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23、幸せ
目が覚めると知らない天井だった。優しそうな男性が手を握ってくれている。
「ああ、起きたのか!よかった!」
「あなたは?」
「僕は君の夫だよ。ほらこれを。」
そう言って薬指の指輪を見せてくれる。握っていた私の左手も見せてくれて同じ指輪が見える。
「君は交通事故にあって強く頭を打ったんだ。幸い、頭以外に怪我はないようだ。今先生を呼んで来るから。」
色んな事が起こり過ぎて意味が分からない。夫と言った男性は病室を出て行ってしまった。
ベッドの頭の名札は秋野光。名前を見ても何も思い出せない。
思い出そうとすると酷く頭痛がする。
「光、大丈夫?」
男性が戻ってきたようで私を心配そうに見ている。
「私、何も覚えてないんです。」
「えっ僕は柊玲二だよ。玲二だ。夫と言ったけど婚姻届はまだ出てないんだ。君の誕生日に出そうと決めてたんだよ。とにかく大丈夫だよ。僕がそばに居る。何があっても君のそばに居る。」
そう言って優しく抱きしめてくれるこの温かさに身を委ねていた。こんなに温かい人なら信用できる。
私はこの人と一緒にいよう。記憶はないけどずっと一緒にいた気がするもの。何より抱きしめられると幸せを感じる。
「光、愛しているよ。絶対に離さないから。絶対に、ね。」




