Act3:街
少女−リタが少年の部屋から外に出ると、街の賑わいが聞こえてきた。街は非常に活気付いている。リタはそんな賑わいに耳を傾けながら街の様子を伺い始めた。
街にはたくさんの平屋が規則正しく並んでいた。造形美とも言えるくらい綺麗に並んだ建物の一軒、一軒に人が住んでいるようだ。建物にそうように綺麗に道路も整備されている。道路には白線で数字がふってあった。リタの立つ道路には『5』と書かれていた。リタはその道路の先を眺めた。道路は街の中心に向かってまっすぐに延びている。街の中心には高層ビルが立ち並び、中心部には他のビルが比べものにならないくらいの高い…まるで頂上なんてないのではないかと思うほどの高いビルが建っていた。 突然リタの耳に入ってくるざわめきが大きくなった。リタはその声にひかれてざわめきのほうを見た。するとそこには兵士のような格好をした人間が10人ほどと、眼鏡をかけ白衣を着た長身の男が立っていた。
男が1人、平屋の中に入っていく。リタはその様子を余すことなく見ていた。それと同時にリタの足は少しずつ前に進んでいた。
平屋の前にはいつのまにか人だかりができ、リタもそこに歩みよっていた。
数分も経たないうちに男が平屋から出てきた。後ろには平屋の住人だろうか、男と女が満面の笑みを浮かべて出てきた。まるで、人生最高のよい出来事でも起こったかのような笑いかただ。
その男と女は長身の男と兵士の後を嬉しそうに中心部のビルに向かって歩いて行った。
すると人だかりの中にいた1人の女性が言った。
「彼等はついに天国かぁ、いいなぁ」
それを聞いていたリタは不思議に思い、その女性に訪ねた。
「あの…彼等は天国に行くんですか?」
「ん?…ええ、そうよ。彼等は今年30歳になったらしいわ。だから天国に行けるのよ。私達も早く天国に行けるといいわね」
リタは少し戸惑いながら相づちをうち、また聞いた。
「30歳になったら天国にいけるんでしたっけ?」
「え?あなた大丈夫?そんなの常識じゃない。まぁ例外で30歳になる前に天国にいける人もいるんだけどね」
「ああ…そうですね」
リタはとりあえず話を合わせたが、この女性の言っていることが変だと気が付き始めていた。リタは再び聞いた。
「さっきの長身の男の人は誰でしたっけ?」
「…………あなた、ほんとに大丈夫?あの人はケンキュウシャよ。あの人が天国に連れて行ってくれるのよ」
「ケンキュウシャ…?…………研究者?」
リタはまた昔聞いた話を思い出していた。昔確かに聞いた天国に一番近い島の話を。全てが手に入る島…。
でも……全てを。
リタは中心部のビルに目をやると、そのビルに向かって歩き始めた。その時、先程のレンと言う少年の平屋にも兵士がやってきていた。




