表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

09 私の役目

この話から、新しく書き直した話になります。

以前に書いていたものからストーリーが結構変わる予定です。

 早朝、荷物をまとめ王城までやって来た。

 数日前に来た時は王城の正面から入ったが、今日は王城の裏門から。


「あんたが勇者様の付き人かい?」

「はい。これからよろしくお願いします!」

「おう、よろしく! そんなに気張らないで大丈夫だよ、頑張れ!

 ここを真っすぐ行って、城の中に入ってろって行ってたぜ」

「ありがとうございます。頑張ります!」


 そこには騎士の方が数人いて、貰った金属の板を渡したら通してくれた。少し話した感じだけど良い人そう。


 中に入ると小屋がいくつかあったり花壇のような場所があったりして少し落ち着く。

 道沿いに行って、言われた通り扉から中に入る。


「お待ちしていました。アレルさんですか」

「はっ、はいっ! アレルです!」


 入ってすぐに声を掛けられて驚いてしまった。

 声の方には私より少し上くらいの歳に見える女性が立っていた。


「私はクレーベル様にお仕えしております、ククと申します。

 アレルさんをお連れするように言いつかっております。荷物はそれで全てですか」

「はい。これだけです」

「では付いてきてください」

「は、はい」


 ちょっとククさんは怖いかも。全然笑わないし。

 ククさんがスタスタと進んでいくので私もその後ろを付いていく。以前お城に来た時はきれいな廊下を通ったが、ここは働く人用って感じで装飾はない。


 な、長い……いやお城だから分かるんだけど。冒険者をしていたから疲れはない。


「あの、ククさんはここに務めてどれくらいになるんですか?」

「……生まれてからずっと、こちらに仕えております」

「そうなんですか? そんなに長く。もしかしてそういった人ばかりという感じなんですか?」

「いえ。数名程です。着きました」


 と、そんなことを話していたら目的の部屋まで着いたみたい。


「クレーベル様。アレルさんをお連れしました」

「どうぞ」


 中からクレーベル様の声が聞こえた。この間来た時とは違う部屋だ。

 それを聞くと、ククさんは扉を開けて私に中に入るように合図をしてくれた。


「失礼します」

「あら。アレルさん、おはようございます」

「おはようございます。クレーベル様」


 正面ではクレーベル様が何かしていたようで紙束をまとめていた。そして、その前の椅子にはユウさんが座っていた。目が合った。


「そこに座って頂戴。話があるから。クク、人数分のお茶を頂戴」

「承知しました」


 私は言われた通り席に座った。ユウ様は私の正面。


 しばらくしてクレーベル様がこちらに来てユウさんの隣に座った。


「さて、アレルさん。あなたにはこれからユウ様の付き人として働いてもらうわけですが。

 嘘なんです。」

「えっ……」

「いいえ、全てが嘘という訳ではありません。あなたには他の役割もあるということです。これからその話をするのです。」


 私は困惑していた。いや、そもそも何か無いとこんなところには呼ばれないだろうし……。


「その前に話すことがあります。


 この話を聞いたら最後、あなたからこの仕事を辞退する権利は無くなると思って下さい」

「っ……」


 どういうこと!?

 クレーベル様は明らかに真剣な表情。ユウ様は……特に気にしてないようで窓から外を見ている。いやっ!

 今はそうじゃなくてっ、何の話っ?


「それだけ重要な話ということです。途中で辞めることも半永久的に許しませんし、ここにいる人以外にこの話をした場合は……」


 どうなるのか、そんなの言われなくても分かる。



 それだけ重要な仕事、私に務まるのか?


 ただの付き人じゃないの?

 いや、付き人だから、ユウさまの知られたくなく情報とか?


 分からない。



 でもっ!!


「やらせて下さい!

 精一杯頑張ります!」


 私はクレーベル様をまっすぐ見てそう言った。言ってやった。

 私の初恋の人、叶わないとは思っているけど少しでも傍にいられるなら頑張ってやる!!



 クレーベル様は目を瞑って小さく頷いた。


「分かりました。





 あなたには、ユウさんの偽物の婚約者になっていただきます」




「…………え?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