたいな獣道や石だらけの河原を歩くより断然歩きやすい。

 いやあ、道って偉大だねえ。


 ところで、この時点ですでに1時間が経過していた。

 

 残り一時間で街にたどり着ける予感がしないのだけど・・・。


「でしょうね。都代ちゃんの歩くスピードでは、せいぜい4キロくらいしか進まないでしょうな。その距離で街にたどり着ける可能性は限りなく低いと思われます」


 そう師匠には言われたけど、私は歩いたよ。

 精一杯、私は努力をする性格だもの・・・たぶん。


 割と平和に歩いていく。

 なんにも起きないから、つい歌を口ずさみ始めた。トトロのさんぽ・・・

「ダメですよ、都代ちゃん。ここは魔物のテリトリーです。気を抜かないで」

 ちぇ。

 森の道はまっすぐに続いている。けれど、平坦というわけでもなくて軽く登ったり下がったりしている関係で、遠くまで見通せるというわけでもない。一番高い場所で先を眺める以外は。


 そういう登り切った場所でのことだった。

「都代ちゃん、馬車が襲われています!」

「本当だ!やばい、助けなきゃ!」

 一台の馬車が大きな犬のような魔物数匹に囲まれるようにして突っ走っていた。こちらへ向かって走って来る。

「や、都代ちゃん!あれはヘルハウンド!それも群れ!無理です!無理ですってば!」

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