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最強のVRMMOプレイヤーは、ウチの飼い猫でした ~ボクだけペットの言葉がわかる~  作者: 椎名 富比路
第五章 最大のピンチ! 飼い主を救うニャー

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第44話 ビビ VS ヴァンパイア

「知りませんでした。『P(ペット)R(ラン)F(ファクトリー)』にそんな背景があったなんて」


「拙者もツテで聞いただけである。ウワサに過ぎないので、信じすぎないようにお願いするお」

 

 不思議だとは思っていたけど、ビビが話せるようになったのは、ゲームの影響だけじゃない可能性があるのか。


「ビビちゃんの適応能力には、驚かされるわよね。あたしたちとリアルで会っても、怯えないし。ナインでさえ、ちょっと興奮気味だったのよ?」


「そうなんですか?」


「ナインは高齢だからか、ちょっとしたことには驚かないの。でも、ビビちゃんに対する関心は高いみたいね」


 そのナインくんはビビやすしおくん、ホクサイくんと遊んでいる。人懐っこいんだね。


 みんな頭に浮かんだ顔文字を見せ合って、楽しそう。

 

 おそらくナインくんは、顔文字の意味をわかっていない。でも、なんか自分の頭からなにか出ているのはわかるみたいだ。


「さてケント、ボスへ行くわよ」


「はい」


 改めて、ボクは気を引き締めた。


「たしか、ボスへの道は開けているんだよねー?」


 トワさんがいうとおり、ボスは前のダンジョンからさして遠くない場所にいる。


 ただ、前回攻略した【ホーンテッド・パレス】を浄化しなければ、ボスのステージにはいけない。


「だから、城にボスはいなかったんでつね」


「はい。パレスを浄化して、ようやくボスの本当の居場所が明らかにされたという設定みたいですね」


 あの幽霊パレスが、ヴァンパイアの居所を隠していたのだとか。


「ボスの住処ってー?」


「あそこです」


 ボクは、城の北東を指差す。

 天井のない城が、月明かりに照らされていた。


「あそこに、廃城があります。あれこそ、ヴァンパイアの根城みたいですね」


 しかし、ゲーム時間の夜でないと、入れない。


 なのでボクたちは、やや遅めの時間に集合したのだ。


 朽ちた城には、すぐにたどり着けた。特に危険な魔物もいない。パレスの敵が、防衛の拠点だったみたい。 

 

「廃城に到着したわ!」


「気をつけてください。いきなり、ボスが出てくるそうなので」

 

 だだっ広い城に、五メートルくらいの棺があるだけ。


「すごく、大きいです」


「ホントだねー」


 さっきイチさんが言ったのは、かなり古いネットミームである。

 しかし、トワさんはスルー。


 一匹のオオカミが、棺のそばに近づいた。このオオカミも、二メートルくらいある。こちらを一瞥した後、棺のフタをゴゴゴと開く。


「棺が開くわ!」

 

 ギギギ、ときしんだ扉が開くような音がして、ヴァンパイアの眠る棺のフタが開いた。


 現れたのは、病的に顔色が青い、オールバックの巨人である。


「デカいわ!」


「月の魔力を得て、大きくなるというギミックのようである!」

 

 ヴァンパイアが、月の光を浴びてさらに巨大化していく。


『我が城を荒らす不届き者よ。我が供物となるがよい』


 マントを翻して、ボスが言葉を話した。まあ、ボスだから知能は高いだろうけど。


 いち早く、ビビが動く。毒の特性がある妖刀で、じわじわとダメージを与えるつもりか。


 ビビが切りつけた傷口から、シュウッと音がした。


「再生した!?」


 さらに、ビビが首をブンブンと振る。困った顔文字の表情が、ビビの頭上に浮かぶ。


「もしかして、毒が効かなかったの?」


 ビビは、うなずいた。


 今までボクたちは、毒攻撃による減衰ダメージで勝ってきた。


 それが効かないとなると、全力で倒すしかなくなる。


 さすが大型ボスだ。耐性も高そうである。

 

「なるほど、では全力ブッパで参る!」


「いくわよ、ナイン!」


 イチさんが正面に立って、ベルさんとナインくんが左右に散らばった。


 トワさんは後方で、範囲防御魔法を展開する。イチさんのサポートをするのだ。


 ボクもイチさんとホクサイくんのサポートを行う。


「ビビ、ムチャしないで」


 ボクの声が届いたのか、ビビがコクコクとうなずいた。


 ベルさんが、再度からヴァンパイアに向けてハンドキャノンを放つ。


「デカい的ね! 狙いやすいわ!」

 

 豪快に、キャノンの銃弾がヴァンパイアに着弾して爆発する。


 ハンドキャノンの弾丸って、炸裂効果があるみたい。


 ヴァンパイアが、手から氷の槍を複数展開して、ベルさんに向けて撃つ。


「ベルさん! 【ソニックカバー】だ!」

 

 ボクは瞬間移動して、ベルさんのカバーリングに回った。


 反対方向にいたナインくんにも、槍が飛んでくる。


「ソニックカバー!」


 魔力の続く限り、ボクはカバーリングを続けた。


「無理しないでいいわよ! タンクはホクサイちゃんもいるし、回避はできるわ!」


「マジックポーションはいくらでもあるので、平気です」


 それにしても、強いな。


 本当に、ダメージが入ってるのか?


 頭上に表示されている体力のバーが、まったく動いてない気がする。


 ところで、ビビは?


 ビビは、ヴァンパイアのお供であるオオカミを相手に、孤軍奮闘していた。

 

 あちらには、毒が効くみたい。段々と、動きが鈍っていた。しかし、それでも強……い。


「え、ちょっと待って!?」


 あのオオカミ、ヴァンパイアより強くない?


「ビビ、ひょっとして」


 ボクのカンが正しければ、あのオオカミこそ……。


「ベルさん、こっちに! トワさんとイチさんは、ヴァンパイアの注意を引き付けておいてください!」


「どうしたの、ケント?」

 

「ボスは、あのオオカミの方みたいなんです!」

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