何か分からない遺物
二話目です。
良かったら楽しんで下さいね。
壁画ってこんなに脆い物だったっけ?
ああ、責任転嫁したい……。
「あ、でも何か奥にあるよ。」
「え!?」
崩れた壁画の奥を見ると茜の言う通り、確かに何かが有った。
壁画の奥には別の空間があったのか。
中には台座にのせられた本と床に突き刺さった剣だった。
あと、金貨らしき貨幣が少々床に散らばっていた。
金貨を手に取って、色々な角度から観察してみる。
どの国にも当てはまらない特徴的な貨幣。
これで、結論はついた。
どういう訳か異世界に転移したらしい。
さて、どう元の世界に戻るか。
「ねえ、見てよこれ。」
俺が云々と考えていると、茜が何か言ってきた。
軽く考えながら見ると茜は床に刺さっていた剣を引き抜いてこっちに見せてきた。
「何勝手に引っこ抜いているんだよ!?」
「キャハハ、自分の好奇心に負けちゃった!」
「何が好奇心に負けただ。」
そもそもよく、簡単に引っこ抜いたな。
とは言ったものの俺も台座にのっている本の中身を見てみたい。
正直言うと、俺は知識の変態だ。
軍神の生まれ変わりと言っても……、過言だな。
「さあさあ、君も好奇心に従おうよ~。」
「ムムム……。」
俺は暫く悩んだ末、好奇心に負けて本を手に取った。
こんな簡単な催眠に負けるとは、情けなし。
その本のタイトルは”全知の書”だった。
万年厨二病が書いたような本の様だ。
取り敢えず本の中身を見てみると謎のルーン文字の様な文字が書かれてあった。
すると、ウネウネと文字が蜿って俺の体に纏わりついた。
「イヤアアア、気持ち悪!」
茜も剣から謎の文字がが出てきて、体に文字が纏わりついた。。
その時、急に視界が歪んできた。
そしてまた、意識を失った。
俺はまた寝てしまったようだ。
「ふにゃっ、また寝てしまった。」
「そうだな……。」
茜も起きたか。
すると、あることに気づいた。
剣が消失している。
序でに俺が持っていた本もだ。
「まあ、取り敢えず外に出るか。」
「そうだよね。」
剣と本の事は忘れよう。
「そういえば、あの本の名前はなんだった?」
「全知の書って書いてあったぞ。お前の剣は書いてあったか?」
「うん、有ったよ。確か”全能の剣”って書いてあった。」
厨二病臭い剣だったな。
昔の人は厨二病だったのか?
まあ、どうでもいいや。
「外の空気は普通に美味い。」
今、気づいたのだが木の一つ一つがバオバブの様に大きい。
つまり、バオバブジャングルということか。
知らんけど。
すると、大樹の木葉から何かが落ちてきた。
それは1M程の黒い猿だった。
その黒い猿をみた時、謎のウインドウが開いた。
〈黒猿〉 E 階級
黒い体毛に覆われた大型の猿。
性格は狂暴で、特に人を好んで襲う。
ヤバいじゃん。
「茜、逃げるぞ。」
「分かってるよ、見るからに危ないじゃん。」
あの黒猿をガン無視して真正面を駆け抜けた。
俺と茜はもともと足は速いが更に速くなった気がする。
特に茜が…。
木々越え、川越え、と走りまくったら何かの集落を見つけた。
幸い、あの黒猿は追いかけてこない。
いや、追いかけれないだろうな。
空飛ぶ鳥すら追い越したしな。
取り敢えず、俺らは集落に何とか入る事が出来た。