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きらきら・ウォーゲーム  作者: 空空 空
きらきら・グラデーション
553/560

→←↑↑↓↓→←(1)

続きです。

 自室のベッドの上、なんとか宿題を片付けた後のこと。

枕に後頭部を沈めて証明を見上げていた。


「んー……」

「どうしたのかニャ? 何か考えごとかニャ?」

「なんでもなーい。ただ……」


 あの後、スバルが言っていたことを思い出す。

それは、今後の具体的な方針についてだった。


 昨日、何やら改名戦争に黒幕がいるらしいことを明かしたスバルだったが、そうなってくると当然湧き上がってくる疑問がある。

それは“どうやって黒幕に近づくか”ということだった。


 この一連の騒動の犯人がいる。

それは分かった。

けどその犯人がどこに居て、それをどうやって突き止めるのかが分からない。

で、スバルが語ったその方法が……。


「それは君らが積極的に改名戦争に参加することだ」


 とのことだった。

理屈としては、キラキラ粒子が第三者に一部ちょろまかされてるならその粒子を辿れば回収者の位置が割れる、と実にシンプルだ。

ただ現状ではキラキラ粒子がどういう風に黒幕の元へ移動しているかすら判明していない上に、そもそも粒子の追跡がかなり無茶ということもあって今はとにかく試行回数が必要らしい。


 つまり、私たちがするべきことは……アンキラサウルスをたくさんやっつけて、ゲーム参加者ともたくさん戦うこと。

なんだ今まで通りだし簡単じゃないか……と言いたいところだけど……。


「どうすればいんだろ……」


 なんだかんだ今までは“仕掛けられる”ことが多かったけど、いざこっちから仕掛けるとなると……そもそも対戦相手をどう見つけたらいいか分からない。

ボードゲームがゲームをする上で一番重要な対戦相手を売ってくれないのと同じように、普通敵は向こうから勝手にやってきてくれるものじゃない。

ただ何もせず待ってるだけじゃ何もことが進まないだろう。


「考えてみればユノたちもこういうことやってきたんだよね……」


 私たちが相対した時はもう組織として出来上がっていたけど、こういう駆け出し時代もあったのだろう。

いっそスバルから二人に繋いでもらえば先輩から何かアドバイスが貰えるかもしれない。


「てゆーかそうだよ! 組織! 組織だよ!!」

「……急に飛び上がってどうしたニャ?」


 突如降ってきた妙案に、うろうろしながらゴローに力説する。


「私たちさ、今までユノたちに目をつけられてたから向こうからじゃんじゃん敵が送られてきたわけじゃんか! でさ、そういう組織ってきっと一つじゃないんだと思うんだよね! だから、こう……」

「あー……考えてることは分かったニャ。つまり他の能力者集団を見つけて喧嘩を売ろうって話ニャね」

「そう!!」


 いいアイデアだと思ったのだけど、ゴローは呆れたようなため息で答える。


「残念だけど、それはあんまりいい考えじゃないニャ」

「ぶー……なんでさ?」

「尻尾引っ張らないでニャ。いいかニャ? ユノとの戦いを思い出すニャ。そこで危険な目にいっぱい遭った。運よく勝てはしたけど、ボクらはきららが思う以上に危ない橋を渡ってきたんだニャ。そういう“蜂の巣”を今度は自分からつつこうなんて、保護者として見過ごせないニャ」

「それは……分かった、けどさ……」


 アイデアが採用されなかった悔しさと、ゴローの心配に対する感情がぶつかって弾ける。

ゴローが心配するのも分からなくない。

分からなくないから、なんか……ズルいじゃんってなっちゃう。


「じゃあさー……」


 ゴローは何かいい考えがあるの、と……そう言おうとした矢先、家の電話が鳴った。

改名戦争でゴタゴタする前は学校からか本当に全然私に関係ないことかしかかかってこないから出ることのなかった電話。

今ではおばあちゃんが出るより先に私が受話器を取りに行っている。


 小走りで電話に走って、電話に出ると……誰が出ると推測していたわけでもないが、聞こえてきた声に「やっぱりね」と思った。


「もしもし? きらら?」


 電話口に聞こえる声はさくらの声だ。

受話器から出てる紐を指でくるくるしながら受け答える。


「そだよん〜。今電話に出てるのは愛しのきららちゃんでーす」

「なによ、やかましいわね。……まぁいいわ。スバルから伝言」

「ふぅん……。なんだかずいぶん精が出るね」


 思えばユノの組織で半ばブレインみたいな立ち回りをしていたのもスバルだった。

どうやら無策ということではないらしい。


「ほいで、なんだって……?」

「近いうちにライブがあるから来て欲しいってさ」

「……ライブ???」


 ライブって……なんの?

ミラクル?

それともアリス?

いや……そうじゃなくて……。


「なんでライブ?」

「さーね。お得意のアレ……」

「アレ?」

「そ、アレ……」


 変な問答の末、私もなんとなくアレに勘づく。


「あー……アレ、ね」


 スバルお得意の……。


「「来れば分かるさ、ね……」」


 ちゃんと予想していたものが合っていたみたいで、ついでにタイミングまでばっちりさくらと合う。


 そう、スバルってこういう人だった。

その内容の重要性や大小に関わらず、何かを言うときはいつも……もったいぶるのだ。


続きます。

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