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気持ちの甘さ(改稿版)  作者: 霜三矢 夜新
この幹部は……!
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二人目の幹部登場 1

ヴァルマーと対決した時点で知らない訳がない。デュアの問いかけにヴィアンは応える気もなく、天馬シーオンに合図を出す。

(ファルシオン! この娘をさらえ。そしてマイハウスに連れていくのだ)

 指をパチンと鳴らすヴィアンの合図によって、シーオンがすくうようにデュアを自分の背に乗せた。

「なにするのっ!! 降ろして」

 わめくデュアではあるが、そう言われてヴィアンの命令に背いたりしない。

(そうはいきません。ご主人の命令は絶対ですので)

 何かを言っている感じの天馬ペガサスの返事をデュアは聞いてみたい。そう考えていると、ヴィアンがまるでデュアの考えを読んでいるかのように告げてきた。

「フン……背に耳をつけろ。そうすれば聞こえる」


(そうはいかないと言ったのですよ)

 実際にデュアが聴けた声は、幻想の動物らしい神々しさみたいな感覚も感じる。

(聞……聞こえた! なんてりりしい声なの)

 話が通じそうだったので天馬に対してデュアは尋ねた。

「そうはいかないってどういう事なの!? 私をどうするっていうの!!」

 なぜ、天馬のような聖の象徴な伝説の動物がヴィアンのような魔族に使役されているのかは知らないが、この天馬には聖なる力が感じられない。

(それはさっきご主人の言った通り。あなたの優しい『心』を奪いに来たのです。命令に従ってください。さもないとあなたは『心』を奪われる前に体を壊される事になりかねませんよ)


 デュアは声に出さずに、冷静に分析しようと考え出した。

(はっ! 思い出したわ。この人の事、、、、、、グレイのパパがこの魔族はめちゃくちゃ強いと言っていたような……どうしてこんなに早く現れたのかしら? 普通魔王の側近っていうのは最後の方に出てくるはず……つねにそのクジャクとやらについているはずなのに何でここに……?)

 考えをまとめようと苦心しているデュアをあざ笑うかのように、ヴィアンが有無も言わさぬ内に自分の愛馬シーオンにめいをくだす。

「だから言ったであろう。そなたの『心』を頂戴しに来たと。貴様のそれが重要なのだ……さあ! シーオン行け」

「どうして私の考えている事がわかったの!?」


 少し沈黙してから「……これが私の能力だからだ。『心』を読むなどたやすいことよ」とヴィアンに言われて、デュアは絶句した。ヴィアンの話の後を継ぐ感じでシーオンがデュアに告げる。

(そういう事なんですよ。あなたには着いてきてもらいますよお嬢さん! 私の義務を果たさせて頂きます。ではヴィアン様、先に行っておりますので)

 デュアは抵抗で出来なかったので、天馬の翼を広げて飛び去る背中から飛び降りて逃げるなど困難と判断。窓の外を飛び去っていく愛馬シーオンを目だけで見送った後、ヴィアンはこの一連の過程の中でも起きなかった間抜けなデュアの仲間達と遊ぶつもりだ。


(行ったか……それでは私もこの子達の面倒でも見てあげるとしましょうかねぇ、殺さない程度に)

 ヴィアンが指をパチンと鳴らすと、どうした訳かデュアの仲間達の目が覚める。まず寝ぼけることもほとんどなく、周囲を見渡したトムがデュアがいないことに気付く。

「はっ、デュアがいない!?」

 一人でも気付いたのだからいいだろうと、ヴィアンが口上を述べた。

「ようこそ、死の部屋に」

 不気味な雰囲気を身に宿している魔族に対して、トムが叫ぶ。

「誰だ!? お前は!」


 聞かれたからには答えてやるといった状態で、魔族がトム達三人に自らの名を名乗った。

「我が名はヴィアン。その娘なら気付かぬ馬鹿なそなたらの眠っている間にさらっておいたぞ。私の優秀な愛馬シーオンがな。せっかくなので君達を起こして片付けようと思ってね……今の君達のどの能力をとっても私には勝てない。足元に及ばないのでは? ハッハッハッハ」

 どんな強い相手、不気味な雰囲気をまとっていて真の力もわからないような魔族相手とは言っても、戦士であるトムにとっては魔族は真っ向勝負で倒すしかないと思っている。

「なんだと? やってみてから言いやがれってんだ!」

 そんな極端な差があるわけではないとはいえ、油断する気のないヴィアンに負ける要素はほぼない。その実力差をわからせて絶望してもらった方が殺る方としても気分が良い。ヴィアンはそう考えて今はまだ話に参加していない二人にもわかりやすくしてやろうとした。


「やらなくてもわかる……私は君達の村を滅ぼした張本人なのだぞ。君達のレベルではまだ遠く及ばないことを知ってもらおうではないか」

 ゆっくりと、トムのいる右側を指差すと当てないように何らかの能力を放った。

(何をする気だ?) 油断ならない何かをしようとしていることはトムにもわかった。トムの頬をかすめて、ヴィアンの指先から発せられた一本の細い光線のようなものが宿屋の壁を破壊して隣の家を木っ端微塵にしてしまう(たまたまその家は空き家だったらしいが)

 頬に当たったトムは、熱を帯びて傷ついているその部分を少し触ってゾッとする。


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