第3話 武闘祭!白刃の騎士ハクニィ
王都最大の祭典、武闘祭が始まった。
数万人の観客が見守る中、俺ことリュウは順調に勝ち進んでいた
一回戦
大剣使い
「昇竜拳!」
一撃KO
二回戦
魔法剣士
「波動拳!」
魔法ごと吹き飛ばしてKO
三回戦
槍使い
攻撃をすべてブロッキングしてからの竜巻旋風脚
KO
四回戦
重装騎士
「真・昇竜拳!」
鎧ごと吹き飛ばしてKO
そして準決勝
俺の名前が呼ばれるたびに、会場は大歓声に包まれる
「リュウ! リュウ!」
「格闘神!」
「神の拳だ!」
いやいや、神じゃないから
俺はただの元プロゲーマーだ
そんなことを考えながら、次の対戦相手の登場を待っていた。
『それでは準決勝第二試合!』
実況の声が響く
『王国最強の剣士の一人!』
『白刃の騎士、ハクニィ!!』
闘技場の入口から、一人の男が現れた
白人の男性
透き通るような白い肌に、金色の短髪。青い瞳。整った顔立ちだが、その表情には人を見下すような笑みが浮かんでいる
身にまとっているのは白銀の鎧
手には細身の白い剣
まさに白刃の騎士という名にふさわしい姿だった。
観客席から歓声が上がる
「ハクニィ様!」
「白刃の騎士!」
「今大会も優勝だ!」
ハクニィは観客に手を振りながら、俺の前に立った。
「お前がリュウか?」
「ああ」
「最近、ずいぶん人気らしいな」
「そうなのか?」
「格闘神? 神の拳? ははっ、ずいぶん大げさな名前をつけてもらったもんだな」
ハクニィは俺の全身を眺めた。
「剣も持たずに戦うのか? 随分と舐めた格好だな」
「俺の武器は拳だからな」
「へえ。じゃあ、その拳で俺を楽しませてくれよ」
彼は剣を抜いた。
白銀の刀身が輝く
俺はステータスを確認した
ハクニィ Lv.82
HP:28,500
力:1,450
スピード:1,820
魔力:2,100
スキル:
白刃剣術
神速斬り
剣気解放
白銀の領域
なかなか強そうだ
俺は軽く構えた。
『試合開始!!』
ハクニィが飛び込んできた。
「白刃一閃!」
鋭い横薙ぎ
だが俺は動かない
ガキィン!
自動ガードが発動する
「ほう?」
ハクニィが一瞬眉を動かす
続けて斬り上げ
ガキィン!
突き
ガキィン!
三連撃
すべてガード
俺はその場から一歩も動かなかった。
「……おい?」
ハクニィが剣を止める
「何をしている?」
「何って?」
「攻撃してこないのか?」
「いや、隙がないから」
「は?」
俺は相手の動きを観察していた
ヒットボックス表示
フレーム解析
相手の攻撃モーション
そして硬直時間
ゲームと同じだ
無理に攻める必要はない
相手が攻めてくるなら、こちらは待てばいい
俺はプロゲーマーだった。
待ち戦略も立派な戦術だ
「来ないなら、こっちから行くぞ!」
ハクニィが踏み込む
「神速斬り!」
高速の連続斬撃
しかし俺はすべてガードした。
ガキィン!
ガキィン!
ガキィン!
