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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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誤字脱字、ありがとうございます。とても助かります、というか感謝しております。

健康で力強い騎士、そして若手。ここはガッツリ系の食事だろうかと薫は考えた。

しかし、直ぐに手に入る肉類は限られている。

そこで薫が考えたのは、カルボナーラ。麺はいまから準備をすれば寝かせる時間も含めて間に合うし、パンチェッタのようなベーコンもある。卵は鶏達が産んだばかりの新鮮なものがあるし、牛乳もクリームもチーズも問題ない。

パルメザンチーズのような味のものはまだないが、ここにはコクのある羊チーズのペコリーノのようなものがあるからそれで代用することにした。

更に大盤振る舞いで温玉乗せにすれば、大柄健康男子達も喜んでくれるに違いない。

世話人二人が作ってくれる通常の食事に加え、カルボナーラがたっぷりあれば今夜は何とかなるように思う薫だった。


しかしドイツのバーデンバーデンを目指しているのに、食事はイタリア風。この際、途中経過はさておき、最終目標をバーデンバーデンにすれば良いと薫は考えを改めたのだった。



結局食事は野菜とベーコンが入ったスープに青菜とキノコのキッシュ。それにパンとハム類のスライスにピクルスという通常のものに加えカルボナーラを追加したものとなった。キッシュの一人分がいつもよりも細めになったのは、サプライズを狙ったドミニク達のせいだ。別のところで食事をしている研究員達にもカルボナーラは提供してもらっているので、キッシュが細くなってしまったことは許してくれるだろう。


「初めて食べる味だけど、これ、旨いな。また食べたくなる味だ」

「良かった。皆さんのお口にも合いますか?」

騎士達は薫の質問に一様に頷いてくれた。その雰囲気から騎士達は薫とどう接していいか考え倦んでいるのだろう。キャロルと呼ばれているが、隣国の力ある侯爵家のご令嬢、しかも少し前までは王子の婚約者だったと分かっているであろうから。


今夜を含め三泊。ずっとこの調子では騎士の三人は気疲れしてしまうに違いない。さてどうしたものかと薫は考えた。


「ドミニクはわたしに会いに来たとして、騎士の皆さんとスコットさんはどういう理由で?」

会話をすることで、徐々に打ち解けようと考えた薫の騎士達への質問。しかし、それは三人の顔を強張らせるものになってしまった。ここから導ける答えは簡単、聞いてはいけない質問をしたということだ。前世で一般人だった薫は、騎士の職務をうっかり失念してしまっていたのだった。


騎士の中でも国境を抱える辺境伯領の騎士、ドミニクの護衛以外にも何か秘密裡の任務があってもおかしくない。馬鹿な質問をしてしまったと気付いても、今更だ。話を弾ませてそこから交流を始めようとしただけなのに、結果的には逆効果になってしまったのだった。


「あ、えっと、先ずは僕が言うのが良いかな。僕は医師見習いなんだ」

その場の雰囲気を即座に変えてくれたのはスコット。薫の質問に答えることで、自然に話をつないでくれたのだった。


スコットの話によると、彼は前世で言うところの整形外科医。普段は騎士達の怪我の治療をメインにしているそう。だから辺境伯領を訪れた商人が口にした怪我の治りが良くなるお湯に非常に興味を持っていたのでドミニクにくっ付いて来たのだとか。


「じゃあ三泊では本当にお湯に浸かるだけで、効果の程までは分からないのでは?」

「そうなんだよね。だから、ドミニクにお願いしてここにまた来たいと思っているんだ」

「その時はいつでもこのファルコールの館にどうぞ。歓迎しますよ」

「いやいや、そしたらうちの騎士達の怪我の面倒は誰が看るんだよ」

「師匠がいるから大丈夫」

「それに、キャロルはああ言ってくれたけど、迷惑だろ」

「そんなことないわ。お医者さんの見地から温泉の働きを調べたり考えたりしてくれたら嬉しいもの。温泉が良いものだとスコットさんに認めてもらえたら、国の為に怪我をして一線を退いた騎士や兵の為の療養所を作るのもいいかも」

「ああ、それは良いですね、キャロルさん」

「でも、そうしたらスコットは湯に浸かって、日々楽しくキャロルと話しながら過ごすだけじゃないか」

「それもいいな」

「良くねぇよ」


ドミニクとスコットの遣り取りを聞きながら、薫はふと侯爵がこのファルコールは一線を退いた人に向いていると考えていることを思い出した。それは何も人生だけではなく、怪我で退いた人にも当てはまる。そしてあの時薫は若い女性にも来てもらいたいと考えた。


「ねえ、ドミニク、わたしにスコットさんを貸してくれない?」


ご訪問ありがとうございました。ようやく今週末でアルバイトの忙しい時期が過ぎ去りそうです。もうちょっとしっかり考えて書けたらなぁと思っています。


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