第十二話<離れた地での約束>-2
節電のために電気が消されている廊下から
窓の外を見ている旭。
少し前に発った嘉島の車を見送ってからずっとそこで
外を見つめていた。
今、彼女が居る場所はカザーバの施設。
学校くらいの大きさで、様々な設備が整っている。
この建物がある村は小規模だが、
住人は全てカザーバということもあり、全国の中でも数少ない
安住できる場所である。
「何を見ているの?」
唐突に後ろから声が聞こえる。
聴きなれた声だったので、驚くこともなくゆっくりと振り返る旭。
するとそこには白い服に所々金色の装飾をされた
一風変わった形の服を着た少年の姿があった。
その少年の姿が異色なのは服装だけではなかった。
エメラルド色した髪と瞳、そしてやや色白な肌。
唇の色も薄く、少しの衝撃で崩れてしまいそうなほど、繊細そうである。
人の髪としては、ありえない色なので、
通常の人間では不自然に感じるはずであるが、不思議と彼には似合っている。
「嘉島さんが行っちゃったから、ここで見送っていたの。
それでそのまま、外を眺めていただけだよ。」
優しい口調で答える旭。
「ここで見送ったの?」
「うん、チャージャに何かあったら直ぐに駆けつけられないじゃない。」
「僕に・・・?」
その言葉を聞くと急に寂しそうな顔になるチャージャと言う名の少年。
「ひょっとして僕、旭に迷惑をかけていない?」
「そんなことないよ。」
突然のことで慌てて否定をする旭。その言葉には相手を気遣うような
優しさが込められていた。
「でも、旭も嘉島についていって現場に戻りたかったんだよね?」
「そりゃ、私は嘉島さんの力になってアナタのお姉さんを早く助けたいと思っているよ。
でも、私はここでやることがあるから。
チャージャのことを置いて行くことなんてできないよ。」
「やっぱり僕は・・・。」
さらに辛そうな顔になるチャージャ。すると旭は少しかがんで彼の視線と同じ位置まで顔を持ってくる。
「そんなこと言わないで、友達でしょ?」
今にも泣き出しそうなチャージャだったが、ぐっとこらえている。
彼にとってその言葉は、心の中を申し訳なさでいっぱいにするものになっていた。




