二人目の幹部登場 2
ダメージとして、それだけでHP112→98まで減っている。あれをかすっただけで14も削られた。当たれば一瞬にして致命傷はまぬがれない。
一人で対峙していたものの、手段はないかと、どうにかしないといけないと焦った。
(な……なんていう威力! 確かにこんなものを食らわされたらオレ達に勝ち目はない。だが、デュアを助けるため……なんか手は……?)
主にトムが焦っている様を見て、ヴィアンはそれが楽しくて仕方がなかった。それで良い策を実行できた人間に覚えはない。いつの間にか双子ちゃんもヴィアンをどうにかしないとって考えている所が滑稽でそういう姿を眺めるのは爽快だ。
「フフフ……、そうであろう! 今は『気』を放ったのだ。君達には出来ないことだろうね……戦闘開始するかね? 構わんよ。その代わり、そなた達はあの家のようになる覚悟があるのならの話になるが」
ガレキの山になっている家を指さしてヴィアンが嘲笑する。トム達はどうしようもなく立ち尽くしていることしか出来ないでいた。
(デュアを助けに行きたいけどしかし……)
双子ちゃんもヴィアンを目前としていては、別の行動を起こせずにいた。特にメイは両親の仇と怒りを覚えているのだ。が、一眠りして体調が完全近く戻っているグレイとしては今のこの状況でどうにか出来るとは思えない。
(この魔族ね! 父さんと母さんを殺したのは……! 許せない)
(だけど……相当な強さを持っている。さっき見たように殺傷能力も危険だ……今の僕達では歯がたたないだろう……)
ヴィアンがグレイの考えを読んで、警告してきた。
「フッ……、そこの眼鏡をかけた少年。察しが良いではないかその通りだ。諦めが肝心だぞ?」
自分の強さを誇示したことで満足したのか、何も出来ないでいるトム達をこれ以上相手がする価値がないとでも判断したのか。どんな能力か不明だが、違う場所へと消えていく。
「ち……っくしょう!! どうにか助けることは出来ねえのかっ!! クソォ!!」
敵うとは思えないが、戦士なのでせめて一太刀でも浴びせられればとトムが悔しさを露にしていた。メイはメイで思うことがあるようで彼女なりにどうにかしたいって思いはあったのであろう。
「悔しいわっ、あんな皮肉を言う奴に……何も出来なかった自分にも腹が立ってきて……」
当然のことながら、グレイも今のままではどうしようもないので対策を立てないといけないと、悔しさを胸に秘めている。
「父さんや母さんを殺ったことは許せない……。けど今の僕達では……もう一度冷静になって……!」
この心境は多分三人ともが共通した思いだろう。
(ああっ! どうしたらいいんだ……! 誰か教えてくれ!)
一方その頃――
(着きましたよ、お嬢さん。ここがご主人の家でございます)
天高く飛ばれているのでここでジタバタしては生命の危機もあり得ると達観した考えを持ったデュアは、相手の領地についてからどうするかを考えることにしていた。だから、天馬に声をかけられてやっと気付いたという訳である。
「え!? 着いたんだ……」
険しい表情をするデュア、ヴァルマーに『心』について何か語られた気がするのだが思い出せなかった。
(一体……クジャクとやらはどうして私の『心』を求めていたんだったかな。うーん、何だったかしら)
天馬が建物の中に念話を飛ばす。
(ご主人、戻ってきておられるのでしょう? 開けてください)
不気味にきしんだ音を立てるドア。ヴィアンがそれを開けてデュアを歓迎する。
「ようこそ……、マイハウスへ……」
そのヴィアンの言葉がおかしくて、つい(こいつって!!)とデュアは考えてしまっていた。
(こ……この人型魔族。自分の家をマイ・ハウスとか言ってるわ。へっ……変態っている言い方はどこか違うけど……変人?)
「どこか違うって違う場所は想定できたかね?」
ヴィアンの気迫に押されて(嘘をついても意味がなく思えるし)、デュアは思った事を口にする。
「い……家バカってヤツだと思ったのよ、そんな事ないと思うのだけれどね……」
デュアの考えにうんうんといった感じで首肯しているヴィアンは、どこか楽しげに行動で表現した。
「そんな事あったりするんだよっコレが。我が家は私の財産であってね。目に入れても痛くないくらいに素晴らし~い家なのでね」
気色悪いヴィアンの一面を見たデュアは、トム達が助けに来てくれないかと心中で嘆き叫んでいる。
(へ……変。変だわっ。えーんっ、早く助けに来てよーう)
「はっはー! 無理無理君達では今の私には勝てないのだよ。潔く諦めたらどうだい?」
村の皆がこんな変態に全滅させられたことに、デュアはつらい思いを感じた。
(こんな変なのに殺されたなんて……。可哀想だわ村のみんな……)
ヴィアンがデュアの心を読んで、神経を逆なですることを言い放つ。
「本当に可哀想だね……言っておくが君達の村自体の壊滅を行ったのは私ではない。私の部下だ」
そんな返答されても結局はあんたのせいだろうと噛みついた。
「同じ事じゃない! 部下だろーとあなただろうと同じことよ!!」
デュアが怒っていると、肩をすくめたヴィアンが今の状況にふさわしいと思えないキザな台詞をデュアに語る。
「おやおや、そんなに怒ってしまって……可愛さが台無しだ」
「なっ……何を言っているのよっ。怒るのは当たり前でしょっ、ふざけるのもいい加減にして」




