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ゆたかの怪奇列島第8章「口裂け女」  作者: こうた


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第5話「分断」

ドンッ!!”

衝撃が、まだ残っている。

空気は重いまま。

街は壊れかけている。

「私きれい?」

至る所で、同じ声。

止まらない。

神父が即座に動く。

「分断します」

一拍。

「このままでは全域に拡散します」

ゆたかが頷く。

「どう分ける」

神父は短く答える。

「本体と現象」

一拍。

「同時に処理します」

ななが顔をしかめる。

「簡単に言うなや」

人面犬が笑う。

「やるしかねぇだろ」

神父が続ける。

「本体を抑えなければ、拡散は止まりません」

一拍。

「ですが、現象を放置すれば都市が崩壊します」

沈黙。

全員が理解する。

“どちらも必要”

ゆたかが決める。

「ほな分かれる」

一拍。

「本体は俺らや」

桃太郎を見る。

桃太郎が頷く。

「承知した」

人面犬も笑う。

「付き合ってやるよ」

ななが言う。

「ほなウチは?」

神父が答える。

「私と共に来てください」

一拍。

「現象の拡散を抑えます」

ななが歯を食いしばる。

「……やるしかないか」

ゆたかが振り返る。

「無理すんなよ」

ななが笑う。

「誰に言うてんねん」

一瞬。

軽くなる空気。

だが——

すぐに戻る。

現実に。

本体が動く。

「……逃がさんで?」

笑う。

歪んだまま。

地面を蹴る。

“ドンッ!!”

一瞬で距離を詰める。

桃太郎が前に出る。

受ける。

衝撃。

火花。

ゆたかが横に回る。

「行くで」

人面犬が叫ぶ。

「奥だ!!」

三人が一気に動く。

本体を押し込む。

路地の奥へ。

さらに奥へ。

“隔離”

ななが振り向く。

背後。

街。

混乱は広がっている。

神父が言う。

「急ぎます」

走る。

人混みへ。

だが——

人々の様子がおかしい。

誰もが何かを気にしている。

誰かを見ている。

誰かに見られている。

「私きれい?」

一人。

また一人。

増える。

ななが叫ぶ。

「やばいやろこれ!!」

神父が冷静に言う。

「視線を断ちます」

一拍。

「“見せない”ことが対処になります」

ななが理解する。

「つまり……」

スカーフを外す。

近くの女性の目を覆う。

「見るなってことやな」

神父が頷く。

「はい」

一人。

また一人。

視線を遮る。

すると——

「……あれ?」

正気に戻る。

崩れかけていた人間が、止まる。

ななが息を吐く。

「効いとる……!」

だが——

数が多すぎる。

神父が言う。

「範囲を広げます」

一方——

路地裏の奥。

ゆたかたち。

本体と対峙。

空気が重い。

完全に切り離された空間。

人面犬が言う。

「ここなら外には広がらねぇ」

ゆたかが構える。

「終わらせるで」

桃太郎も並ぶ。

今度は——

完全に戦う目。

本体が笑う。

「……やれるもんなら」

その瞬間。

“静寂”

また来る。

あの感覚。

今度は——

全員が気づく。

声。

はっきりと。

近くで。

「分けても無駄だ」

一拍。

「すでに広がっている」

ゆたかが舌打ちする。

「……出てきよったな」

神父はいない。

だが——

確信する。

“黒幕”

桃太郎が低く言う。

「姿を見せろ」

沈黙。

返事はない。

ただ——

視線だけが残る。

見られている。

ずっと。

本体が笑う。

さらに歪んで。

「ほらなぁ」

一拍。

「一人やないねん」

空気が揺れる。

さらに重くなる。

ゆたかが前に出る。

「関係ないわ」

一拍。

「全部まとめて終わらせたる」

人面犬が笑う。

「いいねぇ」

桃太郎が構える。

静かに。

だが——

強く。

■ 第8章 第5話 終

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