21 魔法部への勧誘
「魔法部に入らないかなって、勧誘に来たんだけど」
魔法部、というのはさっきもアンリウォルズ先輩の話に出てきたなと私は思った。魔法科の生徒が所属する部活なんて、どんな部があるかすら魔素術科には情報が回ってこないので、私には知る由もないし、更に言えばそういった部への入部なんて私には関係のない話だ。だから、私だけ立ち去ろうとして、そうジェニファに一言断ろうとした私に、ファラーグが言った。
「入部の誘いは、君にもなんだけど。アリス・ゼンさん」
「え、私?」
意味がわからない。
「だって私、平民ですよ」
「でも、宴に出るんだろう。魔法のことを学んでおいて損はない」
「いやー、別にいいです。私、魔素術師として呼ばれていると思うんで、魔法を知らないといけないっていう理由がないです。じゃあ、ジェニファ、私、もう行くね」
「あ、う、うん」
私はジェニファを残して一人で寮に入っていった。
自室に戻るなり、ホリィが私の服のポケットから飛び出してきて言った。
「何で断ったのよー、魔法を学べるチャンスだったじゃないのー!」
「私は魔素術師だよ?魔法学んでどうすんのよ」
「羽衣を使えば魔法も使えるんだよ?言ったでしょ」
「いや、そうなんだけど。魔法を使うのに気が進まないというか。だって、あんな格好しないといけないんでしょ?」
「あんな格好?」
ホリィが不思議そうに言うので、私は言った。
「だから、あのひらひらな格好!あんたが最初に見せたでしょ」
「ああ、あれね。まあ、羽衣の性能を引き出すにはあれが最善なのよね。ちょっと魔法を使うくらいならあそこまでにならなくてもいいんだけど」
「え、そうなの?」
「うん。でも、宴に出るのに、最大限魔法を使えた方が有利なのは間違いないけどね」
私は唸り声を上げた。
「とりあえず、魔法、やってみなさいよ。簡単なのでいいからさ」
ホリィは羽衣を出した。羽衣を掴みながら、簡単なのって言われも、と私は戸惑う。
固まってしまった私に、ホリィは言った。
「まあ、今日のところはいいわよ。でも、次はやってみせてよね。でないと、宴のとき、あんたに羽衣を使わせないから」




