12 初仕事
「さーてッ!
それじゃーあ、台所の掃除から始めよう!!」
「は、はい。お願いします」
「のんのんのん! 元気にいこーよッ! オーッ!」
「お、おー!」
やっぱりこの子、ネネさんと話すのに慣れるのには時間がかかるかも。これからの仕事はネネさんから教えてもらうことになってるからできる限り仲良くなっておきたいんだけど……。ネネさんがさっきまでお菓子を作っていたようで、その掃除をそれからすることになっている。
「いやーお菓子を作るのにハマっちゃってねー! でも毎回こんな感じにしちゃうんだよー」
「次は何作ろうかな~!」
「この間作ったお菓子がねーえ、ユウちゃんが好きだったみたいでー、それにしよーかなー!」
と、さっきからネネさんはこんな感じ。
「よーーしっ! 片付けしゅーりょーーッ!」
特に何か問題が起こることも無く片付けは終わり、鐘のような音が聞こえた。
「あー、お昼の時間!」
そう言ってネネさんは台所からさっきの部屋に走って行ってしまった。私はとりあえずネネさんに着いて行く。
「アレルも来たね。お昼ごはん買って来たから座って」
「ごはんですか? ありがとうございます」
あれかな、私たちが片付けしてたから買ってきてくれたのかな。ネネさんはというと長椅子に座って足をプラプラさせてる。
私も椅子に座ると、ユウ様が小さな木箱を前に置いてくれた。
「それじゃ冷めないうちに食べよ。いただきます」
「いただきまーーす!」
木箱を手を添えると温かさを感じる。蓋を取ると中にはいくつかの惣菜と……魚!?
「あの……これって魚ですよね」
「ん? あ、そうそう。すごそこに港があるから。確かに王都は内陸だからめったに食べれないよね。
ここの魚料理はすごく美味しいんだよ。最近は毎日このお店に頼んでるんだよね」
「そうだったんですね……え、毎日ですか?」
「うん。どうしたの?」
「いえ、ごはんを作るのもお仕事だと思っていたので、お昼は作らなくてもいいんでしょうか?」
「……」
え?
どうしたの?
ユウ様が驚いてるのか食べてる手が止まった。私何か変なことでも言った!?
「あの……ユウ様?」
「はっ!
も、もしかしてアレルって、料理できる……とか?」
「え? そうですね。昔はお母さんとしてましたし、冒険者になっても料理する機会はありましたから多少は」
「……」
「あの~」
「……」
「ユウちゃんはね料理が苦手なんだよッ!
だから、いっつも買ってきてるんだよー!」
「~~~っん! ちょっとネネ!」
「ん~~事実でしょ~! それにね~」
「ちょっと何言う気なの!!」
そういうことだったんだ。ってことは料理のお仕事は無いってことなのかな? でも時間がある時は練習も兼ねて作ってみたいかも。
「アレル、違うんだよ? その、料理作る機会が無くてというか? 最初は作ってたんだけど面倒になっちゃって……」
「っぷ、ふふ、はははは!」
「ちょっと、笑わないでよー!」
ユウ様の意外な一面が見れて笑ってしまった。ユウ様はというと、ほっぺを膨らましてお怒りの様子。
すると、ツンツンと脇を突かれて隣を見るとネネさんが手招きしてきたので体を傾ける。
「ね、ユウちゃん可愛いでしょ!」
ネネさんは耳元でそう言うと「にしし」と笑った。
「ですね。それにネネさんとも仲良くなれそうです!」
「そう?
それならネネって呼んで! アレルちゃん!」
「はいっ! ネネ」
「それでよーしッ!」
「もう! 二人で何話してるの!
早く食べなさい。午後は魔法の勉強でしょ!」
「はーい!」「はい!」
ネネとも仲良くなれそうだし、何とかこれから頑張っていけそうかも。




