第十話<早まる出現>-8
夜空に漂う怪物を狙い、発砲する蘭子と甲子郎。
二人が引き金を引く度に怪物は力なく堕ちていく。
しかし怪物の数は多く、自分たちに迫ってくる全てを打ち落としきることは出来なかった。
「あーもう多すぎ!!」
頭の近くまで降下してくると、怪物を振り払う蘭子。
そこに琴和は近寄り怪物に斬りかかる。
「空のヤツに集中して!降りてきたのは俺がやる。」
「分かった!」
再び空を見上げる蘭子。そしてエアガンの狙いを定める。
「矢子ちゃん、降りてきたのをやろう。」
矢子に目をやると、彼女の視線は全く別の場所に向けられていた。
「あそこに、犬の怪物がいます!」
「え!?」
矢子が顔を向ける方角を見ると、
空き地の中に牛のような角が生えた犬の怪物が見える。
小太刀にそっと手を添える矢子。すると犬の怪物は体をひねらせ、
隣接する廃墟と化した工場に入っていった。
「待て!」
犬の怪物を追う矢子。
「矢子ちゃん!?」
制止しようとする琴和だったが、既に矢子は走り出していた。
「行け琴和!ここは俺と蘭子でどうにかする。
片付き次第合流するから先に行け。とにかく一人にはするな!」
「はい!」
矢子の姿を見失わないように、全速力で追いかける琴和。
「櫻子も行ってくれ!そして二人に何かあったら直ぐに知らせに戻るんだ!」
「分かりました!」
工場の中に駆け込む三人。その建物からは何ともいえないおぞましさが漂っていた。




