5節 相談(1)
とりあえず名前も決まったし、本題も考えていこうと床に座り込む。セレーナは向かい合うように座らせた。
「じゃあ今からは本題に入っていこう。ダンジョンをどうしていくかだ。ダンジョンの構造そのものや、あとは俺らの生活空間も考えなくちゃいけない。セレーナにはそういったことを考える手伝いもしてほしい」
「はい、ゴッド。生活空間はある程度決まると思いますが、ダンジョンはどういった方針でやっていくのでしょうか?撃退、隠蔽、侵略、どういったことをメインにおきますか。」
セレーナがうなずいて、聞いてくる。確かに、そういったことがわからないとセレーナも考えようがないか。うーん、やはりしばらくは隠蔽がメインだよな。
「余裕ができるまでは隠蔽を方針の中心にしたい。その上でこっそりとポイントを稼ぎ力を蓄えるというのが理想だ。なにかいい案は浮かぶか?」
といってもこれは難しい気がする。隠蔽したら人も魔物も入ってこれないし。ダンジョン内じゃないと、殺してもポイントへの還元にならないみたいだしな。
「隠蔽を中心に考えて見ますが、その前にポイントとはなんでしょう。」
「ポイントというのはダンジョンマスターが能力をつかうために必要なものだ。ポイントの入手は、生命体をダンジョン内で殺すことでポイントへ還元される。」
「そうなんですか。創造時に一般的なエルフの知識が与えられたのですが、知らなかったです。」
そうか、ダンジョンマスター以外はポイント制度を知らないのか。ポイントの制限なかったらダンジョンマスターは無敵なんだが。一つ一つ説明してもいいが、創造やダンジョン形成で使うポイントをセレーナが見られないのは面倒だな。
コア、俺経由でコアへの確認や能力行使ができたりしないか。
サー。確認のみ可能です。マスターとセレーナが意思伝達スキルを得ればマスターを介して確認できます。確認はマスターの許可を得て行われます。意思伝達スキルは強化能力によって一人200P必要です。カスタマイズより必要ポイントは大きいです。
ポイントは仕方ない。今後の効率を考えれば必要だろう。他の時でも便利そうだし。
「強化!意思伝達スキル。」
「ゴッド?」
セレーナが不思議そうに聞いてくる。そりゃいきなり能力使ったら疑問に思うよな。
「俺とセレーナに意思伝達スキルをつけた。これで心の中での会話ができる。」(こんな感じにな。)
(すごいです!ありがとうございます。便利そうですね。ただなぜ今とったんですか?)
(これでこのダンジョンのコアへ、セレーナも知識の確認ができるようになるらしい。ちょっと試してみてくれ。)
練習がてら心話で話してみたが、これは思ったより便利そうだ。一度していれば距離も関係ないみたいだし。
そんなことを思いつつ、目を閉じて確認しているセレーナを見ているとコアからの連絡が入る。
マスター、セレーナからポイント知識確認要請がきました。許可しますか?
ああ、それだけでなく全知識の閲覧を許可する。
「確認できました、ゴッド。すごいですね、これは。」
「俺もそう思う。ただ一人では扱いきれない。セレーナは知識を見ながら俺にアドバイスしてくれ。許可はすべての知識に対して出しておいたから。」
本当に一人では扱いきれない。知識見るだけでも大変だ。
「わかりました。これほどのポイントをかけてもらった成果を示し、ゴッドの役に立って見せます。」
どうやら自分の創造ポイントを確認したようだ。確かに単なるエルフが500Pだということを考えるとかなり多くのポイントを使ったのは事実ではあるしな。
「ああ、頼むぞ。さて本題に戻ろう。隠蔽を中心としたダンジョンで何かいい案はあるだろうか?まだ生活空間も創造していないからポイントは限られてしまうが。」