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契約なんていらねえよ

その後、何人かと面談したが相手から断られたりなぜかクリスが断ったりして契約結婚への道は暗礁に乗り上げていた。


「なんであの伯爵令息断ったんですか?」

「あれは愛人契約だっただろう」

「もうこの際それでもいいやと思ったんですけど」

「ダメだ。それよりもうやめないか?いくら貴族でも今は恋愛結婚も珍しくない。やはり想い想われる相手との方が人生は豊かになるぞ」

「私は、人生より財布の心配しない生活がいいです。もう働きたくないでござる」



クリスには悩みがあった。

サラサと知り合い半年、自分の卒業まであと三ヶ月。

これはもう俺があいつを引き取るべきではないか?と。

乗りかかった船だ、ここで引いては男がすたる。

あの眠そうなたぬき顔もよく見れば愛嬌があってなかなか可愛い。

生徒会長である俺に対しても物怖じせずに意見してくる所も好ましい。

俺、養っちゃおっかなー、位の気持ちにクリスはなっていた。


「サラサ、今回の紹介で最後にする」

「あら、さすがにもう居ませんか」

「そうだ。最後の男は俺だ」

「よろしくお願いします」

「待て、話を最後まで聞け。俺の両親は貴族にしては当時珍しく恋愛結婚だ。それも大恋愛だ。その影響で俺にも恋愛結婚をしてほしいと思っている。俺に婚約者がいない理由はそれだ」

「ではその相手が現れるまでのツナギですか?」

「そうじゃない。サラサ、俺と恋愛しよう。これから二人で色んな話をしたりデートしたり恋愛しよう。未来の奥さんの生家なんだから援助もしよう。だから、もう働くな」

「知ってたんですか?」

「いや、知らないが予想はできる。朝遅刻ギリギリで来るのも朝働いてるからだろう?放課後の用事も仕事なんじゃないか?学園でしてる刺繍は内職か?学生でいるうちは勉強したり、友人を作ったりして楽しむもんだ」

「私のことが好きってことですか?」

「わからん。だが、書いてただろう?『形ばかりの婚約から始めませんか?』って。だから俺とそこから始めよう。」


いつもは対面に座っている生徒会室のソファセット。

クリスは立ち上がりサラサの隣に座ってその手をそっと握った。


「この荒れた手が良くなる頃には俺とお前は大恋愛してる」

「ふふっ、すごい自信ですね」

「毎日のようにここで二人でご飯食べて、今こうして触れてるが嫌な気持ちか?」

「いいえ」

「じゃあ、俺と恋愛しよう」

「では、お名前教えてもらっていいですか?」

「は?入学式で挨拶したの見てただろう?」

「寝てたので」

「・・・クリス・バーデンだ。まさか、俺が生徒会長ってことは」

「あ、そうだったんですか」




こうしてクリスとサラサは恋愛を前提に婚約を結んだ。

思いがけずクリスの押せ押せドンドンの波にサラサが乗っかり宣言通り大恋愛となった。

侯爵家と子爵家という身分差ではあったが、それも跳ね除ける大恋愛である。


その後、ダイヤモンド鉱山からルビーが発掘されるのだがそれはまた別の話。


今回は契約結婚から恋愛結婚になった、ただそれだけの話。



      «おしまい»

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