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異世界転移、準備

都代視点です。

 森に異世界通路を見つけて2週間後。


 お化け退治も、もう一件片づけて、お小遣いも少しゲット。そういえば、例のペンダントも落とし主が無事(?)に見つかって、落とし主さんがお礼に家まで来たよ。

 落とし主さんは、お金持ちそうなオバちゃんで、お礼にってケーキと金一封をくれたよ。

 これで資金が出来たから、装備を揃えて異世界への旅に出ることにするよ。


 マウリツィオ師匠が言うには、私は魔法士だから武器よりも防具を揃えた方がいいっていうことだったけど、武器にしても防具にしても普通には売ってないからね。買えそうな金額の範囲で効果がありそうなものを揃えたよ。

 

 梨音のことは、マウリツィオの言うことを信じた。

 梨音は、交通事故になど遭ってはいない。たぶん、他の異世界転生者と同じように連れていかれたんだって思う。そこで、異世界への転移を研究させられているんだと思う。

 そうじゃなきゃ、辻褄が合わない、と師匠が言うんだから、きっとそうなんだと思う。私も一生懸命に考えたのだけど、交通事故で入院しているっていう話よりは信じられる気がするから、そっちを調べてみることにしたよ。


 それと師匠は私の体を通して魔法を使うことを主張した。

 異世界通路の先は、本当に命の危険がある場所かもしれないから。

 私の初心者魔法では、いざという時に危険だから。

 マウリツィオ師匠が私の魔法力を使って攻撃するのだ。異世界通路の前で姿を隠すために使った魔法詠唱と基本的に同じなんだけど、よりダイレクトにマウリツィオ師匠とリンクして魔法を使うってこと。

 1週間くらい、その練習をしている。

 最初は師匠の意識が心の中に流れ込んできて違和感があったけど、何度かやっているうちに慣れたよ。


 たしかに私も、どんな魔物が出てくるかわからない異世界で、自分の魔法だけで対処できる自信もないしね。


「マウリツィオ師匠、あの通路って、他の人がふらっと迷い込んじゃったりしないんですか?」

「そうですね、大丈夫なんじゃないですか?」

「どうしてですか?」

「普通の人には見えないと思いますよ、空間の歪みは」

「そうなんです?私には見えましたよ?」

「都代ちゃん・・・もう君は普通の女の子じゃないんですよ」

「・・・そうか!私は・・・」

「そうそう、魔法が使えるようになると、魔素の感知が出来ますから」

「私は、魔法少女、都代ちゃんになっていたのか!」

「・・・ええ、まあ、そうです」

「異世界通路も、ある程度こじ開けないと通り抜けられそうになかったですし、それにも魔法力が必要でしょうし」


 そして翌日。


 朝早く起きて、牛乳とトーストとサラダの健康的な朝食をしっかり食べて。

 マウリツィオ師匠と一緒に自転車で出かけたよ。


 途中のコンビニでお昼ご飯のサンドイッチと、おやつのサンドイッチを買って、飲み物もしっかりと買ったよ。背負ったリュックが結構重いよ。

 え?お昼ご飯もおやつもサンドイッチなのかって?

 いやだなあ、ちゃんと分けてるよ。お昼ご飯はしっかりとエネルギーになるように、カツサンドにしたし、おやつはさっぱりと野菜ミックスサンドにしたよ。


 森の入り口に自転車を停めて、歩いて入っていく。

 靴はトレッキングシューズ、伸びる素材のジーンズ。山歩き用のバーブパンツとかも考えたけど、まあ靴だけでも結構高かったから。あるもので我慢したよ。上はTシャツを着ているけれど、それは森に入る前まで。

 上も長袖のシャツを用意してきた。

 それと、防水のジャケット。雨具にもなるやつ。保温効果もある。

 異世界転移先がこちらと同じ夏とは限らないからね。

 それと帽子。これも防水加工のハット。

 色は地味目なグリーン系とグレー系。オシャレよりも魔物に視認されにくい色で・・・まあ、向こうが砂漠とかだったら逆に目立つかもだけど。


 異世界通路の所に着いたのは午前9時半。

 2週間前と様子は変わっていなかった。あえていえば、歪みが大きくなっているような気がするくらい。

 探検は午後三時まで、とするよ。

 2時間が往路で、休憩挟んで帰りが2時間。手持ちの腕時計が11時半になったら、それ以上進まない。

 場合によってマッピングしないといけないからメモ帳と筆記具は取り出しやすいところに持っている。


「さあ、いくよ、師匠」

「覚悟はいいですか?都代ちゃん」

「もちろんだよ。・・・ドキドキしてるけどね」

「私をしっかりと抱いていてください。何かあったら、私が攻撃魔法を使います。体は借りますけど、都代ちゃんに怪我が無いよう守りますから」

「うん。お願いね、師匠」


 しっかりとマウリツィオ師匠を抱きしめ、その歪みに足を差し入れた。差し込んだところから黒い煙のようなものが湧き出してくる。

 少し怖いけれど、私は異世界通路へと一気に飛び込んだ。

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