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第24話:再び洞窟へ!

 北門防衛から一夜明けて、私は草原で穴を埋めてます。

 何の穴かって?

 クックさんが魔法で開けた150個の穴だよ!


 クックさんの魔法に巻き込まれて怪我をした冒険者さん達は大激怒!

 当たり前だよね~。で、声が出なくなっていた私はペコペコ頭を下げたんだけど……。

 イザベラちゃんも、『あの魔法で助かったのは事実でございましょう?』て、援護してくれて、出された条件が、指名緊急クエスト、草原と街道の穴埋め。

 この程度で許されるんだったら、いいほうなのかな~?


 クックさんが穴の周りに盛り上がった土をショベルで均して、穴を埋めていく。

 白銀の鎧と盾を装備したクックさんが穴埋め。なんか可笑しくなって笑っちゃう。


「サクヤ様。平和ですね~。激しい戦いがあったなんて思えませんね。クックック」

「うん。でも、ゴブリンまた来るかな?」

「サクヤ様の優しい魔力が周辺を満たしている間は大丈夫でしょう」

「そうなんだ?」

「ええ。ささ、早く作業を終わらせて、昼食にしましょう」

「そうだね」


 クックさんが素早い動きで穴を埋めていく。

 え? 私? 3個は埋めたかな~。少ないって? ステータス1だよ? 1個埋めるだけでバテバテだよ。


 こうして作業は順調に進められて、草の所々生えてない草原が出来上がった。




 作業を終えて、ギルドの食堂で昼食を食べていると、ラグルさんとビィスコさんがギルドに入ってきた。

 今日は昨日の騒動で学園は休みだけど、ビィスコさんがギルドに来るってどうしたんだろ?


「あらあら、サクヤちゃんこんにちわ」

「こんにちわ」


 学園長室では見せない、どこか威厳のある言葉で挨拶してきた。

 こっちのほうが演技なんだよね?


「昼食はサンドイッチなのね。おいしい?」

「はい。おいしいです」


 最近では野菜が高くなっていて、このサンドイッチも野菜があまり入ってない素朴な感じだけど。

 商人さん達が街にあまり来なくなって、市場で品薄が続いてるかららしいけど。


「サクヤちゃんとクックさん。食べ終えたら3階まで来てくれる?」

「はい」


 レオドナドさんはギルド支部長だから居るのは当然として、ビィスコさんまでギルドに来て話ってなんだろ?




 3階の会議室に入ると、ラグルさん、レオドナドさん、ビィスコさんの3人がいた。

 テーブルの上には、洞窟の地図が置かれてる。


「早速だが、クックさんに聞きたいことがある」


 レオドナドさんが地図の上に、木で出来た駒を洞窟の最深部、あのホールみたいになっているところの中央に置いた。


「この洞窟はFランクの初心者の冒険者が、卒業試験で探索クエストに使われている、簡単なものでな。あの魔柱石というのか? あれは以前にはなかったものだ」

「ふむ……。私以外の魔族が設置した、と考えてよさそうですねぇ」

「俺とサクヤちゃんが洞窟に行ったときは赤く光っていて、居るはずのないオーガがそこに居た。その魔柱石の効果と役割について話してもらってもいいか?」


 ラグルさんの頼みに、クックさんは軽く笑ってから、話はじめた。


「簡単に説明するとですね。あれは自分達に有利な領域を作る、領域魔力発生装置だと思ってください。今回は、魔王の魔力が直接込められていたのでしょう」

「それが、ゴブリン達が強くなっていた理由か」

「クックック。それに加えて、洞窟内という密閉に近い空間で魔力が充満して、ゴブリンが大量発生した、ということでしょうねぇ」


 学園で習ったことだけど、この世界では空気とは別に、浮遊魔力というものがあって、その魔力が一定値を超えると、魔物というものが生まれるらしい。

 この地域は魔王の支配権から離れてるから、まだ弱い魔物しか生まれないってことらしいけど。

 今回は洞窟内で魔力が高まって、ここには出るはずもないオーガが出てきた、ということらしいね。


「次の質問ね。その強化されたゴブリン達を弱体化させた光。あれも魔柱石の力なの?」


 ビィスコさんの問いに、クックさんが私を見て優しく微笑む。


「サクヤ様の力を注いだ魔柱石で、領域を上書きした……と、考えていただければいいですよ。魔王の邪悪な魔力を、サクヤ様の優しい魔力による上書き。まあ、陣取り合戦みたいなものですね」

「魔柱石ってあれか? サクヤちゃんの家に突き刺さっている岩」

「そうですね。壊されてはいけないので、モフモフさん達に守ってもらってますが」

「私にそんな凄い力あるのかな?」

「何を言っているのです? サクヤ様は魔王と名乗っている私を作った者以上の力を持った、正真正銘の……」

「「「ストーップ!」」」


 突然、3人が焦ったようにクックさんの言葉を遮った。


「ちょっと休憩しような! クックさんは話があるから俺達と別室にきてくれ。サクヤちゃんはゆっくりジュースでも飲んでなさい!」

「分かりました」


 レオドナドさんとラグルさんがクックさんと一緒に会議室を出ていく。


「今日はいい天気ね~」

「そ……そうですね」


 ビィスコさんはそう言ったけど、外は曇っていた……。すごく焦っているみたい。

 クックさんの言葉に焦ってしまう要素あったかな?


 しばらくすると、クックさん達が戻ってきた。

「さぁ、続きから話してくれ」

「クックック。洞窟にある魔柱石をどうにかしないと、また同じことが起きるということです」

「いきなり話飛んでるよ! そんな話してたっけ!?」

「し……してましたが?」


 クックさんを見ると目を逸らした。

 え? どういうこと?


「サクヤちゃんには退屈な話だったからな! 居眠りしてたんだろ! な、ラグル!」

「そ、そうだな」


 そうだったかな~? 興味があって真剣に聞いてたはずだけど……。

 疑問を残したまま、話はすすんでいって、魔王軍が正面からなかなか侵攻できないから、魔王は魔柱石を世界中の大きな都市周辺に設置させて、内部から掻き乱して、防衛戦力の分散化を狙っているらしい、ということで、話はまとまった。


「早馬の伝令を使って、このことを全都市に伝えよう。冒険者は各都市にいる。なんとか出来るだろう」

「俺達は目の前の洞窟攻略に全力を注ぐ。それでいいんだな? クックさん」

「ええ。サクヤ様による魔柱石の直接的な魔力の上書き、無理なら破壊がクエストクリア条件ですね」

「サクヤちゃんは俺のパーティーに入って、洞窟最深部まで行ってもらう。いいね?」

「頑張ります!」


 胸の前で両手を握り締めながら言った。

 やっと勇者らしい働きが出来るよ! みんなを守りながら、押し寄せる敵をバッタバッタと薙ぎ倒し……。


「後ろから付いてくればいいからな。無理はするな」

「はい……」


 あれ? 勇者らしい……私、勇者だよね?


 クックさんが私のコロコロ変わる様子を見て笑っている。

 ま、まぁ、なんだかんだで、再び洞窟攻略クエストがスタートです。  

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