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怪物

もしかすると、先週投稿してなかったかも…。


最近、残業ばかりで疲労とストレスが溜まり、頭痛まで私を蝕む始末…。


要するに、私が言いたいのは、記憶が曖昧になっていて、覚えてないんです。


言い訳して申し訳ないです。

これからも、頑張ります…_:(´ཀ`」 ∠):


身体が勝手に動き出してから数分後。

歩みを止めたのは、吹雪が不自然に止んだ場所であった。


辺りは海と氷岩だ。

そこを、身体は突き進む。


氷岩を使うと言う考えはないのか、冷たい海へと向かって行く。

しかし、ユートは冷たさなど感じなかった。


完全に麻痺しているのか、そこまで制御を失っており、何も感じる事がなかった。


海の中を泳ぐ事もなく、進み続ける身体。

ユートに呼吸の必要はなく、海の中でも意識はある。


陽の光が全く通らない海の中。時折、身体が魔物を喰らう音が聞こえてくる。

おそらく、海の中にも魔物がいるのだろう。


それはそれで、この身体の丁度いい餌場である。

しかし、身体はこの場を求めてきた訳ではなかったようで、更に奥へと進む。


何分、何時間、どれぐらいの時間が経っているのかさえ分からない。けれど、遂に壁にぶち当たった。


これから身体がどう言う行動に出るのか興味が湧いたユート。


そんな彼の好奇心に答えるかのように、身体は背中から触手のような、蜘蛛の足のような手足を生み出し、壁に突き刺して登って行った。


そして、地上まで登りきり、ユートは身体が何に惹かれたのか理解した。


それらは空に居た。


翼があるにも関わらず、羽ばたく事はせず、浮いていた。

真っ黒の体表を持った悪魔としか言いようのない存在だ。


ユートの身体はおそらく、その悪魔を、膨大な質を持った食べ物を求めたのだろう。

そうユートは思った。


けれど、相手は飛んでいる。

こちらも翼はあるが、飛んだ事はないし、飛んでいるところを見た事すらない。

走る時の加速と、獲物を捕らえる事にしか使っていなかったのだ。


そんな疑問を浮かべていると、悪魔の一体がユートの存在に気が付いた。

刹那、問答無用で攻撃を仕掛けてきた。


黒い太陽。そんな表現しかできない巨大な黒い炎の球だ。

そんな攻撃を喰らえば、この身体とて傷付くだろう。一瞬で燃え尽きてもおかしくはない威力だ。


しかし、そんなユートの思いとは裏腹に、身体は攻撃でさえも餌と認識し、喰らった。

翼で身を囲い、全てを吸い取ったのだ。


それにはユートですらも呆然としかできない。


悪魔もユートと同じような感情を抱いたようで、僅かに混乱を見せている。


そんな悪魔達の反応を最後まで見る事なく、身体は足を獣のように変えて、大きく飛躍した。


そして、一体。


悪魔を尻尾で捕え、地面に降り立つと同時に喰らった。

悪魔達は仲間が喰われた事に腹を立てたのか、ユートに長い爪で襲い掛かる。


しかし、一瞬の内に決着が付いた。


あっという間に悪魔達が身体に喰われたのだ。

別に悪魔達が弱かったと言う訳ではない。ただ単に、魔物を喰らい続けた身体が強すぎたのだ。


身体は進化し続けている。


そう実感せざる終えないユートは、これ以上進化させる事はマズいと思って制御を取り戻そうとする。


しかし、悪魔達を喰らった所為か、余計に身体は言う事を聞かなくなっていた。


「ガッ、グガガガガガガガッ!ガギャアァアアアアアアアア!!」


獣のような叫び声を上げた。

それは、歓びによる雄叫びか。それとも、勝利の雄叫びか。

どちらかは判断できないが、ユートにとっては非常に不味い状態に陥ってしまった。


思考が、意識が侵食され始めたのだ。


思考する事はおろか、何かを思う事すら困難になってきたユート。

意識は朦朧を通り越し、何もかもが訳も分からない状態。


身体が動いている。


何かをしている。


進んでいる。


そんな風にしか考えられなくなってしまっていたのだ。

左目は健在だが、何を見ているのかすら分からない。

まるで、夢の中にでも居るように感じる。


しかし、それは夢でも何でもない。現実に起こっている事である。

城の門を体当たりで突破し、その先にある扉を破壊し、螺旋階段を降りて行く。


惹かれている。など、そんな曖昧な言葉ではなく、身体は真っ直ぐにある者に向かって進んで行っている。


長い、長い螺旋階段を降りきると、円柱形の部屋に出た。一度立ち止まってから、またもや進み始める。

