雷撃系魔法・・・
その芸能事務所とやらは、マンションの一室にあった。
そこは一階の部屋でドアのプレートを除き、普通の部屋に見えた。
道路側に回って中を覗き込むと何人かの姿が見えた。
その中にマナの姿はない。
いないのか、それとも見えないだけなのか。
しかし梨音にはどうでもいいことのようだった。
「それで、なんでマウリツィオも都代ちゃんもいるわけ?」
午後5時を回ったところ・・・
「だって梨音ちゃんだけで行かせたら何をするかわからないじゃない」
「左様です。マウリツィオも都代様の意見に賛成です」
「水属性魔法は使わないわよ」
「火属性も風属性もダメだからね!どれを使っても災害になりそうな予感しかしない」
梨音は嫌そうな顔をする。
「じゃあ・・・初級魔法しか使えないけど・・・雷属性でいくわ」
「雷属性・・・ですか?」
そう尋ねたのはマウリツィオだ。
「そうよ。昨日もそれでうまくいったわ。あれはこの世界に相性がいいみたい。ピンポイントで発生出来るし、その割に効果が高いから」
「なるほど。エネルギー転移する電気はいくらでもある、ということですか・・・」
「そう、それよ。しかも出力は安定の100ボルト。コントロールもしやすかったわ」
「ならばそれで。しかしレナータ様、人体へ直接はいけませんぞ。ちょっとの狂いで人死にがでますから」
「わかったわ。じゃあここから見えている、あの大きいパソコンにするわ」
「梨音ちゃん、器物破損もダメです!何も壊さない、誰も傷つけない、と約束してください」
「都代ちゃん、それは無理よ」
「無理じゃないですよ。例えば、あの誰も触っていない健康器具みたいなやつ。あれに雷撃して光らせるとか、室内の電気を逆に転移して電気を使えなくするとか・・・」
梨音は驚いた顔で都代を見る。
「逆転移!その発想は無かったわね。電気を使えなくすることも出来るわね、理論的には・・・。問題は転移した先でどうするかですね。いや、でも無理に使う必要はないのか・・・そのままアースしてしまえば・・・」
ぶつぶつとつぶやく梨音。しばらく考え事をしていたようだったけれど・・・
「では、やってみます。魔法名は・・・サイレントアーシング!」
梨音はそれを発動させた。
この魔法の原理は、サンダースタンと同じだ。電気を術者の好きな場所へ転移する魔法。この場合は梨音を中心に数十メートルの範囲の電気を地中に転移した。これで術が有効な時間、全ての電気が使えなくなる。
魔法が発動した瞬間、目の前の地面が「バシィッ!」と音を立てた。
マウリツィオが飛び上がって驚き、都代が「きゃ!」と小さく叫んで口を押さえた。
梨音は不思議そうな顔でそれを見ていた。
そして室内では・・・
急に消えた照明やテレビなどに困惑はしているものの、昼間でもあることから取り立てて問題は起きず・・・普通にブレーカーの確認とかが行われていた。
「効果が薄いですね・・・」
梨音が残念そうにつぶやいた。
「やはりここは一気にサンダースタンを打ち込み・・・」
「ダメ!絶対!梨音ちゃん!」




