第1話 雪の日の来訪者
雪が降り積もった日の昼頃の事。
エルニャ「あった、あの店だ!」
彼女はその店の前に着くと、ゆっくりとドアを開けた。
二人の声「いらっしゃい」
エルニャは店の中を見渡し嬉しくて思わず笑顔になった。
外は雪が積もっているが、店の中は暖かな別世界の空間で、可愛くて美味しそうな、お菓子やパンが沢山並んでいた。
店の中の隅に四人用のテーブルと椅子がある。
そこで本を読みながらお菓子と飲み物で寛いでいたメニがエルニャに気づき側に来て話しかけた。
メニ「あんた見かけない顔だね、何処から来たの?」
エルニャ「あ、隣の町から来たの、知り合いに聞いて」
メニ「この店の事?隣町で?この店ってそんなに有名なの!?」
奥で作業をしていたサーシャとシャードも思わず話を聞きに、小走りで側に来た。
シャード「うちの噂ってどんなの?」
サーシャ「皆んな美味しいって言ってくれてる?」
エルニャは少し困りながら答えた。
エルニャ「噂で聞いたんだけど…この店には嫌な事を忘れられるお菓子が売ってるって…」
サーシャ「嫌な事を忘れられるお菓子?」
シャード「そんなのうちには無いわよ?」
一人だけ知っている人物がいた。
メニ「あ、それ、あたし知ってるよ」
皆んな驚きメニに注目した。
メニ「サーシャが前に作ってたんだよ、それがさ町中でヒットしちゃって売れてたんだよ」
サーシャ「私が?作ってたの?」
シャード「メニも食べた事あるの?」
メニは得意げに言った。
メニ「あるよ!勿論」
サーシャは皆んなの疑問を、代表してメニに聞いた。
サーシャ「それ食べて何か忘れたとか?」
メニ「え?あたしが忘れる訳ないでしょ、あたしは毎日、本で頭鍛えてんの」
その話を聞いてエルニャはサーシャ達に聞いた。
エルニャ「じゃあ今はそのお菓子作ってないの?」
サーシャは申し訳無さそうに言った。
サーシャ「実は私前に記憶喪失になっちゃって色々わすれちゃったの、だから今はそのお菓子の事は覚えてないの、ごめんね」
エルニャはガッカリして気を落としてしまった。
シャードが優しく聞いた。
シャード「何か忘れたいくらい嫌な事があったの?」
エルニャ「あんまり、初対面の人に言える話じゃ無いんだけど…」
シャード「大丈夫、ここに居る人は皆んな口が堅いから」
エルニャは嫌な過去の出来事を語り出した。
エルニャ「実は…」
エルニャの身体は震え出した。
両手を握り締めると過去の事を思い出した。
それは付き合っている彼の話だった。




