トム達の決断 1
「なにぃ~?」こんなことで結構時間を浪費してしまった、実際そんな事があったらどれだけいいかと、トムが半信半疑で後ろを振り向くと本当にいた。
「な・ん・で……お前がそこにいるんだーーっっ!!」
(うわぉっ! おっかない表情ですね。ハハーン、なるほど。この人はあのお嬢さんが好きなんでしょうね……フフフ)
何かを訴えかけようとしている感じはトムにもわかるものの、どうしたものかと話しあう。
「なぁ、こいつの声、聞こえないぞ。どーすんだよ、どうやって聞くんだよ」
三人がしばらく考えて――
「背中に耳を当ててみようっ!」
メイが女の勘で試してみようとしている間も、トムがそんなやり方で本当に聞こえるのかよ~という顔をして見ていた。
(やあっ、どうも皆さん。私がここにいる理由ですか? ですって? ハハハっ、ご主人とケンカしてきました。良くあることなんですけどね)
「アハハハハハハ、冗談でやってみただけで聞こえちゃったとか私の勘ってアテになるね~」
いたずらっぽい笑みで、メイが少しだけ舌を出してから照れた表情をしている。
「またあ~~、ふざけんなよこんな時に」
メイは実際聞こえているので、後はトムも同じようにすれば聴けると判断してメイのやっていた動作をやるように指示した。
「ふざけてないよーっ、ホントに聞こえたんだからね。トムだってやってみればいいじゃないの」
やりもせずに否定だけしていても仕方がないと、トムも天馬の背中に耳を当てる。
「うーん、ものは試しだ! 聞いてやろうじゃね~か」
天馬の背中に耳をあてて数秒沈黙……
(やあっ、どうも。君達なーに戦いをサボっているんです!? お嬢さんを助けたいんでしょ? 適応能力レベルが高くなければイケませんよ。ま、私としては都合がいいですけどね)
「ま……マジで聞こえちまったよ。オイッ、ど~する?」
天馬の厳しい指摘はわかっているからこそ、それを言われると腹が立った。
(……にしてもムカつく生物だな~っ。デュアを助けたいとは思ってるに決まってんだろっ! ちくしょおおぉっ!!)
「どーするって知らないわよ、んなこと」
意見を求めた時の答えが予期せぬ時に返ってきたため、トムは口をとがらせる。
「急に口出すなよ、ビビったな~~」
「フンッ」
意見を理不尽な理由で遮られたメイは、機嫌を損ねてそっぽを向いた。
「なんだよ……メイのやつ」
こういう点に、にぶいトムがメイの期限が悪くなった理由に気づくことは出来ない。そこに今まで話しに参加していなかったグレイが入ってくる。
「あのさーーっ、この天馬くんにデュアのことを聞くんじゃなかったのか~?」
「はっ、そうだった」
指摘されて思い出したトムがバツの悪い表情をした。
「んで、天馬クン。デュアのことなんだけど教えてくれないかな?」
何だか聞きづらい気持ちになってしまったトムに代わって、グレイが天馬にお願いする。
(え~~~~! どうしましょうかね? 教えても君達程度ではどーせ来れない場所なんですがー……)
「そんなこと言わずにさ~、ね?」
そんな隠すこともないかと心変わりした天馬にデュアの居場所を話してもらった。
(ん~~~~っ、しょうがないですねぇ。教えてあげましょう……それは……)
「そっそれは……?」
大切な情報なので聞き逃すわけにいかないと、グレイは息を呑む。
(雲の上で~す!)
「く……雲の上? ううっ、確かに僕達人間には無理だ……」
トム達は雲の上と聞いて某ジ◯リのラ◯ュタを思い浮かべてしまった。
「雲の上だとぉ~~? 雲の上に家なんか造れるもんか!!」
トムが天馬にふざけたことを言うなと叫んだ。しかし、天馬は特に意に介さない。
(いーえっ、ところが私達は魔族ですから……どんなところでも家を建てられるんですよ)
信じられないトムが、天馬の背に耳を当てている姿勢のまま聞いた。
「ふ~ん、どんな所でも建つのかよ。海の上でもか?」
(もっちろんですよ。正確に伝えるなら雲の上や海の上でも魔力で浮上させていたり、各種自然の脅威対策に言え自体の耐久力も魔法で強化しているんでしょうけどね)
何だか話が脱線している気がして、メイが会話に割り込む。
「ねえ……雑談している場合じゃないんじゃないの?」
「はっ! そーだった。いけねえ。やいっ、この野郎! 話をそらしまくろうとしやがったのか~!」
(いや~バレちゃいましたか? ってぇ、さっき教えたばかりじゃないですか)
トムがグレイに何も話さずに同意を求めた。
「だってよ」
「な……何がだってよなんだい。僕には何の話だかほとんどわからない! わかるわけないよ、そんなの!」
毎月下旬は別作品の投稿の方が多くなる可能性が高い。
今月は後1~2回ね(定期)




