青年のプランへ行く
「君たち。なかなか名の知れた冒険者じゃないか。魔団を引き取ってくれ、そしたら領主邸も君たちに譲ってあげる。知っての通り、プラムスの物は私には必要ないからね。」
翌日、モラン工房を訪れて事情を説明すると、モラン・ガはしばらく考えた後、新たな提案をした。
「お断りします。」
そしてベリアが、皆の気持ちを込めて簡潔に断った。
法律問題については、昔から魔神がベリアに一任していたのが事実だ。
だが面倒な仕事を毎回押し付けられていれば、ベリアも怒って当然なのだろうが、さほど怒りを表に出すことはなく、その結果として実力だけが増えた。
そのうえ、エドがベリアにかけたダテメガネの効果で、ベリアの印象はさらに冷たくなり、鉄の女性を越えて鋼鉄の女性のように見えた。
「拒む理由は?」
だが、モラン・ガは厚かましく、飄々と聞く。
まるで交渉は今からだと言わんばかりに、モラン・ガはベリアの拒絶にも動じず、その短い脚を組んだ。
「わざわざこちらが魔団を引き取る必要もありませんし、プラムスからずっと離れた場所にある領主邸を譲り受ける理由はなおさらありませんから。完全なデメリットです。」
ベリアは当然だと言わんばかりに答えた。
「もっともな話だ。では、青年はどうだね?」
モラン・ガが唐突に青年を引き合いに出した。
いや。
モラン・ガは、最初からベリアを相手にするのは自分には荷が重いと分かっていた。
だからこそ、自然な流れで青年をマウンドに登板させたのだ。
一応、青年は表情を取り繕ってはいたが、その拙い硬さでモラン・ガを騙すことはできなかった。
人族というものは、感情が先に立つとまず購入してしまうものだ。
モラン・ガは数多くの種族を相手にしてきた実戦経験豊富な専門家である。
青年のような未熟な青二才が逃れられる確率はゼロだった。
難攻不落の城があるなら、正面突破する前にまず城の周囲を探るものだ。
探っていれば、二流のトリック程度でも簡単に脇門を開けてくれる青二才はいくらでもいる。
モラン・ガの側面攻撃を受けたベリアが、すぐさま反撃の言葉を準備する。
だがエドは視線でそれを制した。
興味を持ったエドは、青年の話を聞いてみたかったのだ。
「僕ですか?」
思いがけずモラン・ガに指名された青年は少し戸惑ったが、幸いにも青年はこの魔団をどう使うかについて、一度は考えたことがあった。
実際、青年が魔団に頬ずりしていた時間を考えれば、何の考えも持っていない方が不思議なくらいだ。
「僕に聞くのでしたら、まずこちらからも質問があります。もしかして魔団に直接乗らなくても、魔団を動かすことは可能ですか?」
青年は、この答えさえ得られれば、自分の考えを実行に移せると思っていた。
「自動運転方式か。まあ、不可能ではないな。」
モラン・ガは青年が興味を示したのを見ると、さらに余裕のある表情を浮かべながら答えた。
「自動運転が可能なんですか?ゴーレムみたいに?」
モラン・ガの余裕ある返答に、青年は喜んでいる。
「ゴーレム?妙なものを結び付ける。ゴーレムは魔獣だから手懐けることはできないはずだ。まあ、君の言う通りゴーレムを手懐けられるなら、それはそれで悪くないかもしれんな。」
他人の言葉であれば戯言として聞き流し、相手にもしないだろうが、モラン・ガは工房のグランドマスターらしく、購入者の機嫌を損ねないよう柔軟に、もう一つの可能性にも高い評価を与えた。
「青年がまた突飛なことを考えているな。」
実際、ゴーレムの話を聞いた一行は、青年を除いて皆同じ気持ちだった。
「ただし、魔団に自動運転機能があるわけではなく、良い精霊と巡り会えれば可能だという話だ。」
モラン・ガが話を続ける。
「精霊ですか?」
ローレルが尋ねた。
精霊に関してはローレルが専門家だ。
「ああ。物に宿る精霊たちと契約すれば可能だ。」
「でも今の時代には、物の精霊なんてほとんどいないじゃないですか。」
「もちろんそうだ。だが、それでも君たちなら何とかしてくれそうな気がするが、違うかね?」
ローレルの言葉にも、モラン・ガはむしろ一行の能力を高く評価して励ました。
ただし一行は魔団の販売という問題があったため、モラン・ガの励ましを純粋には受け取らなかった。
「物の精霊というのは、もともと契約が難しい精霊なんですね。」
青年が心配そうに言った。
「そうではなくて物の精霊は不人気な役割だから、最近の精霊たちは物の精霊に志願しないのよ。」
ローレルも困ったような表情をしていた。
「まあ、それでも精霊の専門家がいるんだ。妙案のようなものがあるんじゃないか?たとえプランBとか、そういうのが。」
モラン・ガは床に届かない自分の短い脚を勢いよく振りながら、一行を見回した。
「それでも、ないものはないんです。最近の精霊たちは物の精霊に志願しませんから、物の精霊の数は毎年0です。」
ローレルは首を横に振った。
「それでも無理やりひねり出せば、一人くらいはどうにかなるじゃないですか。」
青年の声には希望がにじんでいた。
「ほほほ。よく簡単に説明すると絶滅よ。精霊の間で人気のない仕事だから、現役の物の精霊経験者ですら全員がその経歴を放棄して、別の精霊職級へ移ってしまったの。」
