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11話 昆虫採集から始まった非日常の真ん中で

アリオンside


 ——グォォォォォァァァァ——

 空気が凍り付き砕けるかのようなプレッシャー、おそらく飛竜種と思われる魔物の咆哮が森全体に響きわたる。

 ——おそらくは、エルドアンさんが言ってた密猟者だろう。

 ここはひとまず退いて、密猟者についてはエルドアンさんに任せて……と思っていたが、不意にフリューが立ち止まり森の奥へと進んでいく。


「この声……苦しんでる……助けないと……」


「待て!!フリュー!?」


 いったい何が起こっているのかわからないが、フリューを連れ戻さなければ!!

 ——俺はもはや選択の余地などなく目の前の危険に飛び込む他なかった。


アリオンside 終


▷▷▷



フリューside


『ぐわぁぁぁぁぁ!?おのれ人間め!!』


 ——空気を引き裂くような飛竜種の叫びと重なるように、何者かの声が聞こえる。

 まるで、普段【鳥使い】のスキルを使用する時のような感覚。

 これはもしかしなくても飛竜種の声だと思うけど、実際はボクにもよくわからない。

 何故、よりにもよって()()()()()()()()()()のか。

 何故かはわからないけど、この声の主は今苦しんでいる。

 ——なら、ボクが助けないと——

 自分でもよくわからない使命感に導かれるまま、ボクは森の奥へと歩みを進めている。

 後ろからアリオンの呼び止める声がかすかに聞こえた。


フリューside 終


▷▷▷



 途中でリアンと合流して、アリオンとフリューの向かったと思われる方角へとひたすら走る。

 先程感じた嫌な予感は当たって、どうやら2人とも森の奥へと向かったようだ。マズいな……このままだと、本当に飛竜種と出くわすかもしれない。

 もしも飛竜種に襲われたら、今の僕ではまだ敵わないだろう。

 ——とはいえ、それはあくまでもタンク職である僕の話。フリューやアリオンの場合は自衛すらできないまま死んでもおかしくない。

 2人だけでも逃さなければ……先程までそう思っていたけれど、森の奥地にて僕は想像を絶する光景を目にする。


 ——手負いのヴェイルワイバーンと、巨大な血溜まりにうずくまる、ついさっき手負いにされたかのようなロッソワイバーン……そして、目の前の惨状を引き起こしたと思われる、密猟者の集団と血塗られた大剣を担う重剣士の姿を——。


 あまりにも現実離れした光景に気圧されそうになったが、辺りを見渡すとフリューとアリオンが血みどろの重剣士と対峙しているのが見て取れた。


「警告です……その子から離れてください……!!」


「貴様こそ、死にたくなければ下がっていろ」


 おそらく奴が例の密猟者だろう。フリューがボウガンを構えながら重剣士へと呼びかけるが、向こうは気にも止めていない。しかしそれも一時的な話だろう。フリューが下手に動けば、奴は嬉々として殺しにかかる。あの重剣士からはそういう凄みを感じた。

 このままでは、フリューもアリオンも口封じに殺されてしまう。この状況を動かせるのは僕だけだ。

 

「リアン、僕が突っ込んだらそれに合わせて追撃してくれ。頼んだよ」


「わかった……」


「【魔鎧装:灰白の骨杭砲(ダインスレフ)】!!」


 ——まずは不意討ちで一撃、当たらなくても牽制になればいい。


「ッ!?」


 敵が回避の為に身をよじる。そのタイミングでダメ押し!!


「【魔鎧装:灰白の咬牙罠(ガルム)】!!」

 

 目の前の重剣士の軸足を捕らえ、僕自身も【魔鎧装】で手足を武装した後に強烈なタックルをかましてやる。

 派手に吹っ飛んだ重剣士にリアンがすかさず追撃を仕掛ける。それで倒した——かに見えた。


「なるほど、見た事ねェスキルだったモンでしてやられた。だが、俺を倒すつもりならば脚を噛みちぎるくらいはしておくべきだったな……」


 ——重剣士はリアンの振るうトマホークを大剣の背で軽々と受け止め、力任せに押し返した。

 実力差が——、あり過ぎる!?


「さて、俺の密猟(仕事)を邪魔した分の代償は、貴様らの命だ……!!」


 血みどろ重剣士の部下と思われる密猟者達が一斉に戦闘態勢を取る。その刹那——、


「なるほど、君達が森を騒がせた元凶か……」


 その声は……エルドアンさん?


「森の木々よ……我に従え!!」


 エルドアンさんが杖で地面を軽く叩くと、そこら辺の木の根やら蔦が密猟者達へと一斉に襲いかかり、捕らえた。

 血みどろの重剣士は手にした大剣で蔦や木の根を斬り払いながら拘束を逃れる。


「チィッ……!!ここは退くか……」


 重剣士は部下を捨て石にして、ただ1人戦線を離脱した。

 そして、僕達と手負いの飛竜種の(つがい)だけがその場に残された。


 ——グルルルルルルル——、


 あの〜、これってもしかして……


「連戦だ!!気を緩めるなよ、少年……」


 ——でしょうねェ!?


 唐突に、フリューがロッソワイバーンの前に立ち塞がる。さながら僕達をかばうように。


「大丈夫です……ボク達は敵ではありません」


 フリューの言葉が伝わったのかどうかはわからないが、ロッソワイバーンから敵意が消えていく。

 というか、昆虫採集しにきたはずなのになんで密猟者と戦ってるんですかね僕……

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― 新着の感想 ―
 更新される度に、「あれ?前回どうなってたっけ?」となった末にイチから読み直しているあんぼんたんもっさんです。  大型飛竜の番を(多分)一方的に叩きのめせるこの大剣使い、いや普通に強くね……?  エ…
やっぱり密猟者と会敵したかぁ。 でもってただ者じゃない相手もいたと……次に会う時は捕まえられるといいね。 まぁそれも……ワイバーン相手に生き残れたらの話ですけど(;゜Д゜)
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