「くっ!」
ハクニィが後退する
俺は動かない
「……おいおい」
彼の口元が歪む
「まさか、お前。ずっと防御しているつもりか?」
「そうだけど?」
「ふざけるな!」
ハクニィが剣を振り上げる
「戦えよ!」
俺は首を傾げた
「いや、攻撃してきてるのはそっちだろ?」
ハクニィは観客席を見渡した。
そして大声で叫ぶ
「おいおい! 見たか今の!?」
観客席がざわつく
「弱すぎなんだけどマジで!」
「誰だよこいつを神って言った奴は!」
ハクニィは俺を指差す
「誰だよこいつを神って言った奴は出てこいよ! ブッ殺してやるよ俺が!」
会場が静まり返る
「弱ーえーなぁ! マジ神神とか言ってマジで!」
ハクニィは剣を肩に担いだ
「こいつずっとガードしてるだけじゃねえか!」
さらに観客に向かって叫ぶ
「お前ら、こんなのが格闘神なのかよ!」
観客席からブーイングが飛ぶ
しかしハクニィは止まらない
「逃げてるだけじゃねえか! そういうゲームじゃねえからなこれ!」
俺は頭を掻いた
「いや、別に逃げてないんだけどな……」
「何?」
「攻撃が来るから防いでるだけだよ」
「だったら攻撃してこいよ!」
「隙ができたらね」
その言葉にハクニィの額に青筋が浮かんだ。
「もういい!」
ハクニィの身体から白銀の魔力が噴き出した
「俺の本当の剣技を見せてやる!」
剣が光る
『固有スキル:白銀の領域』
闘技場の床が白く染まった。
「この領域では俺の剣速は通常の三倍になる!」
ハクニィが消えた
次の瞬間、俺の背後に現れる
斬撃
ガード
さらに横から斬撃
ガード
上段、下段、突き、連続斬り
すさまじい攻撃速度だ
俺のHPが少しずつ削られる
HP:850 → 790
「どうした! まだ防ぐのか!」
HP:790 → 720
「いつまで持つかな!」
HP:720 → 650
しかし俺は冷静だった。
画面には攻撃のフレームが表示されている
そして、見つけた。
「……そこか」
ハクニィの連続攻撃には、一つだけ共通する癖があった。
最後の斬撃の後、必ず右足が前に出る
その瞬間だけ、剣を引き戻す動作が遅れる
つまり
反撃確定
「そろそろ終わりにしようか」
俺は初めて自分から一歩踏み出した。
ハクニィが笑う
「やっと攻める気になったか!」
「いや、反撃するだけだよ」
ハクニィの剣が振り下ろされる
俺はその瞬間、前へ入力した
カンッ!!
『PERFECT BLOCKING!』
ハクニィの剣が弾かれる
「なっ!?」
俺は拳を握った。
「ここからが本番だ」
そして、目の前にコンボ表示が現れた。
『反撃可能』
俺はゆっくりと構え直す
「さて……何発入るかな?」
ハクニィの青い瞳が大きく見開かれた。
闘技場の観客たちは、まだ知らない
ここから始まるのが、本当の格闘ゲームだということを
リュウの反撃が始まる
「さて……何発入るかな?」
俺の目の前には、ハクニィの攻撃判定が表示されていた。
そして、もう一つ
『硬直:24F』
反撃確定
「何をブツブツ言っている!」
ハクニィが剣を構え直す
「俺を舐めるなよ!」
白銀の剣が光る
「白刃剣術・神速三連斬!」
右から横薙ぎ
俺は前に入力する
カンッ!
『BLOCKING!』
続いて斬り上げ
カンッ!
『BLOCKING!』
最後の突き
カンッ!
『BLOCKING!』
「なっ!?」
ハクニィの剣が弾かれた。
俺はそのまま踏み込む
「波動拳!」
ドォン!!
青白い闘気がハクニィの胸に直撃した
『COUNTER HIT!』
HP:28,500 → 24,200
「ぐっ!」
ハクニィが後退する
俺は追いかけない
その場で構え直す
「……?」
ハクニィは怪訝な顔をした
「どうした? 追撃してこないのか?」
「いや、来るの待ってる」
「ふざけるな!」
また怒った
どうやら、この男は挑発に弱いらしい
「調子に乗るなよ!」
ハクニィが地面を蹴る
白銀の魔力が剣に集まった。
「白銀剣技・千刃乱舞!」
無数の斬撃が飛んでくる
普通なら防ぎきれない
だが俺には見えていた。
赤い攻撃判定
青い食らい判定
そして攻撃が当たるタイミング
俺は一つずつ入力していく
カンッ!
カンッ!
カンッ!
カンッ!
カンッ!
『BLOCKING!』
『BLOCKING!』
『BLOCKING!』
『BLOCKING!』
『BLOCKING!』
「はあ!?」
ハクニィの顔から余裕が消えていく
「何なんだよお前!」
さらに斬撃
カンッ!
カンッ!
カンッ!
すべてブロッキング
観客席が騒然となった
「剣を弾いている!?」
「いや、受け止めているんじゃない!」
「攻撃が当たる瞬間に、全部逸らしているんだ!」
チュンスティンは身を乗り出していた。
「やっぱり……あの技!」
彼女は先日の自分との戦いを思い出す
自分の奥義をすべて捌いた、あの技
「ブロッキング……」
その隣でエレナが呟く
「これがリュウ様の本当の戦い方……」
「ふざけんなよ!」
ハクニィが叫ぶ
「なんで当たらねえんだよ!」
彼は剣を振り回す
しかし、攻撃は一発も当たらない
俺はその場からほとんど動いていなかった。
「おい、どうした?」
俺は少し笑った。
「さっきまでの威勢はどこにいったんだ?」
「黙れ!」
「神速の剣なんだろ? もっと見せてくれよ」
「この野郎!」
ハクニィの身体から、さらに魔力が噴き出す
『白銀の領域・第二段階』
闘技場全体が白く染まった
剣が何本にも分身したように見える
「これならどうだ!」
ハクニィが一気に踏み込んできた
縦斬り
横斬り
斜め斬り
連続突き
そして、背後からの斬撃
俺はすべてを捌く
カンッ!
