5
「そちらの方と今度私の洋服を選んでほしいのですがよろしいですか?」
勇気を振り絞り私がそう言った。シナルドをばれないようにちらっと見ると何が起きたかあまり分かったないような表情をしていた。シナルドも性格は私にいているところがあるので急にこんなことを言われた気持ちは共感できる。
「なあシナルド、こいつが迷惑かけたわけだし俺らもそれ相応の何かをしないといけないだろ?」
「分かったよランス…」
この男の人はランスっていうのか。なかなか男らしい感じでかっこいい。私だったらシナルドなんかよりこのランスさん派だ。
「じゃあお嬢さん、私に手紙を送ってください。都合がよい日を送ってくだされば私がいけるのであれば必ず付き合わせていただきます。」
気を引くためには楽しみと思っていてほしいのだが、真顔で話しているのでどういう感情なのかまったく分からない。これもおそらくシナルドは女性が得意ではないからこんな感じなのだと思う。そうであってほしい。
「迷惑かけて申し訳ありませんでした。シナルドとはぜひ楽しんでください。」
ランスがそう言い男の集団は私を横切って行った。やっぱりさわやかでかっこいい。異世界にせっかく転生したのだからあのような人とも関わりたいものだ。
そろそろ時間なので外に出ようとすると凄まじい数の人がいる。いつも朝乗っていた満員電車のようだ。お城には立場が上な者しか出られないはずだがこれだけいるということはそれだけ重要なイベントなのだろう。大事なイベントだということは感じたのだがそんな大事なイベントでこんな人でパンパンなのはいかがなものだろうかと思ってしまう。
周りの人らが急にある方向を見始めた。何か起きたのかと思い私もその方向に目線を移した。ステージの上にシナルドとその父と母とおおわれる者がいる。父と思われるものが何かしゃべっているが全く分からない。すると前のほうから拍手が伝染してきた。恐らく後ろのほうの人たちは何が起きているのか全く分かっていないと思う。
するとキュムがステージに現れピアノに座った。私は建国祭のスケジュールは開始時間とキュムの演奏は最初らへんにやるということしか知らないのでおそらくさっきのシナルドの父と思われる者のスピーチは開会式かそんな感じのだろう。
キュムはいつも通り冷静で完璧な演奏だった。ステージの上でのキュムはいつもより胸を張っていて顔も化粧で真っ白で全く別人だったが一番別人に見えた要素は厚底の靴だ。この時代から厚底の靴があったという事実に結構感動してしまった。
この後は全く知らないおばさん、おじいさんの話を3時間ぐらい聞いていた。学生時代の1、2年生の時ン卒業式を思い出した。しかし卒業式よりも相当長い時間耐えているからこれは公卿といっても差し支えないはずだ。
やっと話が終わった。周りの人たちが出口に向かっているあんだけの人が一気に出ていくと恐らく、とんでもないことになるのではないかと思う。
お城をぐるぐると無限周回し時間をつぶした。階段をスムーズに降りれるぐらいに人が減ったので歩いて降りた帰りは運んでくれる人がつかなかったがさっきの人ごみでいなかった理由が分かった。
馬車で不快な時間を過ごして帰ってきた。これは異世界転生してはじめて感じた大きなデメリットだ。
帰ってからまず私がすぐ取り掛かったことはシナルドへの服選びに日程についての手紙だ。相手も私も手紙について忘れないように速攻で取り組んだ。
手紙には今週か来週の週末に予定が空いていると書いて手紙を送った。できるだけ早くしないとシナルドのお詫びの気持ちが薄れてしまうかもしれない。私は陰キャなので少しでも私に対して悪いと思っていると私に対して気を使ってくれると思っての策だ。
5日後、シナルドから手紙が返ってきた。スマートフォン感覚で今週の予定を聞いたが人が長距離移動して情報を交換し合うのでよく考えたら時間が結構かかるなんてわかりきったことだ。まあ失敗したのは仕方がない、手紙を開けると
「今週は手紙の交換の時間の都合で絶対無理なのですが来週の週末は大丈夫ですので同曜日なんてどうでしょうか?できるだけお早めにお返事お願いします。」
と書かれていた。なかなか淡泊な文章だと思いつつ、次にシナルドに手紙が届くのがどれくらい時間がかかるのか分からないので土曜日はいける旨の手紙を速攻で書いて速攻で送った。
シナルドとの服選びの日にちは決まったのであとはしっかりと準備するだけだ。




