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第23話:こうして、伝説になっていく?

 北門の攻防戦では、エールと、岩から出た光の効果で、ゴブリン達を押し返すくらいには優勢に傾きかけていた。

 でも、あと一押しが足りない感じ。

 問題となっているのは、やっぱりゴブリンの数かな? 減ってきてはいるけど、まだ150はいそう。




「クックック。いや~、いいものが見れましたよ。眼福でしたよ」

「見てたの!?」


 キラッとポーズを決めて? ラグルさん達の戦いを応援してたら、後ろからクックさんが話しかけてきた。


「オーガのとこに行ったんじゃなかったの?」

「行ったのですがね、ゴブリンに邪魔されたから速攻で帰ってきましたよ。クックック」

「諦めるの早いよ!」

「冗談ですよ。そろそろ効果が切れる頃かと思い、援護に戻ったのです」


 クックさんがラグルさん達とゴブリン達との戦いを眺めながら言った。

 効果が切れるって、どういうことだろ?

 そう思って、私もラグルさん達を見ると、ラグルさん達にかかっていたエールの光が弱くなって消えていった。


「やはり、対象人数が多かった分、効果時間が短くなってしまったようですね」

「……」


 効果が切れた瞬間、スキルのクールタイムで声が出なくなっちゃった!


「お姉様? 声が出なくなってしまわれたのですか?」

「あんな恥ずかしいポーズを決めて頑張りすぎるから、声が出なくなっちゃったんですよ。クックック」

「……!」


 それをさせたのはクックさんでしょ! それにポーズ関係ないし!

 ツッコミたいのに声が出ない~~~!


「お姉様。今は互角に戦えてますけど、このままだとヤバイですわよ」

「イザベラさん達の魔力はどれくらい残っているのでしょう?」

「ファイヤボールを一発撃てるかどうかですわ」


 親衛隊の子達も頷いている。

 魔法が使えないと、ラグルさん達は囲まれてしまうかも。


「私の力はあまり公には見せたくなかったのですが……クックック。え? 地形が変わるほどの攻撃でゴブリン達を殲滅しろと? 遠慮はいらない? そうですかそうですか」

「……!」


 言ってないよ! 地形が変わるってどんだけ!? 

 声が出ないことをいいことに、クックさんが好き勝手していく~~~!


「クックック! 見せてあげましょう!」


 クックさんが両手を頭上に掲げると、ゴブリン達の真上に8重円の魔法陣が浮かび上がった。

 うん、こうやって見ると魔法陣って丸の中にいろんな模様があって綺麗なんだな~。そこからどんな凄い魔法が……って! あそこにはまだラグルさん達が!


「……!」

「ちょっとクックさん! まだあそこには冒険者さん達もいますのよ!」


 よかった。イザベラちゃんが代わりに言ってくれた。


「忘れてましたね~……そしてもう止められませんよ。どうしましょう?」

「……!」

「皆様、上を見てくだいさいまし! そして逃げて~! とにかく全力で逃げてくださいまし!」


 そのイザベラちゃんの叫びを聞いて、みんな上を向いて、それに釣られたゴブリン達も上を向いて、そこに出現していた魔法陣に口を開けて驚いて、一斉に逃げ出した。

 戦場はそれだけで大混乱だよ!


「クックック♪ 撃っちゃいますね。シューティング・レイン♪」


 ♪ まで付けて、楽しそうに撃ったよ!

 魔法陣からいくつもの光る弾が出現して、雨のように降り注いでいく。

 光る弾は高エネルギーが圧縮されてるみたいで、ゴブリンに命中して消滅させただけじゃなくて、地面に当たった直後に爆発してた。

 これ、本当に地形が変わりそうだよ。


「あっつ! うお! これ爆発するのか!」


 逃げ惑う人達……。当たってはないけど、爆発の余波ダメージがみんなを襲った。

 ゴブリンとの戦闘以上に負傷者が出てそうだな~……。




 地獄絵図のような混乱が収まって、みんな肩で息をしてその場に座り込んだ。

 

「ゴブリンはほぼ殲滅できたみたいだな」

「クックック。そうですね。残るはオーガですが……2体は私の魔法で倒したのは確認できたのですがね」

「残り1匹か」


 そこまでラグルさんが言ったとき、話してる2人の後方から、大鉈を振り上げて上から落下してくるオーガが見えた。


 ラグルさんとクックさんはまだ気付いてない! 声が出ないから教えられない! 私が2人を突き飛ばしてでも守らなくちゃ!

 そう判断して、勢いをつけて駆け出し、2人に向かって体当たりをした。


「おっとと。どうしたんだサクヤちゃん?」


 ラグルさんにかる~く受け止められちゃった! 私の体当たりじゃビクともしなかったよ!

 ていうか私も死地に飛び込んじゃったよ!


 2人はまだ気付いてない!

 オーガが大鉈を振り降ろす! ……私が立っていたところに。

 狙いは最初から私だったみたい。

 大鉈は地面を吹き飛ばして小さなクレーターを作っていた。


「すまん! 油断して気付かなかった! だが、俺達の元に逃げてきたのはナイス判断だ! クックさん、サクヤちゃんを頼む」

「クックック。任されましたよ」


 ラグルさんが、抱きかかえていた私をクックさんに受け渡しながら剣を構える。

 うん……結果オーライ?

 

 オーガは、クックさんの魔法で大きく傷ついていた。

 左腕は途中でなくなっていて、体中が焼けただれている。それでも、強者のオーラが出ていた。


「グガァァァ!」


 オーガの咆哮で空気が震える。

 不意打ちに近い魔法攻撃を受けて、……間違いなく不意打ちだったけど、怒っているみたい。


「グガ! じゃありませんことよ! お姉様を狙うなんて、許せませんわ!」


 オーガ以上にキレてる子がここに居た。


「親衛隊の方々、残りの全魔力を一発に込めますわよ!」

「はい! 隊長!」

「クックック。手助けしましょうかね。バインド!」


 オーガの足元から土が盛り上がってきて、足に纏わり付いて固まった。

 身動きが出来なくなって、これじゃ魔法を避けることも出来そうにない。

 

 地面から突き出してきた岩の槍に腹を貫かれ、光の矢で右腕を吹き飛ばされる。

 16人の魔法がオーガに降り注いで、最後にイザベラちゃんのファイアウォールで焼かれて、オーガは光の粒子となって消滅した。


 傷ついていたとは言っても、あのオーガを子供達が倒したことで、周りから大歓声が巻き起こった。


「君達すごいな」

「私達はお姉様親衛隊! お姉様に危害を与えようとする者には容赦しませんことよ!」


 全員で変なポーズを取りながら叫ぶ。


「サクヤちゃん……学園で何してるんだ」

「……!」


 違うの! 私は何もしてないよ! と、首をブンブンと横に振る。


「うお~! 街を守った勇者サクヤ親衛隊として語りついでいくぞ~!」

「クックック。学園だけじゃなく、街にも親衛隊を……」


 やめて~~~!




 こうして、北門防衛戦は終わり、親衛隊は伝説に……ならないよね?


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