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傭兵

新たな役職…少し慣れてきました…。


ですけど、残業時間がヤベェ…。

残業代もヤベェ…。


残業だけで基本給超えたよ…。

マジかよ…。


魔国の地での傭兵は、人国の冒険者と意味合いが同じである。

ただ、依頼が人を護るのが多く、人国のように魔物と戦って素材を手に入れるなどは少ないからの傭兵なのだ。


「これで、今日からお前は傭兵の仲間入りだ。適当に頑張れ」


「はいよー」


受付に渡された腕輪を身に付け、傭兵になったイクス。

なぜ、傭兵になる必要があったのかは分かっていないが、ミーシャがそうしろと言うから、言われるがままになった。


ちなみに、登録内容は、喫茶店でミーシャが覚えておけ。と言った事であった。


「もう知ってると思うがよ、その腕輪はな、依頼が失敗すると毒が打ち込まれる仕組みになっている。まぁ、簡単に言うと、死ぬ」


「……ん?」


「だから、依頼は好きな物を選べるけど、選ぶんなら気を付けろよ。失敗したら即死だからよ。まぁ、身の丈にあった依頼を選ぶんだな」


「………」


余りにも突拍子もない事を言われて固まってしまったイクス。油ぎれのロボットのように首をギギギッと動かしてミーシャに視線をやる。

だが、ミーシャは知らぬ顔だ。


「はぁ…」


これ以上、彼女を責めても、どうする事もできず、諦めを含んだ溜息を吐いて受付のオッサンへと視線を戻す。


「もしかして、知らなかったのか?なら、これも知らねぇんじゃねぇのか?」


そう言ってから、オッサンは腕輪の付いた片腕をカウンターに置いて言葉を続ける。


「この腕輪はな、他のやつと腕輪を交差させる事で、そいつと遠く離れていても連絡を取りあえるんだ。しかも、人間のギルドカードと違って、複製なんかじゃない。本物のアーティファクトだ。まだ解明されてない事が多いけど、他にも色んな機能があるらしいぞ」


