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最強のVRMMOプレイヤーは、ウチの飼い猫でした ~ボクだけペットの言葉がわかる~  作者: 椎名 富比路
第五章 最大のピンチ! 飼い主を救うニャー

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第43話 新機能 実装

 ボクとビビは、予定の時間に集合した。


「ヴァンパイア戦までたどり着けたのは、ボクたちだけみたいだね」


『掲示板を見ていると、ほとんどが【ホーンテッド・パレス】を攻略していないニャー』

 

 まあ『P(ペット)R(ラン)F(ファクトリー)』って、エンジョイに世界をお散歩するのが目的だ。血眼になって攻略するゲームじゃない。


 大ボスの登場も、「歯ごたえのあるボスと戦えたらいいね」という配慮からである。基本的にこのゲームは、スルーしても新天地に向かうことは可能だ。倒すと強いアイテムが出てくるため、攻略したくはなるけどね。


「おまたせ、ケント。ビビちゃんも」


 ナインくんを連れて、ベルさんがやってきた。


 ビビは口だけ器用に動かして、『よろしくニャン』と告げた。

 

「トワのおかげで強い銃が手に入ったから、早く試したいわ」


 手にした『ハンドキャノン』を手に、ベルさんがウキウキする。


「ケントくーん、ベルちゃーん。こんばんはー」


 トワさんが、ログインしてきた。

 すしおくんも、のそのそと飼い主の後をついてくる。


「今日は、がんばろーねー」


 トワさんはビビたちペット組を集めて、思い切り撫で回す。

 

『すしお、腰が浮いてるニャン。ボス戦が、楽しみで仕方がないんだニャー』


 ヒソヒソと、ビビが教えてくれた。


「すしおくんって、ゲーム好きなの?」


『飼い主と行動するのが、なんでも好きなんだニャン。あいつは態度に出さないだけで、飼い主一家がみんな大好きだニャー』


 その証拠に、すしおくんはトワさんの足にすり寄って甘えている。


「今日は、ご家族は?」


「えっとねー。ゴハンをテイクアウトにしてもらったー。久しぶりにパーティなんだー」


 回転寿司を持ち帰り、手巻きパーティにしているという。


「ウチはゲームするからー、先に食べちゃったんだけどねー」


 あははーと、トワさんが笑う。


「お寿司、いいわよね。サーモンの油って、ドッグフードにも使われているのよ。それだからか、ナインはサーモンが大好きなの」


 もっとも、ペットに生のお刺身は危ないらしい。ベルさんはナインくんにお刺身を与える場合は、茹でるなどの加熱処理をしているそうだ。


 ネコと同じで、イカやタコはだめなんだって。


「そうなんだー。うちのコも、サーモンは大好物で、よく食べるよー」


「ビビも好物です。焼いたものを与えていますけど」


 マグロやサーモンと言えど、熱処理したほうが安全らしい。


 大事を取って、我が家も茹でるか焼いて与えるようにしている。


「お寿司屋さんだと、別々でお刺身を切って売ってくれるから、うれしいよね」


 トワさんの家でも、「どうせ、すしおのために切るから」と、ゴハンだけ家で炊いた。手巻き用の具だけを、テイクアウトしてきたんだとか。

 

「どもども。おまたせした。インしたお」


 ホクサイくんを連れて、イチさんが最後に現れた。


「今日はよろしくおねがいしまつ」

 

「よろしくおねがいします」


 全員集合したので、みんなであいさつをする。


 なんかホクサイくんの頭上に、『よっ』という感じで顔文字がピョコって出てきたんだけど。


 ホクサイくんだけじゃない。すしおくんも、なんか頭に顔文字が浮かんだ。

 

「今のリアクション、なんですか?」


「ゲームに新しく実装された、アクションポーズである」


 ペットの心境や心理状態を表現するために、こういった顔文字エフェクトが出るようになったそうな。

 精神状態のチェックは、AIが担当するという。鳴き声や体温、仕草で判断するんだとか。


 ボクが熱を出している間に、大幅なアップデートがあったらしい。


「そんな新機能が、取り付けられたんですね」


「うむ。フレーバーとしては、楽しいのである」


 なんだか、いいな。


 ボクとビビは会話が通じるから、必要ないと言えばないんだけど。


 なんだかビビが、ボクの袖を爪で引っ張ってくる。


「どうした、ビビ?」


 ビビが、ペットたちのエフェクトを指差す。


 ナインくんも、『ワン』と鳴きつつ顔文字で喜びを表現していた。


 うらやましいのかな、ビビも。

 

「ビビも、あれをやってみる?」


 聞いてみると、ビビが『ニャア』とうれしそうに鳴いた。


 やっぱり、やってみたいようである。


 ボクはビビといっしょに、新機能を試す。


「このアプリを、ダウンロードして」


 ベルさんのレクチャーを受けて、アプリを取り込む。


「おっ、出てきた」


 ビビが頭上に、ウインクする顔文字を表示した。


「おおー、それっぽいナリ!」


「なんとも、おちゃめな顔文字を選ぶねー」


 イチさんとトワさんも、ビビの選択する顔文字の複雑さに興奮する。


「かがくのちからってすげー」


「ビビは、そういう範疇を超えていますよね、イチさん」

 

「うむ、まったくだ。もともとこのゲームは、ペットと人間の意思疎通を主題としていたらしいけどな」


 PRFは、当初は動物の研究者と合同で開発・実験する予定のソフトだったとか。

 ペットとゲームの中で遊べるようになるというのは、実は副産物的な意味合いらしい。

 実際は、ペットの感情を交流を目的として作られた、医療実験なんだという。


 とはいえ、結局資金が集まらなかった。ゲームとしてまず売り出し、評判がよかったら再度実験をしようとなったそう。


「ビビ氏の頭脳は、その領域を遥かに超えている」

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