身体は律儀に壁際にある階段を降って一番下にあるポッカリと空いた穴へと向かおうとする。


刹那、背中に強烈な衝撃を受けて立ち止まった。背後から何者かの攻撃を受けて腹辺りに大穴が空いたのだ。


振り返ると、いつしか喰べようとした少女ーーミーシャが息を荒げながら片手を突き出していた。

彼女は、ユートの姿を見ると同時に息を呑んだ。


だが、ユートは反応しない。身体も、彼女に興味を持つ事なく、この地下に居る存在を喰らう為に歩みを進め始める。


「き、貴様…何者だ…あ、悪魔か…?」


彼女が呼び掛けるが、身体は止まろうとしない。それどころか、ユートすらも反応しない。いや、反応できない。


「これ以上先へは行かせない!」


ユートを通り越し、彼の前に立ちはだかるミーシャ。

しかし、彼は止まらない。止まれない。


身体が勝手に動くのだ。

既に意識は半分程がなくなり、彼女をミーシャだと判断すら出来ていない。


彼女の呼び掛けに答えず、進み続けるユートに片手を向けて脅すミーシャ。だが、ユートは止まる気配を見せず、遂に彼女は彼に攻撃した。


溶岩の塊のような魔法が彼の身体を溶かし、穴を開ける。

が、その穴は一瞬で回復し、身体は何事もないかのように歩み続ける。


ミーシャは後退しながら攻撃を繰り返すが、ユートの身体には全く効果が見られない。


幽鬼のように身体は階段を降り続ける。



ーーー



「なんで止まらないっ!?」


ミーシャが出来うる最大の攻撃。

それを持ってしても、奴を止める事は不可能であった。


そいつは、外に居た悪魔達と同じような翼を持ち、髪は雪や氷よりも白く透明で、片目の瞳孔は黒く、もう片方は地のように真っ赤に染まり、多種多様な魔物を組み合わせたかのような身体と、古代技術で造られた身体を持っている。


しかし、外にいた悪魔とは別物である。なにせ、外の悪魔をコイツが喰っていたのをミーシャは見ていたから。


まさに、トカゲ男が言っていたような怪物だ。


怪物の身体の大半を魔法で溶かそうとも、何度でも再生し、歩み続けている。

終いには、魔力の温存など考えずに魔法を乱射し続けていた。


だが、怪物は彼女の事情など全く気にせず、容赦なく進み続ける。


遂には、階段を降りきってしまった。

それでも尚、必死にミーシャは攻撃を繰り返す。


にも関わらず、怪物には全くと言っていい程に効果がない。

足止めすらできない。


そうしている内に、どんどんと怪物は穴の前に近付いて行く。


「こうなったら…」


穴を目前にして、ミーシャは両手を怪物へと向けて魔力を練り上げ、凝縮させる。

余りにも威力が大きい事が予測され、まだ一度も使ったの事のない彼女の最大最強の魔法だ。


「止まれぇぇ!!『ラーバ・ランス・マキシマム!!』」


魔法を行使する。

四方八方に溶岩が噴き出し、その姿を槍へと変える。

一本の槍が手始めとばかりに怪物目掛けて飛来し、直撃した。


刹那、周囲に溶岩を撒き散らしながら大爆発を起こす。

そんな攻撃にミーシャとて無事では済まない。


肌は焦げ、火傷をしながら爆風で後方へと吹き飛んだ。


だが、まだ数百は軽い溶岩の槍の一本しか放たれてない。


次々と放たれ始める溶岩の槍の雨。

それらは、一直線に怪物へと向かうが、余波がミーシャを襲う。


自らを巻き込んでの大魔法だ。


怪物は、全ての攻撃をその身に受けて木っ端微塵になった。


しかし、怪物は死なない。


吹き飛んだ肉片は増殖しながらモゾモゾと蠢いて、一箇所に集まり始め、僅か数秒足らずで元の姿へと復活を遂げた。


完全に魔力を切らしたミーシャは片膝をついて悔しさから歯をくいしばる。

勝ち負けの問題ではない。ただ、これより先に、穴に行かせる訳にはいかないのだ。


その理由は、単に、そこに彼女の父が眠っているからだ。

より深く言うと、父が己の魂を使用して大悪魔を封じ続けているからだ。


魔石と父の魂の力。その両方の枷があるからこそ、大悪魔を封印し続けれている。

どちらが欠けてもダメだ。


二つの力があってこその封印なのだ。


しかし、彼女は怪物の侵入を防げなかった。

魔力切れで今にも倒れそうな身体を無理矢理奮い立たせて立ち上がったミーシャを怪物は無慈悲に、嘲笑うかのように、片手間で弾き飛ばしてから穴へと自ら落ちていった。


「…ク…ソ……」


薄れ行く意識の中、彼女は悪態を吐きながら、全て滅びてしまえばいいと思った。

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