カンッ!
カンッ!
カンッ!
カンッ!
だが最後の一撃だけ、タイミングが違った
「しまっ……!」
剣が俺の肩をかすめる
HP:650 → 510
「当たった!」
ハクニィが笑う
「ははは! やっと当たったぞ!」
俺は肩を押さえた。
「なるほど。最後だけタイミングをずらしてきたか」
ハクニィは勝ち誇ったように笑う
「どうだ! これが本物の剣技だ!」
「いや、今のはいい攻撃だった」
「何?」
「タイミングをずらすのは格ゲーでも大事だからな」
俺は構え直す
「でも、もう見た」
ハクニィの笑顔が消えた
ハクニィが再び突っ込んでくる
今度は攻撃のリズムを変えてきた。
速い斬撃
遅い斬撃
フェイント
さらに剣気による遠距離攻撃
しかし、俺にはすべて見えていた。
『フレーム解析完了』
『攻撃パターン解析完了』
『コンボルート検索』
視界にコマンドが浮かび上がる
俺は一歩前に出た
カンッ!
『BLOCKING!』
二発目
カンッ!
三発目
カンッ!
四発目
カンッ!
最後の斬撃
カァンッ!!
『PERFECT BLOCKING!』
その瞬間、ハクニィの剣が大きく弾かれた。
「なっ……!」
俺は拳を握った
「待ってたぜ」
『反撃補正最大』
『コンボ始動可能』
「昇竜拳!」
拳がハクニィの顎を捉える
ドゴォッ!!
ハクニィの身体が浮き上がる
「な、何!?」
「竜巻旋風脚!」
回転する蹴りが連続で叩き込まれる
『COMBO 2』
『COMBO 3』
『COMBO 4』
さらに俺は空中で身体をひねった。
「真・昇竜拳!!」
拳が白銀の鎧に突き刺さる
ドゴォォォォン!!
ハクニィの身体が地面に叩きつけられた
土煙が舞い上がる
闘技場が静まり返った
そして
『勝者! リュウ!!』
実況の声が響いた。
一瞬の沈黙
次の瞬間
「うおおおおおおおお!!」
会場が爆発したような歓声に包まれた
ハクニィは地面に倒れたまま、しばらく動かなかった。
やがて、ゆっくりと上半身を起こす
「……なんだよ、それ」
彼は自分の手を見つめた
「俺の剣が……全部……」
俺は手を差し出した
「いい剣だったぜ」
ハクニィは俺の手を見た
そして、その手を取らずに立ち上がった
「ふっ……次は負けない」
「ああ 待ってる」
ハクニィは悔しそうに顔を歪めながら、闘技場を去っていった
その背中に観客たちの声が飛ぶ
「リュウ! リュウ!」
「格闘神!」
「格闘王!」
「神の拳!」
俺は苦笑いした
「だから神じゃないって……」
その時、チュンスティンが近づいてきた。
「おめでとう やっぱりあなたはすごいわね」
「いや、まあ、相手の動きが分かれば何とかなるからな」
「それが普通じゃないのよ」
彼女は笑った
「決勝では私も全力で戦うわ」
「おう。楽しみにしてる」
しかし、その時だった
実況の声が響く
『準決勝、もう一試合!』
『王国騎士団最強の剣士!』
『そして、現役の王国最強候補!』
『聖剣の勇者、レオンハルト!!』
会場の空気が変わった。
入場してきたのは、金色の髪をした青年
背中には美しい聖剣
その身体からは、ハクニィとは比較にならないほどの魔力が溢れていた
俺のステータス画面が自動的に開く
要警戒
レオンハルト
聖剣の勇者 Lv.96
HP 52,000
力 2,800
スピード 2,450
魔力 5,200
固有スキル
聖剣解放
神聖結界
魔力断絶
勇者の加護
「へえ……」
俺は思わず笑った。
今までの相手とは明らかに違う
そして、レオンハルトはこちらを見て言った。
「君がリュウか」
「ああ」
「ハクニィを倒したそうだな」
「まあね」
レオンハルトは聖剣を抜いた
「ならば、私が君の力を確かめよう」
その瞬間、俺の視界に警告が表示された
『注意』
『対象の攻撃判定に特殊属性を確認』
『ブロッキングによる完全無効化が保証されません』
「……お?」
どうやら、今度は一筋縄ではいかない相手らしい
俺は拳を握った。
異世界武闘祭
いよいよ本当の強敵との戦いが始まる