ローレルは説明しながら、気まずそうに笑った。
「ところで青年は、魔団を自動運転にして何をするつもりなんだ?」
ガードが、そもそもなぜ魔団に自動運転を導入しようとしているのかを青年に聞く。
「それは。まず魔団を自動運転で使えるなら、ウォルター家の領主様の屋敷の管理をさせるつもりでした。」
「管理?」
青年の言葉に興味を持ち、今度はエドが聞く。
だが青年の突飛な発想が気になるのは皆同じだった。
「屋敷の管理だけじゃなくて、屋敷の周辺で農業もするつもりです。」
青年はすでに農業に関するアニメを数多く視聴しており、今ではトラニアでのスローライフを心から望んでいた。
特に農業スローライフは、必ず一度やってみたい自分のやりたいことリストの一つだった。
「農業。それって何?」
ボンヌは初めて聞く言葉に首をかしげた。
青年は知らなかったが、トラニアには食べ物が溢れているため、わざわざ農業をしなくても野原で欲しいものをその都度採集して調達することが可能だった。
雰囲気としては原始農耕社会よりもさらに前の狩猟社会だが、食糧が圧倒的に豊富だったため、あえて農耕社会へ移行する必要がなかったのである。
魔力を持つトラニアの大地は、魔力を使えない青年の前の世界よりはるかに肥沃であり、精霊王の細やかな加護もあったため、食べられる植物の成長速度も非常に速かった。
だから皆、農業をする必要を感じていない。
結局、一行は事情を知らない青年が空気を読めず、また妙なことを考えているのだと思った。
そんな青年をじっと見つめるスケルトンの女性がいた。
その目から放たれるエメラルド色の光線の威力だけを見れば、すでに青年の心に穴を開けるほどだった。
やがて青年は、ボンヌが自分の心を読んでいることに気づく。
既に青年の心の情報がリアルタイムでボンヌへと流出していた。
「あ、僕の許可もなく心を覗くなんてありですか? それは駄目でしょう!」
青年が慌てて抵抗する。
「じゃあ許可して、ハニーの心を開いてくれるの?」
「あ、いや、その、それは……」
ボンヌの自然なカウンターに青年が返答をためらっている間に、ボンヌは青年の考えをすべて確認した。
「うちのハニーのその農業ってやつ。思ったより面白い発想だったわね。」
ボンヌはそう言って頷いた。
「皆も気になるでしょうから、状況を共有するわ。」
ボンヌが、自分が狩った青年の個人情報を皆と共有した。
しかもその中にはモラン・ガまで含まれていた。
「ほう。確かに魔団なら可能だ。たとえ魔団が戦闘を目的として設計された戦闘兵器だとしても、二足歩行の魔団なら十分その農業とも相性が良いだろう。」
モラン・ガは膝を叩いて喜んだ。
「とにかく領主様の屋敷を管理しながら、魔団に農業を教えるつもりです。」
青年は自分の農業プランをもう一度皆に話した。
「なるほど。農業ですね。」
ベリアは青年の口にした聞き慣れない言葉を繰り返した。
「よし。ではこうしよう。私は青年のその突飛な考えが気に入った。魔団は売らずに貸し出してやろう。利益が出たら、その時ゆっくり買い取ればよい。もちろん領主邸も一緒に貸し出すという条件だ。精算はすべて青年の都合の良い時に行えばいい。どうだ?」
突然モラン・ガが新たな契約条件を提示した。
「今付いている武器をすべて取り外し、軽量化して非戦闘用の魔団に改造すれば、今の魔力機関の出力も十分だろう。その農業というものはよく分からんが、そもそも魔団を別の用途に使うという発想を誰がしただろうか?新しい試みであることは間違いない。だが、青年の考えには可能性があると思う。」
モラン・ガは気前よく魔団の賃貸条件を提示した。
「もし青年のその農業というものが失敗した場合は、どうなるのでしょうか。」
ベリアは失敗した場合に備えた条項もあるのかと聞く。
「当然のことを聞くな。そうなれば青年が一生を捧げて懸命に働き、金を稼いで魔団を買うのだ。忘れるな。私の目的はあくまで魔団を販売することであって、農業をすることではない。」
モラン・ガは、当たり前のことを聞くなという表情だった。
「青年。頑張れ。それと忠告しておくが、ドワーフと契約して逃げることは不可能だ。そう心得ておけ。脚が短いからといって甘く見るな。」
エドはわざと怖い表情をして青年に警告する。
こうして青年は成り行きで、モラン・ガから魔団という非常に高価な品を農業事業の投資アイテムとして受け取ることになった。
「はい、肝に銘じます。それでも僕が大変なときは、皆さんが助けてくれるんですよね?」
青年は自分が頼りにしている仲間たちを温かな目で見回した。
だが仲間たちは別のところを見て、青年と目を合わせなかった。
魔団を借り受けた一行は再びウォルター領主の屋敷の前に立った。
今回はモラン・ガが貸してくれた魔団も一緒だ。
非戦闘用に改造された魔団だが、それでも青年は心の中でその名を呼びながら誇らしげだった。
「ああ、これが俺だけの機動農業士魔団!たとえレンタルでも。」
それでも魔団を見上げる青年は大いに満足していた。
たとえレンタルであっても、使用権はとにかく青年にあったからだ。




