第十話<早まる出現>-10
扉を開けると、床が緑で壁が白い廊下が5mくらい続き、
その先には扉と階段が見える。
「この先にいるのかな?」
琴和がぼそりと言うと、櫻子が反応をする。
「どうでしょうか。私思うんですけど、さっきの怪物だと
扉を開けて進むことは出来ないでしょうから、この先にはいないんじゃないでしょうか?」
すると矢子はうなずき、返事をする。
「はい、その可能性もあります。
ですがこの建物を外から見た時、窓ガラスは多く割れていました。
そこから屋内に侵入したかもしれません。」
「そうだね。結局は進んでみないと分からないってことだろうね。
だからといって、俺たちも窓から入ることは無いからこのまま進んでみよう。」
琴和はそう言うと廊下を進み目の前の扉を開けようとする。
「ガコン。」
ドアノブに触れた直後に上の階から何か物が落ちたような音が聞こえた。
「上に・・・何か居る?」
櫻子が不安そうに言うと、矢子は階段の前でしゃがみこみ一段目をじっと見る。
「何かの足跡?」
矢子が見つめているものは、足跡のような土汚れだった。
階段を見上げると、その跡が続いているのが分かる。
「でもこれって犬の足跡じゃないよね?」
琴和がそう言うと櫻子もうなずく。
足の形を見ると細長く、犬とは到底思えないものだった。
「この上に他の種類がいるのいるのかもしれませんね。」
階段の上を見上げる矢子。二階には光玉の光が届かないせいもあるが、
何が居るのか分からない不気味さから、異様な雰囲気を漂わせていた。
階段をゆっくり上がり、二階にたどり着くと長い廊下が続いている様子を見ることが出来る。
廊下は自分たちから見て右側に窓がずらっと並び、左側には部屋がいくつかあるようだった。
「ここの階でしょうか?」
櫻子が周囲を見渡しながら尋ねる。
階段は終わっておらず、まだ上の階に行けるようだった。
「ええ、さっきの物音はそれほど高い位置から聞こえたとは思えないものだったので
多分この階でしょう。」
そう言うと、櫻子は少し進み光玉をかざし少しでも前が照らされるようにする。
「!?」
光が徐々に前方を映し出されるにつれて、何かの姿を映し出し始めた。
「・・・猿?」
「の魔物ですね。」
琴和が疑問系でつぶやくと、矢子が付け足して答えを言う。
目の前に現れたものは猿にしては大きく体長が2mほどあり、
毛が白く髭のような長い物が頬から伸びている。
「やっぱり違う種類もいた。」
刀の柄に手を伸ばす矢子。琴和もナイフを構える。
すると猿の怪物は後方に走り去っていった。
「逃げた!?」
「追いましょう!」
すぐにL字型の廊下を曲がり、姿を消す怪物。
三人もすぐ曲がり角に差し掛かるが、すでに怪物の姿は見えなくなっていた。
「逃げられた?」
櫻子が前方を照らしても怪物の姿はなく、目の前には不気味な廊下と隣接する部屋しか見えなかった。
「先に進んでみましょう。」
一歩踏み出す矢子。すると櫻子は急にビクッとする。
「どうしたんですか?」
様子を窺う琴和。
「いえ、何か急に寒気が・・・。」
「幽霊でも寒気ってあるんですか。」
「・・・そのようですね。」
「ガコッ。」
「・・・・・・。」