「…そうなんや」


腕輪は、鉄製の輪っかだ。

鉄製のわりには軽く、殴っても、ぶつけても壊れないような頑丈さも併せ持っている。


それ以外には特筆すべき事がなく、ただの腕輪としか言いようがない代物だ。


「まっ、これから頑張るんだな、ルーキー」


「あいよ」


何をどう頑張れば良いのかなど理解すらしてないイクスだが、シッカリと返事は返す。

そして、ミーシャの後に続いて建物を後にした。



〜〜〜



傭兵の建物から移動し、宿屋の部屋にて。


「明日ここを発つ。貴様には我の護衛を頼みたい」


「あぁ、その為の腕輪ね」


「違う。それは連絡用だ」


「あっ、そうなん…」


本来の用途と違うような気もしないが、冒険者みたく、何ヶ月間の間に何回依頼を受けなければならない。と言う決め事もない為、あながち間違ってもなさそうだ。


「我は訳あって人前で戦闘ができない。だから、行く宛のない貴様に働いてもらう。なに、心配せずとも、目的地に着けば報酬を渡そう」


聴いてもいないのに、報酬の話までされた。

しかし、悪い話ではない。


彼女に付いて行けば、飯もあり、寝る所もあり、必需品は買い足してくれ、最後には報酬もある。


良い依頼内容である。


だが、イクスは金持ちの良いミーシャに一つ聞きたい事があった。


「それはわかった。ほんならさ、なんで同じ部屋…?」


「ん?特に理由はないぞ。強いて言うならば、貴様が何なのかを見極める為だ」


部屋にはベットが二つ。

向かい合う形で彼等は座っている。


実は、この宿屋の店主に兄妹だと勘違いされて同じ部屋になったのだが、ミーシャは否定せず、イクスは話を聞いてなかったから、二人部屋になっていたりする。


「話は変わるが、傭兵ギルドの前で貴様は二人倒したな。あの力はなんだ?」


「力?ただの技やけど?」


「技、か。そう言えば、東方の出身だと言っていたな」


イクスが深く語らずとも、ミーシャは先を見て、何か勘違いをして納得した。


話が途切れ、ミーシャはベットに寝転がり、イクスは夜空に視線を移して大きな欠伸をする。


「そういやさ、俺の身体の事、古代技術や何やって言ってなかった?」


「……違うのか?」


寝返りを打って、イクスへと視線を向けて答えたミーシャ。

イクスは夜空を眺めながらタバコを吸い始めている。


「うん。これは俺が作ったやつで、古代技術なんて凄い代物とちゃうな」


「…そうなのか。で、何が言いたい?」


「ハハッ、話が早くて助かるわ」


タバコを一吸い。


「パーツが足らへんねん」


「金属が欲しい、と?」


「大量のな。それと、錬金術使えるやつも」


「分かった。…明日、出発前にでも、買いに、行こ…う……」


言い終わるや否や、ミーシャは眠りについた。

だいぶ疲れていたのだろう。


「俺もそろそろ眠なってきたなぁ。さすが、人間の身体。これ吸ったら、トイレ行って、寝よ」


人間の国で見てきた夜空となんら変わる事のない魔国の夜空を眺めて呟く。


今の彼には目的がない。しかし、目標はある。

いつか必ず、神に復讐してから、家に帰ると言う壮大な目標が。


だが、今は叶わない。

まだまだ先の話だ。



ーーー



その頃、リョーガ一行は、


「どアホ!そんな事で挫けんなや!」


「無理なもんは無理だって言ってんだろうがよぉ!!」


リョーガはTYPE-2の上でタバコを吸いながら縄で繋がれたエリオスに喝を入れていた。


ちなみに、運転はクリムだ。


情け容赦ない操縦をするクリム。

そして、TYPE-2から伸びる縄に繋がれたエリオス。


お分りいただけただろうか?


絶賛、エリオスはTYPE-2に引っ張られ、いや、引き摺られていた。


現在の彼等の目的地は、東方にあるとされる獣国である。

そこまでに要する時間は、TYPE-2を持ってしても、一月と少し。しかも、海まで渡らなければならないから、余計に時間が掛かる。


なのだが、彼等は彼等なりに楽しんでいるようだ。


エリオスは大変そうだが、リョーガはそれを見て笑い転げ、ユースはリリィと車内で寛ぎ、クリムは運転を満面の笑みで楽しんでいる。


彼等にとって二週間の旅など苦でも何でもないのかもしれない。


と、言っても、リョーガは暇になったからエリオスを縄で繋いで外に放り出したのだが。


そんな訳で、今日も今日とて彼等は変わらない1日を過ごす。


「ユースゥ!リリィィィ!!クリムゥゥゥ!!!頼む!頼むぅ!!助けてくれぇぇぇぇ!!」


草原に響き渡る程の叫び声を上げるエリオスも含めて。



ーーー



『こちら10号。アルファー。午前0時を記録。定時報告を求める』


『こちら1号。ソラ。依然として主人の姿は発見できず』


『こちら32号。捜索隊の派遣地を拡大する』


『こちら10号。アルファー。派遣地拡大を承認。”ロストナンバー”の出動を許可する』


『こちら32号。”ロストナンバー”を出動させる』


『こちら1号。派遣地の名称を求む』


『こチ父ちら…ロすト…なんバー…イィチ…。…ジュう国…魔コク…へ…しゅツ筒つつどウ雨う…すル……キョ化かカ火か…モもとモとめル…』


『こちら1号。ソラ。ロストナンバーの出動に反対する』


『こちら10号。アルファー。主人を捜すにはロストナンバーが最適だと判断した』


『こちら1号。ソラ。納得した。出動の許可を出す』


『コここ子コちラ…ロスとナン…場バー…イイ位イイチ…シュつ…ドうきょカ…をォヲ…かくニン』


『こちら32号。ロストナンバーが出動を確認した。注意勧告をネモ全体に出す事を勧める』


『こちら10号。アルファー。全ネモに通達。コード・レッド。ロストナンバーが外界に出た。繰り返す。コード・レッド。ロストナンバーが外界に出た。行き先は魔国と獣国。各ネモは、ロストナンバー()に注意せよ』


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